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ADRCの活動
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ADRC活動報告: テーマ・課題 >> 防災情報

2023年12月7日(オンライン)

2023年12月7日、GLIDE運営委員会がオンラインで開催され、運営委員メンバーである国連、国際機関、研究機関等、9機関から25名が参加しました。会議は東北大学災害科学国際研究所小野裕一教授が議長を務め、2023年の活動状況の他、メンバー機関CRED、UNDRRから最近の取り組みについて共有されました。参加者2024年の活動について議論し、今後もGLIDEの展開、活用について協力していくことを確認しました。
(2023/12/14 15:00)
2023年12月4日~5日(マレーシア)
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2023年10月に実施したパイロット・プロジェクト用に準備したICTツールのシミュレーションについて、対象コミュニティ、郡政府、州政府のそれぞれにおけるレビュー会議を12月4日~5日に開催しました。

関係者の多くはツールに非常に肯定的な反応を示し、ツールが災害対応に革命をもたらし、地域レベルの災害管理能力を向上させる可能性を認識して、今後も引き続き協力していくことに同意しました。

今後の活動としては、2024年2月または3月に、ASEAN加盟国に対してプロジェクトの成果を報告する会合を開催し、次期プロジェクトについての検討を行っていく予定です。
(2023/12/12 15:00)
2023年11月28日~12月1日(タイ、バンコク)

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ADRCは、2023年11月28日~12月1日にかけてタイ・バンコクの国連会議センター(UNCC)で開催された、ESCAP/WMO台風委員会(TC)が主催、台風委員会事務局(TCS)と国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が共催の3つの関連イベントに参加しました。

最初のイベントは、第4回訓練・研究調整グループ(TRCG)フォーラムで、熱帯低気圧(トロピカル・サイクロン)の監視、予測、警報に関連する専門的な研究テーマ(人工知能など)や潜在的な運用アプリケーションについて発表が行われました。2つ目のイベントは第18回統合ワークショップ(IWS)で、これは4つの作業部会の年次統合イベントです。諮問作業部会(AWG)、気象作業部会(WGM)、水文作業部会(WGH)、防災作業部会(WGDRR)の4つの作業部会が毎年開催する統合的なもので、昨年度の作業を評価し、次年度の作業計画を策定します。第3のイベントは、並行して開催されたWGDRRの会合で、12カ国と2地域が参加し、年次活動計画(AOPs)の実施状況の評価を行いました。

WGDRRでは、ADRC(日本のフォーカルポイントである内閣府の代理として参加)が、情報共有、能力開発、技術移転に関する防災活動、特に準天頂衛星システムの災害・緊急危機レポート(QZSS-DCレポート)サービスに焦点を当て、WGDRRメンバーへの報告を行いました。さらに、ADRCはGLIDE番号システムの概要についても発表を行いました。プレゼンテーションの後、WGDRRメンバーは、AWGおよび台風委員会事務局の検討対象となる年次運用計画(AOPs)の一部として、GLIDE番号システムを含めることを提案しました。
(2023/12/5 15:00)
2023年11月15日(オンライン)
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2023年11月15日、ADRCオンライン津波セミナー「住民主体の津波対策の現状と課題」が開催されました。津波常襲地域に住むコミュニティは、意識向上、避津波への備えが住民の日常生活に組み込まれていれば、人命を守り、財産や生活への影響を軽減することができます。

ADRCメンバー国から3名のスピーカーを招き、ADRC主任研究員のジェリー・ポトゥタン氏がモデレーターを務めました。本セミナーの目的である、1)コミュニティベースの津波対策プログラムや活動を共有する、2)コミュニティベースの津波対策活動を各国で実施する際の課題について議論する、をもとに発表および議論が行われました。

タイ・ミン・フオン氏(ベトナム防災総局(VDDMA)科学技術国際協力課防災専門官)は、ベトナムはいまだ津波災害を経験していないが、政府はコミュニティや学校を動員して津波に備えていると報告しました。その活動とは、学校やコミューンでの津波に関する啓発活動、定期的な津波訓練の実施、津波早期警報システムの設置などです。フオン氏は、ベトナムにおける津波災害への備えは積極的なアプローチであると指摘し、「ベトナムでは津波の経験はないが、津波が発生しないという意味ではない」と強調しました。同じ観点から、政府は、津波に襲われる可能性のある地域のコミュニティに対して、津波への備えに関する活動へ積極的に関与するよう求めていますが、困難に直面していると報告がありました。

ランジス・アラコーン氏(国防省県防災調整ユニット課長補佐(ポロンナルワ県)は、2004年のインド洋大津波でスリランカのいくつかの沿岸地域が被害を受けたと述べました。その経験を生かし、政府はコミュニティ組織(VDMC)の設立を含む津波対策プログラムを実施してきました。しかし、VDMCには「法的地位」がないことが課題のひとつであると述べました。そのため、政府はVDMCに財政的支援を与えることができませんでした。その結果、VDMCは「オーナーシップ」がないため、政府が導入した災害対策プログラムに「積極的な関与」をすることができませんでした。この経験からの教訓の一つは、法的な資金付与を伴わない「トップダウン」のアプローチは困難であるということです。

中野元太氏(京都大学防災研究所巨大災害研究センター助教)は、日本は過去に津波災害を経験していると報告しました。その中で、地域に根ざした備えの取り組みは時代とともに進化してきました。近年、日本では、地域の津波対策に「協働モデル」を採用し、より組織的なアプローチが推進されています。中野氏は、高知県四万十町の興津集落の事例を紹介すると、このモデルは、各協力パートナーが以下のそれぞれの役割を担っていると説明しました。1)ボランティア組織が学校、自治体、専門家をつなぐ、2)小学校が子どもたちに津波から身を守る教育を行う、3)町役場がインフラ整備を実施する、4)大学が地震・津波災害に関する専門情報を提供する。共同活動の一例として、「防災マップ」の作成が挙げられ、生徒たちは必要な津波避難対策を考えることができます。

閉会にあたり、ADRCの笹原顕雄所長は、知識を伝え、共有し、忘れないためには、津波災害に関する啓発活動を定期的に行うことが重要であると強調しました。 

本セミナーの詳細は、津波オンラインセミナー2023のウェブサイトをご覧ください。
(2023/11/22 15:00)

2023年10月31日
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アジア防災センター(ADRC)は、2023年11月15日、「住民主体の津波対策の現状と課題」をテーマに、今年度の津波セミナーを開催します。このセミナーでは、日本、スリランカ、ベトナムの経験に焦点を当て、津波対策の進展と課題について参加者間で議論を深めます。

<2023年度ADRCオンライン津波セミナー>
 「住民主体の津波対策の現状と課題」
<日時>
  2023年11月15日(水)14:00-15:30(JST、UTC+9)
<津波セミナーウェブサイト>
<ZOOM登録リンク>

本セミナーの詳細、お申込みにつきましては、上記ウェブサイトからご確認ください。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
(2023/10/31 15:00)

2023年10月21日~23日(トルコ)
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2023年10月21日から23日にかけて、アジア防災センター(ADRC)は、トルコ災害緊急事態管理庁(AFAD)、琉球大学、ハジェテペ大学と協力し、2023年トルコ・シリア地震被災地への視察を実施しました。本視察の目的は、1)同地震による影響、課題、教訓を学ぶこと、2) ADRCメンバー国の防災計画を改善するための見識を深めること、3)知識・情報交換を促進すること、です。 モンゴル、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、トルコ、ベトナムの政府関係者、琉球大学、ハジェテペ大学の研究者、AFAD、ADRCの職員から成る調査団は、今回の地震発生のメカニズム、トルコにおける被害と災害対応、被災11州のうち3州(ガジアンテプ州、カラマンマラシュ州、ハタイ州)の住宅復興プロセスについて学びました。

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調査チームは、トルコのプレートには、アナトリアプレート、アフリカプレート、アラビアプレート、ユーラシアプレートがあり、2023年の地震は、「アラビアプレートとアフリカプレートの間の相対的な滑りがアナトリアプレートの西方への移動を引き起こした」もので、1)構造設計における耐震基準の不徹底、2)施工ミス、怠慢、モラルの欠如、3)施工不良、4)軟弱な床、5)地盤条件による共振現象、6)隣接する建物による衝突、7)地盤の液状化、といった要因によって、建物の倒壊や大きな被害が引き起こされたことを学びました。また、住宅復興に関しては、復興は請負業者主導で行われていること、恒久的な住宅建築は移転先に建てられること、住宅を完全に所有するための期間は20年(最初の2年間は無償、その後18年間は政府から60%の補助金が支給)であることなどの状況を視察しました。

本視察の実施にあたり、ご協力いただきましたAFADの職員の皆様、オメール教授、ウルセイ教授に感謝申し上げるとともに、本調査に積極的にご参加いただメンバー国の皆様に厚く御礼申し上げます。
(2023/10/30 15:00)
2023年10月20日(タジキスタン、ドゥシャンベ)
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アジア防災会議(ACDR)が2023年10月20日、タジキスタンのドゥシャンベに於いて開催されました。テーマは「効果的な防災対策の実施―防災分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進―」で、タジキスタン共和国政府非常事態・市民防衛委員会(CoES)、内閣府、アジア防災センター(ADRC)の共催で開催されました。ACDR2023には、18メンバー国の他、国際機関、地域機関、民間セクター、学術・研究機関の代表など120名が現地で参加し、オンラインでは7メンバー国から合計111名が参加しました。

<開会式>
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タジキスタン共和国のマトゥルバホン・サットリヨン副首相は、タジキスタンが災害に強いインフラへの投資や国家災害リスク軽減戦略の採択を含む様々な取り組みを通じて、仙台防災枠組の実施に尽力していると挨拶しました。また、気候変動の影響は、地形の93%が山岳地帯であるタジキスタンを含むすべての国に影響を与えることを強調しました。

水鳥真美国連事務総長特別代表(防災担当)は、2030年までに中央アジアでは気候変動により500万人以上が国内避難民となると述べ、その影響を軽減するために、リスク管理へのパラダイムシフトが必要であることを強調しました。また、エビデンスに基づくデータ主導の意思決定を支援するため、データ分析や機械学習を応用してDXを取り入れることの重要性を指摘しました。

日本の松村祥史内閣府特命担当大臣(防災)は、災害リスクの特定、災害軽減への投資、「Build Back Better」の経験の共有の重要性を強調しました。また、ACDR2023が災害リスク軽減のための極めて重要な技術や専門知識を共有する場となることへの期待を表明しました。

ADRCの濱田政則センター長は、2023年8月にフィジーが32番目のADRCメンバー国として加わったことを発表するとともに、気候変動による災害リスクの増大と、それに適応しより強靭になるためのインフラや社会システムの強化の必要性を強調しました。

CoESのルスタム・ナザルゾダ議長は、ACDR2023がCoES、内閣府、ADRCの協力で実現したことを強調しました。本会議が、防災の政策共有、知識交換、協力のためのプラットフォームとして機能することを期待しました。また、タジキスタンは国連イニシアティブ「全ての人のための早期警報」のパイロット地域の一つとして活動していることに触れ、ACDR2023のホスト国として、国際社会の結束を高めることを表明しました。

<ラウンドテーブルセッション>
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2030年に向けて仙台防災枠組の実施を加速させるため、ADRCメンバー国の経験と課題を共有することを目的として、CoESのナザルゾダ議長、SEEDSアジアの角崎悦子理事、国連防災機関(UNDRR)欧州・中央アジア地域事務所のセバスチャン・ペンジーニ所長代理が共同議長を務めました。

このセッションでは、ADRCメンバー16カ国(アルメニア、ブータン、インドネシア、イラン、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タジキスタン、タイ、ベトナム)が、仙台防災枠組の4つの優先事項の実施における進捗状況と課題を強調する公式声明を発表しました。

これらの課題に対処するため、以下の提言を公式声明としました。1)特に災害データベース、早期警報、コミュニティベースの災害リスク管理に関する政策や、情報管理システム、地域的な知識の共有、災害対応メカニズムに関する施策について、協調して防災の取組を促進する政策や施策の共有を拡大すること。2) 複雑かつ越境的な災害リスク、特に地震、洪水、台風に対処するための地域協力を推進すること。3) 科学的根拠に基づくアプローチを重視し、複合災害リスク軽減のためのDX技術を取り入れ、ハザードやリスクの特定、マッピング、評価の分野におけるパートナーシップや共同プロジェクトを構築すること。

<セッション1 「災害に強い社会のための革新的な解決策:地震や地盤災害に対する防災技術」>
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このセッションの共同議長は、タジキスタン国立科学アカデミー地質学・地震工学・地震学研究所のプロド・アミンゾダ所長と、アルメニア国家地震防災研究所(NSSP)のソス・マルガルヤン所長が務めました。

セッションには、タジキスタン、キルギス、東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)、UNDRR、CoES、トルコから6名が登壇し、地盤災害に対する現在の取り組みと課題について報告しました。本セッションでは、DXを活用した災害リスクの可視化、都市における耐震・斜面安定化対策、災害に強い建築・構造物の設計技術や新素材の開発など、多面的なアプローチによる災害リスク軽減のための最新の解決策が紹介されました。地震・土砂災害への対応には、センサーや人工知能(AI)技術を活用した震度推定や防災対策、新たな建築技術や材料の開発、防災の視点を取り入れたまちづくりなど、多面的なアプローチが必要であることが確認されました。また、地震による被害を最小限に抑えるためには、地域住民、関係機関、事業者が一体となって防災対策に取り組むことが不可欠であり、地域全体での迅速かつ効率的な対応が必要であることが確認されました。これらの課題解決に向けた最新の技術や実践事例を共有し、地震に強い社会の実現に向けた提言を行いました。また、地震や土砂災害による被害を軽減するための先進的な技術や取り組み、実践的な防災対策についても情報を共有しました。

<セッション2 「気候危機への対応: 氷河湖決壊洪水(GLOFs)や森林火災や洪水の観測と対応への革新的取り組み」>
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このセッションの共同議長は、タジキスタン国立科学アカデミー氷河研究センター長のアブドゥルハミド・カユモフ教授と、韓国国立防災研究所(NDMI)のチャンジェ・クァク研究員が務めました。

タジキスタン、中央アジア防災センター (CESDRR)、国際総合山岳開発センター(ICIMOD)、韓国、CoES、アガ・カーン(Agha Khan)から6名のセッションスピーカーが登壇し、気候危機に関連する災害に対する現在の取り組みと課題について報告しました。気候危機により、世界各地で異常気象が報告され、社会と環境にとって特に深刻な脅威は、高温と降水量による氷河の後退、GLOFの増加、森林火災の頻発と広域化、洪水の大規模化・長期化・被害拡大などであり、本セッションでは、GLOF、森林火災、洪水の監視と対応に関する革新的な取り組みに焦点を当てました。また、気象災害リスク評価・予測におけるこれまでの取り組みや、衛星観測、リモートセンシング、AI、機械学習などの技術を用いた分析手法や予測モデルについても言及・評価しました。

<閉会式>
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セッションの冒頭では、CoESのナザルゾダ議長がタジキスタンにおける防災分野での貢献者への表彰式を行いました。

次にADRCの笹原顕雄所長がACDR2023会議のサマリーを報告し、ホスト国であるタジキスタンに感謝の意を表しました。また、ラウンドテーブルセッション及びテクニカルセッションで共有された重要なポイントを紹介しました。

ADRCの小川雄二郎理事長は、世界災害共通番号(GLIDE)を通じた情報提供の取り組みを称えました。また、世界的に災害が頻発していることを指摘し、災害から学ぶことの重要性を強調しました。そして、ADRCが主催するトルコの地震被災地視察が、自国の将来の災害に備え、災害管理と災害への備えを強化することにつながると説明しました。

最後に、CoESのナザルゾダ議長は、地震と災害リスク軽減のために必要な対策を知ることの重要性を強調しました。また、メンバー国間でデータを共有・収集することの重要性を強調し、会議の終了を宣言しました。

本会議の詳細につきましては、ACDR2023のウェブサイト(https://acdr.adrc.asia/home/acdr2023)をご覧ください。会議開催に関しまして、タジキスタン政府をはじめ、ご協力いただきました関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
(2023/10/28 15:00)
2023年10月20日(タジキスタン、 ドゥシャンベ)
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2023年10月20日、アジア防災会議2023(ADRC2023)がタジキスタン・ドゥシャンベにおいて開催されました。当初は2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大を受けて、延期されていました。

本会議では、「効果的な防災対策の実施 - 防災分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進-」と題して、タジキスタン緊急事態委員会(CoES)および内閣府との共催で開催されました。ドゥシャンベには、メンバー国17か国、CoES職員をはじめ、国際機関、研究機関、NGOなどからの多くの関係者に現地でご参加いただきました。またオンラインでは、現地に足を運ぶことができなかったメンバー国7か国を含む111名の参加がありました。

各セッションの詳細な結果、会議当日の様子が確認できる動画サイトなどについては、次号でお知らせいたします。本会議を共催いただいたタジキスタン政府をはじめ、ご参加いただきました皆様には厚く御礼申し上げます。
(2023/10/27 15:00)
2023年10月11日(ベトナム、ハロン)
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2023年10月11日、ベトナムのハロン湾において第6回ASEAN 防災委員会(ACDM)+Japan会合が開催されました。ADRC笹原所長はプログラムの一環として、「GLIDEを活用したデータベースのリンクと能力向上」および「ICTツールを活用したコミュニティ防災と災害対応」事業の進捗に関するプレゼンテーションを行いました。コミュニティ防災の活動に関しては、特にベトナムの代表から、都心部から離れた地方での活用に効果的であるなどの関心が示されました。その他会議では、「日ASEAN防災行動計画2021-2025」の各活動の進捗状況の報告などがありました。

さらに、ADRCは最終日に開催された現場視察に参加しました。午前中は、国際防災の日のイベントとして近隣の高等学校で開催された防災啓発イベントを視察しました。また、引き続き、世界遺産に指定されているハロン湾のクルーズにおいて、会議参加者同士の交流を深めました。
(2023/10/18 15:00)
2023年10月5日(マレーシア)
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ADRCは、2023年7月より内閣府の委託を受け、日・ASEAN防災作業計画における「コミュニティ防災に関する能力開発(CBDRR)」プログラムの推進プロジェクトとして、「マレーシアにおけるCBDRMおよび災害緊急管理のための最先端通信技術活用に関するパイロットプロジェクト」を実施しています。このパイロット活動は、マレーシア国家防災庁(NADMA)との緊密な協力の下に行われています。

パイロット地域として選定されたサバ州クンダサン地域にあるラナウ郡事務所、DumpiringおよびMesilou村災害管理委員会などの関係者と2023年7月に初期調整を行った後、2023年10月5日に本パイロットプロジェクトのために準備・調整されたICTツールを使ったシミュレーション活動を実施しました。この活動は、ダトゥク・アーミザン・モハド・アリ首相府大臣が出席した科学技術災害リスク軽減とレジリエンス(STDR3)ウィーク2023のプログラムの一つとして実施されました。

パイロット地域の住民や関係機関を対象とし、事前に検討した災害シナリオに沿って行ったシミュレーションを通して、ツールのテスト、検証を行い、ツールが災害時の情報共有に効果的に活用できることを確認しました。このシミュレーションには、NADMAやサバ州災害管理委員会(SSDMC)などもオブザーバーとして参加し、イベント終了後に結果のレビューが行われました。今後、郡事務所の担当官を対象としたセミナーなどのフォローアップ活動を12月に実施する予定です。
(2023/10/12 15:00)
2023年9月24日~10月2日(トルコ)
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ADRCは、2023年9月24日から10月2日にかけてトルコを訪問し(現地滞在6日間)、2023年2月に発生したトルコ・シリア地震の被災地における教育面の復興に関する現地調査を行いました。本調査は兵庫県「トルコ地震復旧・復興応援プロジェクト(ふるさとひょうご寄附金)」の支援を受け、兵庫県立大学客員教授の諏訪清二氏と共同で実施したものです。また、土日基金のエミン・オズダマル氏にも多大なるご協力をいただきました。

地震で被災したガジアンテプ県、カフラマンマラシュ県、ハタイ県の学校を訪問し、地震後の教育の状況や教員・子どもたちの様子についてインタビューを行いました。また、教育関係者とのワークショップを行い、阪神・淡路大震災や東日本大震災の教育現場の対応、復興への取り組みなどの経験をお伝えしました。

教員たちはいまだに震災の深い悲しみの渦中にありながらも、学校の再開と教育の継続、子どもたちへのケアに懸命に努めていることがうかがえました。国民教育省(MoNE: Ministry of National Education)は地震直後から専門家の派遣や教員向けセミナーを通じて教員・子どもたちのこころのケアを行っていますが、今後も息の長い復興のために現場の教員・子どもたちへの持続的なサポートが求められます。さらに、今回の地震を受けた防災教育の再検討も求められています。ADRCとしては、今後も教員・子どもたちとの交流などを通じて日本とトルコの災害の経験を共有できる場づくりを検討していきます。
(2023/10/09 15:00)
2023年9月17日~18日(インドネシア、ジャカルタ)
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インドネシアのジャカルタにおいて、2023年9月17日から18日の期間にセンチネルアジアの第8回年次会合(JPTM: Joint Project Team Meeting)が、9月19日から22日まで日本の文部科学省、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 、インドネシア国立研究革新庁(BRIN)の共催により、第29回アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF : Asia-Pacific Regional Space Agency Forum, APRSAF)が開催されました。

ADRCは両方の会議に参加し、センチネルアジアの活動に関する報告などを行いました。JPTMの最初のプレゼンテーションとして、17日に開催されたパネルディスカッションに登壇し、センチネルアジアの緊急観測の対応状況や、提供された各種データに関するエンドユーザーの声について報告しました。また、18日に開催された各機関からの報告については、センチネルアジアに加盟する各国で整備中の緊急観測に係る手順マニュアル(SOP: Standard Operation Procedure)について、紹介を行いました。

ADRCとしては、防災分野における宇宙技術の利活用に関する活動に、今後も積極的に参加いたします。
(2023/09/25 15:00)
2023年8月28日(オンライン)
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ADRCは、気候変動予測先端研究プログラム(SENTAN)と、2023年8月28日に「アジア太平洋地域における災害リスク軽減のための気候変動影響予測」に関する第1回ウェビナーを共同開催しました。本ウェビナーでは、フィジー気象局(FMS)の気候学科学官ジャスニール・チャンドラ氏が、フィジーにおける気候変動の影響について発表を行いました。チャンドラ氏は、フィジーのラウトカ埠頭の海面が1993年から2022年の間に年率4.3mmで上昇していることを報告しました。その結果、いくつかの村(VeivatuloaやVunidogoloaなど)では海水が浸水しやすくなり、沿岸部の多くの家屋が移転を余儀なくされる事態となっています。

ウェビナーの目的の一つは気候変動予測の結果を共有することであるため、以下の日本人専門家もフィジーの気候変動に関連した発表を行いました。

1) 京都大学防災研究所 気象・水象災害研究部門 森信人 教授
2) 気象庁気象研究所 応用気象研究部 第二研究室 仲江川敏之 室長
3) 気象庁気象研究所 応用気象研究部 第一研究室 村田昭彦 室長
4)水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM) 森範行 グループ長
5)京都大学大学院工学研究科 社会基盤工学専攻 水工学講座 水文・水資源学分野 立川 康人 教授

小林健一郎准教授(神戸大学)、ジェリー・ポトゥタン主任研究員(ADRC)が、共同ファシリテーターを務めました。資料はウェブサイトからアクセスできます。
(2023/09/04 15:00)
2023年8月21日~25日(マレーシア)
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準天頂衛星システム(QZSS)のサービスのひとつに、内閣府宇宙開発戦略推進事務局(NSPS-CAO)がアジア太平洋地域の国々で推進している「災害・危機管理衛星レポート(DCレポート)」があります。QZSSは、警報メッセージを地上に送信することができ、インターネットや携帯電話の通信システムがない地域でも有効です。また、既存の地上通信システムが異常災害によって被害を受けた場合の冗長システムとしても機能します。

NSPS-CAOの監督の下、ADRC、アジア航測株式会社、株式会社NTTデータの代表者で構成されるプロジェクトチームが2023年8月21日から25日にかけてマレーシアを訪問し、QZSS DCレポート技術のデモンストレーションを行いました。マレーシア工科大学の防災センターの現地支援により、プロジェクトチームは以下の主要な活動を行いました。

1)プトラジャヤのマレーシア首相府国家災害管理庁(NADMA)を訪問し、QZSSのDCレポート技術について主要関係者に説明
2)セランゴール州フルランガットの町を2日間連続で訪問し、QZSSプロトタイプ受信機のセットアップ、デモンストレーション、テスト、性能について議論
3)主要政府機関および関係者を招集し、災害早期警報システムに関する各地域の取り組みを共有するとともに、現地の参加者全員に調査票を配布
4)次のステップについて議論

マレーシアでのQZSS DCレポート実証実験では、フルランガットでテストされたプロトタイプ受信機がQZSSを通じて送信された警報メッセージを受信できることが示されました。このデモンストレーションの結果、現地関係からは、特段の関心があり、マレーシアの既存の早期警報技術や慣行と統合する選択肢についてプロジェクトチームと議論を行いました。
(2023/08/31 15:00)
2023年6月16日~8月8日(オンライン + 日本)
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ADRCは、2023年6月16日から8月8日にかけて、JICA課題別研修「中央アジア・コーカサス総合防災」コースをJICA関西との協力により実施しました。アルメニア、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5か国から8名の防災担当行政官が参加し、災害対策の推進に向けた地方防災計画策定・実践の手法について学びました。

前半の4週間はオンラインによる講義や演習を行いました。後半の3週間は日本で対面研修を行い、兵庫県、新潟県、群馬県、茨城県の防災関連機関の視察や講義を通じて、日本の災害対策を学びました。最終日には研修を通じて作成した各国の地方防災計画案を発表しました。研修員の皆さんはお互いの国の防災計画について積極的に意見を交わし、災害対策における地域間の課題を共有することができました。
(2023/08/15 15:00)

2023年6月10日(日本、尼崎)

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ADRCは、2023年6月10日13:00~15:00に開催された防災教育学会第4回大会におけるパネルディスカッション「トルコ・シリア大地震からの復興をめざして」において、トルコ・シリア大地震の概要やトルコにおける学校防災教育の現状、トルコにおける地震や防災教育に関連するADRCの活動についての紹介を行いました。また、防災教育学会会長 諏訪清二氏のコーディネートで、土日基金副理事長のエミン・オズダマル氏、CODE海外災害援助市民センター事務局長 吉椿雅道氏と今後のトルコにおける防災教育の果たす役割について議論を行いました。 
(2023/06/17 15:00)
2023年5月17日~21日(日本)

2023年5月17日から21日まで、タイ防災局(DDPM)の一行が来日し、「タイにおける国家早期警報システムの能力強化および携帯電話による伝達システム構築のための調査訪問プログラム」が実施されました。

訪問団には、DDPMのBoontham Lertsukekasem局長をはじめ、同局の早期警報システムや情報伝達を担当する幹部職員11名が参加しました。

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一行は、国土交通省関東地方整備局甲府河川国道事務所、総務省消防庁、墨田区役所、日本放送協会(NHK)、NTTドコモ、一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力(JTEC)、本所防災館を訪問しました。河川の観測データの取得から、消防庁や地方自治体などの緊急対応を行う機関における情報発信システム、メディアや携帯電話事業者などによる国民への情報発信まで、日本における河川の早期警報の最新の取り組みについて、それぞれの組織から直接学ぶ良い機会となりました。

アジアセンター(ADRC)は、代表団の訪問日程作成に関するアドバイスや、訪問・視察に同行するなどして、代表団をサポートしました。
(2023/05/24 15:00)
2023年5月3日~4日(ドイツ、ボン)

2023年5月3日から4日にわたり、開発中の新災害損失追跡システムの検証ワークショップがドイツ、ボンで開催され、ADRCも参加しました。このワークショップは、UNDRR、UNDP、WMOが主催するもので、新システムのプロトタイプ案について、実務家、専門家、その他のデータ関係者からフィードバックを集めることを目的としています。2日間のワークショップでは、80名以上の参加者が、新システムの機能性、データ分析、視覚化、管理をテーマに、対面及び一部オンラインで意見を交わしました。新システムにより、総合災害・気候リスク管理、リスクに基づく持続可能な開発の政策決定や投資判断のために、データ活用が実現することが期待されています。
(2023/05/10 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)
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2023年3月に仙台市で開催されたアジア防災会議2022(ACDR2022)の会議終了後に行われたフィールドトリップの模様についてです。

会議終了後、参加者はバスで名取市閖上地区へ移動しました。地元でとれた海産物等が販売されるゆりあげ港朝市/メイプル館での昼食の後、名取市北釜整備推進室にご協力いただき、2011年に発生した東日本大震災からの当地における復興、まちづくりの状況についての視察を行いました。

本視察では、山田司郎名取市長はじめ、名取市北釜整備推進室の職員の方々にご説明をいただき、1)震災復興伝承館、2)貞山運河・復興公営住宅、3)かわまちてらす閖上の順で、徒歩で現地視察を行いました。

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まず震災復興伝承館では2グループに分かれ、山田司郎 名取市長より、当地における復興状況の概況および本施設の水防施設としての機能について説明を受けました。特に、震災後のまちづくりの説明では、震災直後の人口減少の話から、新たなまちづくり後に人口増加に転じた話に関心が集まりました。その後、貞山運河および復興公営住宅付近を歩きながら、土地のかさ上げについての説明や、公営住宅に設置された津波からの一時避難場所など、実際に見ながら具体的な説明を伺うことができました。最後に、地元の人たちや観光客であふれる商業施設かわまちてらす閖上で、本施設の防災機能について説明を伺ったのちに、自由散策を行いました。

2時間弱のフィールドトリップでは、名取市が実施した具体的なまちづくり施策や復興政策について、防災行政担当である参加者から積極的な質問が挙げられ、当地における復興の取り組みへの大きな関心が寄せられました。

名取市北釜整備推進室の皆様には、事前の準備から当日の案内まで多岐にわたりご協力いただきました。北釜整備推進室作成の「名取市における復興の概要」の英語版パンフレットは、当日の視察時の参考資料のみならず、参加者にとっては多くの貴重な復興の経験が詰まった資料でした。

本フィールドトリップでご協力いただきました皆様、そしてACDR2022にご参加いただきました皆様に改めてお礼を申し上げます。
(2023/03/23 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)

2023年3月に仙台市で開催されたアジア防災会議2022(ACDR2022)のセッション1~3について報告いたします。

<セッション1:大規模災害とその対策>
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本セッションでは、以下の専門家を招聘し、気候危機や都市化の進展による経済被害の拡大、災害の連鎖・複合化により世界各地で激化している大規模災害の現状と対応について情報の共有を行い、より効果的な事前防災投資や防災対策など、災害リスク管理体制について学ぶ機会を提供しました。

本セッションのモデレーターである兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授 阪本真由美氏は、冒頭で大規模災害への対策強化の重要性を強調しました。2022年にパキスタンで発生した異常に長期化した洪水など、水災害は頻度と激しさを増しており、2023年2月のトルコ・シリア地震のように、地震は未知のダイナミクスであり、その発生は予測不可能であると述べました。これらの災害は、しばしば国境を越えて発生し、複数の国の人々に影響を与えることを指摘しました。

次に、神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部教授 荒島千鶴氏は、国際法の観点から、越境災害ガバナンスの課題を提示しました。また、国境を越える災害への対応に関する国家間の条約や二国間協定の交渉において、科学的根拠に基づくデータの重要性を強調しました。2010年に発生したアイスランドのエイヤフィヤトラヨークル火山の噴火を教訓に、2010 年以降,ヨーロッパでは火山の科学的データを共有するための協力体制を構築中であると説明しました。荒島氏は、それを可能にする取組みと、今後の課題分析が必要であると述べました。

パキスタン首相府国家防災庁(NDMA)防災部長 サリーム・シャザド・マリク氏は、2022年に発生した大洪水の経験と、パキスタンにおける災害リスク軽減と気候変動への適応に関する活動を紹介しました。パキスタン政府は、大洪水などの極端な事象の際の災害管理における課題に対処するため、災害管理システムの改善を進めてきたことを紹介し、そして、新たな取組みとして、パキスタンでは、災害対策に新しい技術を採用するとともに、災害リスク軽減戦略に科学的データを活用している状況を共有しました。

ベトナム農業農村開発庁(MARD)防災総局(VNDMA)災害対応・復興局 副局長 レー・ミン・ニャット氏は、ベトナムの災害リスク管理システムの概要について発表しました。ミン氏は、洪水はベトナムで最も発生頻度の高い災害であるとし、これに対処するため、洪水対策と管理に対する大規模な財政投資と構造投資が推進されていること、そして洪水対策プロジェクトは、国家防災計画2021-2025の優先事項の一つであることを報告しました。

中央アジア緊急事態・災害リスク軽減センター (CESDRR) センター長代行 シェリック・アウバキロ氏は、ビデオによる発表を通じて、国境を越えた災害や緊急事態に対処するための常設の政府間機関であるCESDRRについて紹介しました。CESDRRは、カザフスタン共和国政府とキルギス共和国政府との合意により設立され、1)災害リスクの軽減、緊急事態の予防と排除における協力、2)災害リスクの要因の軽減、緊急事態の危険の特定、評価、予測、監視、3)緊急事態に効果的かつタイムリーに対応するための相互努力の調整と準備の強化、および4)防災対策と危機管理における地域および国際協力、自然災害および人災時の住民の生命活動の安全性の向上、を目的に設立されたと説明しました。

モデレーターの阪本氏は、各国からの発表から、国境を越えた災害被害を軽減するためには、災害の発生源となる国、および災害の拡大により影響を受ける可能性のある国との情報共有が重要であることが明らかになったと指摘しました。しかし、自然災害の観測技術やその利用に関する規制は国によって異なり、災害対応における情報共有は急務であるにもかかわらず、緊急時における実用的な国際通信システムは存在しないため、このような国際的なリスクコミュニケーションの仕組みを関係機関間でどのように構築していくかが、より良い災害対策のために重要であるとまとめました。

<セッション2:仙台防災枠組の取組みにおけるデータ連携の拡大 -GLIDE (Global IDEntifierNumber)の利用促進>
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本セッションでは、仙台防災枠組のグローバルターゲットG-5「国及び地方レベルで人々がアクセス、理解、利用可能な、関連災害リスク情報とアセスメントを有する国の数」の増加に貢献するために、アジアにおける災害データ管理の現状を概観し、さまざまな関係者からのデータを効果的に取り扱うためのツールや実例を紹介しました。

本セッションでは、ADRCコンサルタント/RobotSearch Software Inc.理事のフリオ・セルヘ氏がモデレーターを務め、災害リスク軽減における災害データ管理の役割の重要性について取り上げました。一方では、災害被害(損失・損害)データのほとんどが集約されたままであるという課題があること、こうした課題は、災害データがより複雑になっているという点によるもので、アジア地域の様々なデータ管理ツール間の連携を促進する必要があると述べました。

 
国連防災機関(UNDRR)ボン事務所所長アニメシュ・クマール氏は、仙台防災枠組のモニタリングの進捗について発表を行いました。2023年2月現在、仙台防災枠組モニター(SFM)を利用して防災の進捗状況を報告している国は累計156カ国、SFMのすべてのターゲットについて報告している国は累計78カ国に上っていると紹介しました。進捗報告においては、途上国、特に後発開発途上国(LDC)が、SFMの全ターゲット及び全指標にデータを提供することに難航している点が課題であるとしました。SFMの進展を支援するため、特に災害損失や損害の追跡のため、新しいモデルやツールが開発されており、これらを利用し、気候関連変数、損失・損害、災害事象を関連付けることが期待されていると述べました。
 
モンゴル国家危機管理庁(NEMA)リスク管理部課長のデンベレニヤム・バサンスレン氏は、モンゴルにおける災害データの収集と共有の実例と課題について発表しました。実例の1つとして、NEMAが2019年に全国でハザード情報を共有するために設立した空間情報システムを紹介しました。データ収集の課題解決のためには、生データを収集するために関係者へ登録テンプレートやガイダンスを普及させることが必要であるとしました。さらに、信頼できるデータの収集と生成について理解を深めるためには、人的・技術的な能力に制約があるとし、今後、NEMAは研修等のアウトリーチ活動を通じて、データの再分類とその重要性に関する知識と理解を深めていく予定であると述べました。

韓国行政安全部国立防災研究所 主任研究員チヒュン・リー氏は、洪水早期警戒システムを中心とした災害リスク軽減のための国際協力について発表しました。また、フィリピン政府と協力した洪水早期警報システムの導入プロジェクトでは、通信プロトコルに重点を置いていると説明しました。

国連開発計画(UNDP)バンコク地域事務所災害リスク情報アプリケーション危機局 プロラムスペシャリスト(グローバル)のラジェシュ・シャルマ氏は、UNDPのデジタル災害リスク軽減成熟度モデル(DDRRMM)について紹介しました。これは、災害リスク軽減・管理実践のデジタルエコシステムの成熟度を診断するツールです。このツールの開発にあたり、UNDPは各国の災害データベースシステムを詳細に分析し、各国のデジタル成熟度に合わせて新世代の災害データ・情報システムをサポートしています。災害リスク管理のためのデジタルとデータガバナンスは災害管理に有用であり、法的・制度的枠組み、政策、戦略、行動計画、実践的ガイドラインを通じて推進する必要があることを強調しました。

ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)災害監視分析官 キース・パオロ C・ランディチョ氏は、東南アジア地域で発生した危険や災害に関する情報のリポジトリであるASEAN災害情報ネットワーク(ADINet)の発展について発表しました。ADINetには2種類の連携があり、1つは、検証、研究応用、網羅のための連携を含む既存の連携、もう1つは、統合と強化のための連携を含む外部連携であると説明しました。ADINetとGLIDEの連携は、統合のための連携に該当するとしました。
 
アジア防災センター(ADRC)主任研究員塩見有美氏は、GLobal disaster IDEntifier(GLIDE)の取組みの改善点、特にオープンなガバナンスと機能性の向上について発表しました。ガバナンスに関しては、2021年に運営委員会が設立され、API、SOP、新規開発の3つの分科会が設置されました。開発面では、2つの新しいマニュアルを開発し、2022年にはクラウドソーシングを導入して、ユーザーが「GLIDEデータベース内で未登録の災害」を報告できるようになりました。また、ReliefWeb、Sentinel Asia、UNOSAT、ADINet、ESCAPとの連携を含む、GLIDEと他の災害データ管理ツールとの連携が構築されていると説明しました。

本セッションでは、災害データの収集、報告、共有のための課題と、効果的に災害データを管理するための実例が共有されました。仙台防災枠組の報告は進んでいるものの、国や地方レベルでのデータ収集や管理にはまだ溝があることが明らかになりました。これらの課題に対処するため、関係者は多様なツールを開発しており、こうしたデータ管理ツールとの連携が必要であることが確認されました。

<セッション3:衛星を活用した防災・危機管理情報の提供>
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本セッションは、災害や危機管理のための準天頂衛星システム(QZSS)(DCレポート)の利用に関する概要について提供するとともに、数か国で実施したQZSS DCレポート実証実験の成果について共有しました。

本セッションのモデレーターであるADRC主任研究員/神戸大学客員准教授 ジェラルド・ポトゥタン氏は、アジア地域の遠隔地、山岳地帯、島嶼地域に暮らす人々は、インターネットやセルラー通信へのアクセスに制約があるか、まったくアクセスできない状況が確認されたと報告しました。そして、災害発生の危険にさらされている人々に対し、警報情報が届かないことが度々発生しているとしました。QZSSを介した警報情報の提供することにより、本課題に対処でき、次の媒体へ直接警報情報を発信することができます。1)受信機/端末を持つ個人、2)屋外の電子掲示板、3)コミュニティ・アラーム (サイレンやビームライトなど) を作動できる受信機。 

内閣府宇宙開発戦略推進事務局次長 本江信夫氏は、災害および危機管理のためのQZSSの利用について、QZSSが保持するサービスの1つとして、災害・危機管理通報サービス「災危通報」 (DCレポート)があると説明しました。各国の災害管理機関は、インフラの被災や地上系ネットワークが未整備のためにインターネットや携帯電話サービスがない場合でも、危険にさらされているコミュニティにQZSS 衛星を介して警報を提供することが可能であるとしました。2022年12月現在、約390製品がQZSSによる情報の受信に対応しているとし、オーストラリア、フィジー、タイでQZSSの利用実証が行われていると報告しました。

NTTdata社会イノベーション事業部GISエンジニア 郭潤潔氏は、QZSSの早期警戒利用プロジェクトの主な目的は、QZSS DCレポートサービスを使用した、各国の災害時情報伝達に関するニーズと環境に合わせたシステムの作成であると説明しました。2024年に予定されているQZSS DCレポートの運用開始前に実証実験を行うことにより、本システムの実装と展開に関して必要とされるシステム上の要件整理と解決すべき問題を特定でき、また、地域の特徴を早期警報システムに適用する機会となると考えている旨述べました。

アジア航測先端技術研究所会基盤システム開発センター ハス研究室長 ハス・バートル氏は、アジア太平洋地域の21か国を対象とした、QZSSを使用した災害情報システムの実現可能性調査結果について、1)QZSS の受信条件、2)具体的な災害事例と課題、3)早期警戒システムの実装の必要性について発表しました。共通の問題の1つとしては、警報の伝達に関するものがあり、その他の問題としては、多くのチャネルを通過する際の情報の歪みや、情報の到着の遅れ、および、電気通信ネットワークの受信可能範囲の限界がありました。

NTTdata社会イノベーション事業部 係長 市川龍之介氏は、タイ、フィジー、オーストラリアで実施されたQZSS実証の成果について報告しました。タイでのシナリオは、森林火災であり、QZSSを利用することで、レンジャーは公園内のどこにいても直接情報を受け取ることができます。フィジーでのシナリオは、津波であり、通信局では、QZSS信号を受信し、さらに低電力広域ネットワーク (LPWAN) によって情報が送信されます。オーストラリアでのシナリオは山火事です。QZSSからスマートフォンでの情報受信が可能です。この結果から、次のデモンストレーションでは、通信方法 (Wi-Fi LPWAN、および Bluetooth) を使用して、居住者がモバイル端末でメッセージを受信できるようにする予定であると報告しました。

フィジー国家災害管理局(NDMO)局長 ヴァシティ・ソコ氏は、フィジーで QZSSを利用する理由の一つとして、フィジーが太平洋に位置し、バヌアツとサモアに挟まれているため、周辺国の災害が、フィジーに影響を与えていることであると報告しました。災害管理システムとNDMOの防災イニシアチブがあるものの、リスクコミュニケーションが、フィジーにおける防災の弱みとなっているとし、この点で、フィジーでのQZSSの利用は、歓迎すべき試みであると述べました。

カンボジア国家防災委員会(NCDM) 主任技術官 ソチース・ソー氏は、カンボジアの災害リスク管理情報システム、特に 被害状況把握プラットフォーム(PRISM)は、フィールドアセスメント情報、早期警報システム、衛星データ、ベースライン人口および社会経済的脆弱性データをリンクして、カンボジアにおけるリスクと影響を監視しているとしました。QZSSが、地域の環境に合わせた警報伝達システムを提供することで、PRISMを補強することが期待されており、また、QZSSプロジェクトは、災害および危機管理を改善し、カンボジアの防災能力を高めることができると述べました。
(2023/03/22 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)

2023年3月10日から12日にアジア防災会議2022(ACDR2022)が宮城県仙台市の仙台国際センターで開催されました。今回は、メンバー国や関係者など幅広く参加が出来るよう、オンラインでも参加が可能なハイブリッド形式で対応されました。最終的に、ACDR2022には、メンバー国、国際機関、民間企業、研究・学術機関などから、現地参加として84人、オンライン参加として121人、合計205人が参加しました。

会議冒頭の開会式の様子と、特別セッションについて報告いたします。

<開会式>
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開会の挨拶では、まず谷公一内閣府特命担当大臣(防災)がACDR2022開会に際し、東日本大震災およびトルコ及びシリアで発生した大規模地震災害について哀悼の意を表され、2003年より開催されている本会議の重要性について述べました。次に濱田政則ADRCセンター長は、ADRCは1998年の設立以来、災害リスク削減に向けた、多国間協力、支援を進めてきたが、世界およびアジア地域において、災害リスクは増加傾向にあり、加盟国が協力や連携を深め、安心安全な社会づくりに寄与できると強く信じていると述べました。最後に郡和子仙台市長は、冒頭にトルコ及びシリアで発生した大規模地震災害について哀悼の意を表され、東日本大震災の経験も踏まえながら、多発する地震や津波、激甚化する風水害などのリスクに備えるため、参加者がそれぞれの想いや知見を共有し、繋がることが大切なことであると述べました。また、今回現地参加できなかったトルコのカウンターパートである内務省災害危機管理庁(AFAD)長官からのメッセージを、笹原顕雄ADRC所長が代読しました。

<特別セッション>
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特別セッションは、3つのパートで構成されました。最初に、発生から100年を迎える1923年の関東地震の教訓とその後の対策、続いて1995年の阪神・淡路大震災と2011年の東日本大震災での新たな知見と残された課題、最後に災害が多いアジア地域の被害軽減のために活かすべき教訓や技術について議論や提言が行われました。

ADRC会長の伊藤氏は、安全な街づくりや現代の都市デザインは、関東大震災の復興に触発されていることを紹介しました。また、関東大震災をきっかけとして建築や都市開発が大きくステップアップし、従来、外壁が下見板張りで木がむき出しだった集合住宅はコンクリートの活用が進み、公共建築が充実していったことを説明しました。
ADRCセンター長の濱田氏は、関東大震災は日本の地震工学の始まりであるとし、関東大震災では、木造家屋だけでなく、明治維新以来、海外から技術移入されて建設されてきた近代的な建物も被害を受け、これにより建物や構造物の耐震設計が行われるようになったと紹介しました。
早稲田大学理工学術員名誉教授の長谷見氏は、第一次世界大戦期の人口急増で木造密集市街地が拡がり、震災時に同時多発的に火災が発生し、多くの家屋が焼失したこと、その経験から、大都市圏では防火対策が導入されていることを紹介されました。
常葉大学社会環境学部教授の重川氏は、防災教育の推進と災害リテラシーの向上による「人づくり」の重要性に言及しました。そして、日本は、アジア地域で適用可能と思われるさまざまな経験や教訓を蓄積してきていると述べました。
最後に、モデレーターである吉村氏は、パネリストの協議を通して、関東大震災以降、様々な被害の様態に対応できるよう、構造的および非構造的な災害対策が開発・検討・改善されてきたこと、最悪の事態の際の被害を想定して事前防災投資を行うようになったことが明らかになった、と述べました。
(2023/03/21 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)
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2023年3月10日から12日にアジア防災会議2022(ADRC2022)が宮城県仙台市の仙台国際センターで開催されました。今回は、メンバー国や関係者など幅広く参加が出来るよう、オンラインでも参加が可能なハイブリッド形式で対応されました。

2022年度のアジア防災会議では、「WHAT IS NEXT? -過去に学び、未来に備える-」と題して、国レベルの防災システムをさらに強化するために、過去の教訓をリスク情報に基づく備えの取組みに生かすことの重要性について議論されました。

セッション別のテーマとしては、1)大規模災害とその対策、2)仙台防災枠組の取組みにおけるデータ連携の拡大-GLIDE(Global IDEntifier Number)の利用促進、3)衛星を活用した防災・危機管理情報の提供、の3つを取り上げ、各専門家からの報告や参加者との意見交換が行われました。また特別セッションとして、「関東大震災100年スペシャルセッション ~過去の災害からの教訓をどう生かすか~」を設け、都市圏における関東大震災からの復興の過程などが報告され、アジア地域におけるよりよい防災活動の提言が述べられました。

また関連イベントとして、内閣府主催のJIPAD(防災技術の海外展開に向けた官民連絡会)セミナーや、世界防災フォーラムにおけるJICA主催のセッション「仙台防災枠組の中間レビューに向けた成果と課題」にも参加者は出席しました。最後に、会議終了日には東日本大震災の被災地である名取市閖上地区へ視察を行いました。
(2023/03/20 15:00)
2023年2月2日~3日(オンライン)
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2023年2月2日~3日にネパールのカトマンズで、第5回国土・地域計画プラットフォーム(SPP)会合が開催され、自然災害の増加や気候変動による国土計画の課題への対応を中心に議論が行われました。ADRCは本会議にオンラインで参加しました。

国土計画は、無計画な開発や急激な都市開発に対抗するための不可欠なツールであるため、この計画実践は、交通、インフラ、住宅、景観、レクリエーションなどだけでなく、より多くの国土に対する需要の高まりという固有の課題に直面しています。そこで、第5回SPPでは、気候変動の中で、土地や天然資源の慎重な利用を確保するための国土計画をどのように策定し、実施するかに取り組みました。

セッション「気候変動適応のための国土計画と地域アプローチ」では、バングラデシュ、マレーシア、フィリピン、ウガンダの経験が紹介されました。自然災害の多いフィリピンでは、政府は国土計画の全体的な枠組みを採用し、次のような貢献をしています。1) 地域間の接続性を改善し、経済機会や社会サービスへのアクセスを向上させることで包括的な成長を実現する、2) 首都圏の混雑を緩和し、国内の主要都市に成長を誘導する、3) 災害の影響を緩和・軽減するために脆弱性削減戦略を取り入れる、4) 部門計画、地域・地方開発計画、地方政府の土地利用計画と国家枠組みを整合させ、一貫性を確保する、などです。

会議の詳細は、オンラインでアクセスできます: 
(2023/02/09 15:00)
2022年6月16日(オンライン)

2022年6月16日、第3回GLIDE運営委員会会議がオンライン開催され、運営委員会メンバー10機関より15名が参加し、GLIDE運営にかかる諸問題や今後の活動方針について議論した他、GLIDE活用事例の紹介、共有を行いました。

会議では現議長である東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)小野裕一教授の運営委員会議長の再任が決まり、小野教授からはGLIDEの推進をより具体化していきたい旨の発言がありました。

続いてSOP、API、製品開発の小委員会から活動報告と本年の計画について報告がありました。小委員会間での重複する課題について取り組んでいくことが合意されました。

会議の中でADRC、UNDPはGLIDE APIの活用例を紹介し、メンバー機関に協力をよびかけました。

2022/07/31(15:00)
2022年3月31日

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日本の準天頂衛星システム早期警報サービス(QZSS-EWS)は、衛星を利用して災害警報情報を送信します(図)。これは、特にネットワーク接続が制限されている地域(山岳地帯や島嶼地域など)で、警報情報を伝達する際に、地上の電気通信設備(TV、ラジオ、携帯電話、その他のデバイスなど)を強化します。日本は、2024年にアジア太平洋地域でQZSS-EWSを拡大する予定であるため、アジア防災センター(ADRC)はこの目的のためにフィージビリティ(実現可能性)調査を実施しています。最近実施された調査では、ADRCは次の3つの異なる地域環境で、災害リスクの種類が異なる場合のQZSS-EWSの使用について調査を行いました。

1)熱帯低気圧が発生しやすいバングラデシュの沿岸地域のコミュニティ
2)氷河湖決壊洪水(GLOF)を起こしやすいブータン・ヒマラヤの下流地域の農村のコミュニティ
3)ズッドの影響を受けやすいモンゴルの草原に住む遊牧民のコミュニティ

調査により得られた結果は以下の通りです。

- 既存のネットワークの接続が限られているため、警報情報が危険にさらされているコミュニティに到達しないか、到達した場合、情報が不明確、歪曲、または遅延する。したがって、これらのコミュニティの早期警報システムを強化する必要がある。
- 各対象地域には、バングラデシュのサイクロン準備プログラム(CPP)、ブータンのGLOF早期警報システム、モンゴルのズッド・リスク・マップなど、QZSS-EWSの運用化のための入り口が存在する。
- 長期的により大きな利益を得るためには、コミュニティメンバーの能力開発と意識向上に投資する必要がある。

3つのコミュニティにおいてQZSS-EWSは、以下の通り、人命と生計を救う大きな可能性を秘めています。

-「災害圏内」にいる個人に直接警報を伝達し、最寄りの避難場所の情報を通知する。
- 低電力広域ネットワークを介して作動するコミュニティのサイレンで自動的にアラームを鳴らす。
- コミュニティの電子掲示板に警報メッセージを直接表示する。

(2022/4/7 15:00)

2021年9月1日(オンライン)


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2021年9月1日、アジア防災センターは京都大学のGlobal Alliance of Disaster Research Institutes (GADRI) 事務局が主催する「5th Global Summit of GADRI: Engaging Sciences in Action」に参加しました。この会議はオンラインによって開催され、世界各国の大学や関係機関が参加し、防災分野における最新の研究や記述発表、実際のプロジェクトの紹介などに関する報告が行われました。
ADRCは、本ワークショップのグループ2のパネルディスカッションに登壇し、センチネルアジアの活動を通じた、防災分野における宇宙技術の利活用と優良事例について紹介しました。説明の中では、防災担当機関と宇宙機関との連携に合わせて、研究機関ネットワークの拡充と、センチネルアジアへの支援について提案を行いました。

(2021/9/24 18:30)

20201212日(オンライン)

 

2006年以降、台風委員会(ESCAPとWMOの支援の下、アジア太平洋地域の14の加盟国で構成される政府間組織)は、気象、水文、防災の3分野にかかる「統合ワークショップ」(IWS)を毎年開催しています。IWSの主な目的は、現在および新たに発生している台風関連の問題/テーマについて話し合うことです。 本年の台風委員会第15回IWSは、「緊急事態における台風関連の災害リスク軽減のための革新的な戦略と対策」をテーマに掲げ、2020年12月1日から2日にかけオンラインで実施されました。

 

ADRCは、「コロナ禍の災害対応:最近の台風からの教訓」というタイトルの基調講演を行いました。発表では新型コロナウイルス感染症の大流行に加え、最近の台風災害への対応におけるフィリピン、インド、韓国の防災機関の活動に焦点が当てられました。

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人々の移動の制限、社会的距離、マスク、フェイスシールドなどの顔面保護等の感染防止対策の必要性を鑑み、防災機関は新しい対応策を導入しました。例えば (i)より多くの避難所の指定(ii)新型コロナ感染症に感染した避難者をスクリーニングおよび隔離するために別個の措置 (iii)意思決定サポートのためのデジタルテクノロジー(モバイルアプリや災害ダッシュボードなど)の利用等。

 

ADRCからは2名が防災作業部会等に参加し、2021年の年間運用計画(AOP)の最終化に関する議論に加わりました。2020年のAOPのほとんどは新型コロナウイルス感染により実施できなかったため、2021年は、AOPの活動はオンライン活用も含め継続される予定です。

 

(2020/12/11 14:40) 

2019年11月26-29日(名古屋)

2019年11月26日から29日まで、日本の文部科学省、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の共催により、アジア太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum, APRSAF)の年次会合が名古屋で開催されました。 APRSAFはアジア太平洋地域における宇宙利用の促進を目的として1993年に設立された、アジア太平洋地域で最大規模の宇 宙関連会議です。この会議には、各国の宇宙機関や行政機関、国連等の国際機関や民間企業、研究機関等さまざまな組織が参 加しています。また、現在では、APRSAFでは4つの分科会(宇宙利用・宇宙技術・宇宙環境利用・宇宙教育)が設置され、各国 の宇宙活動や将来計画に関する情報交換を行うとともに、災害や環境など共通の問題解決に向けた具体的な国際協力活動を 行っています。 今回、ADRCは宇宙利用分科会のワーキングに参加し、「センチネルアジア」における緊急観測対応や今後の行動計画につ いて報告を行いました。「センチネルアジア」は、地球観測衛星画像などの情報を災害管理に活用しようとする活動です。 ADRCは、1996年からこのセンチネルアジアの枠組みの中で、災害発生時におけるメンバー国等からの緊急観測の要求の窓口としての 審査、宇宙機関との連絡調整等の役割を担っています。 

2019年9月11~12日(中国、北京) 

ADRCは、中国北京市で2019年9月11日、12日に開催された国連宇宙技術防災利用に関する国際会議、及び国連SPIDER北京事務所10周年記念行事 に参加しました。 ADRCは、センチネルアジアを通じて宇宙・衛星由来の技術及びデータの 防災利用を促進するため主導的な役割を果たしてきましたが、国連SPIDER の地域支援オフィスとして国連宇宙局(UNOOSA)との協力関係にあります。 会議では、ADRCを含む国連SPIDERの地域支援オフィスがステージ上でそれぞれ記念の額を授与されました。 この他、ADRCは、地球観測技術の進歩と防災を支援する公開データの進歩に関するセッション、国連SPIDERの ネットワーク構築に関するセッションでプレゼンテーションを行いました。 今後さらに効果的に宇宙・衛星由来のデータを防災に利用するためには、 データをより容易に利用することができるよう関係機関のデータ利用ポリシーを議論する必要があります。  

2019年6月18~21日(韓国、蔚山)

2019年6月18日から6月21日まで韓国、蔚山でUNESCAP/WMO台風委員会防災作業部会が開催されました。「防災に関するデータの普及と共有」と題された本会議は、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)/世界気象機関(WMO)台風委員会(TC)と韓国国家防災研究所(NDMI)により主催され、今年で14回目の会合になります。 台風に関連する科学技術、政策情報が本会議のテーマであり、ADRCを含むメンバー国、関係機関の参加者約30人が、各自の科学技術、政策情報に ついて報告を行いました。またWMO、NDMIからは防災情報システムの現状について発表されました。 ADRCからは、「2018年日本に上陸した台風の概況」と題してプレゼンテーションを行いました。   

2019年6月18~19日(オーストリア、ウィーン)

アジア防災センター(ADRC)は、2019年6月18日と19日にオーストリアのウィーンで開催された、第9回UNSPIDER地域事務所に関する年次 会合へ参加しました。他の地域事務所からの参加者は、それぞれの活動(人材育成、啓発、情報共有など)について報告を行 いました。ADRCから参加した鈴木所長は、宇宙技術分野における早期警報システムのプラットフォーム構築に関する活動について報告を行いました。 また本会合において、ADRCは仙台行動枠組をより推進させるためのより積極的な防災活動と、宇宙技術分野に関するデータの利活用が重要な役割であることを述べました。 世界における多くの国々では、災害に関するデータや情報がまだ減災に効果的ではなかったころから、災害リスクを把握に努めてきています。 いまでは、人口衛星を用いたリモートセンシングデータおよび情報を用いた災害リスクの把握に尽力しています。 およそ10年前の2009年6月に、第52回国連宇宙空間平和利用委員会において、ADRCと国連宇宙部は、ADRCがアジア地域におけるUN-SPIDERの 地域事務所として位置付けられることを確認し、採択を行いました。以降、ADRCは防災分野における宇宙技術の利活用を目的としたセンチネル アジアについても積極的な参加をしてきました。 ADRCは、災害時におけるよりよい緊急対応や、宇宙技術に係る情報ツールの構築など、センチネルアジアとUN-SPIDERの地域事務所が密に連 携されることを期待しています。今後も、ADRCは国連宇宙部と他の地域事務所とより積極的にコミュニケーションを図っていきたいと思います。  

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2019年5月14日(スイス、ジュネーブ) 

2019年5月14日、スイス、ジューブにて、アジア防災センターはGLIDE関係機関を対象とした会議を開催しました。これは、20年近くにわたりGLIDEの運営に協力してきた機関が一堂に会し、現状の問題点と今後の刷新について意見交換することを目的としたものです。防災、災害データに携わる国連、国際機関、研究機関等から15名の参加があり、活発に意見を交わしました。現在の利用状況の把握、Steering Committeeの立ち上げの必要性等について意見が上がった他、引き続き議論を行うことに合意しました。GLIDEの今後の刷新に向けた第一歩となる場となりました。 
(2019/5/27 17:40)
2019年5月13日~17日 (スイス、ジュネーブ)

2019年5月13日~17日、スイスのジュネーブで開催された「第6回グローバル・プラットフォーム会合」での5つの主要なイベント(セッション)でのIRP/ADRCの活動を特集します。
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コミュニティ主導の復興
このセッションのパネリストの一人として、IRP事務局から参加し、世界の事例研究から収集したコミュニティ主導の復興の教訓について発表しました。プレゼンテーションでは、コミュニティ主導の復興には複雑なプロセスがあることを確認しました。しばしば住民からの抵抗を受け、土地保有、住宅設計、関係者の社会政治的な課題に直面している計画についてはコミュニティが運営する必要があります。良いこととして、これらの課題に対応するのを手助けする習慣、手段、技法があることです。インド、グジャラート州の「せつ」、神戸の「まちづくり」のような新しい取り組みは、コミュニティにとって解決策のほんの一部です。プレゼンテーションでは、コミュニティ主導の復興には標準的な手法はないことを強調しました。コミュニティにとって文化の観点から復興(事前契約、事前の災害軽減、事前復興計画)の準備をすることが不可欠です。
都市の復興における文化を通じての社会的包摂の促進
IRPの議長である世界銀行防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)のジョセフ・ライトマン氏と内閣府の佐谷節子氏がこのセッションを先導しました。モデレータとして、ライトマン氏は、文化が社会的包摂、リスク軽減、復興準備のために欠かせない要素になり得ると強調しました。この裏付けとして、佐谷氏は熊本城の復興がシンボルになっている2016年の熊本地震からの復興で、どのようにして文化が重要な役割を果たしているかを示しました。文化遺産として、全ての人が復興過程に貢献するために、人々は、城に対して強い関係と当事者意識を持っています。このセッションでは、社会的包摂とレジリエントな復興を促進するために、「人間中心のアプローチと地域に基づいたアプローチを統合した、都市の復興枠組みにおける文化」についても紹介しました。
Build Back Better(より良い復興)とWRCの成果
UNDRRと協力して、IRP/ADRCはよりインクルーシブな「Build Back Better(より良い復興)」の効果を達成するための経験、課題、教訓を引き出し、第4回世界復興会議の成果を報告するために、このワーキングセッションを共同開催しました。セッションでは、包摂が「Build Back Better(より良い復興)」にとって不可欠であり、多くの政治的手法が包摂的な課題を受け入れていますが、これらの手法が人間中心となるようにより一層の努力が必要とされることを議論しました。この観点から、パネリストは、エンパワーメントの機会の促進、脆弱な立場にある人々を含めた人々のための新しい技術や解決策の採用、人々を包摂し結びつけるための統合されたアプローチの適用、政策決定者が排除の道筋に対応するための新しいツールの活用によって、復興プログラムの中で包摂の課題を推進していくことにコミットしました。
UNDP総裁補兼危機管理局長の岡井朝子氏がこのセッションのモデレータをつとめ、パネリストとして、ハイチ政府、インドネシア政府、世界銀行、国際赤十字・赤新月社連盟、JICAから登壇しました。
運営委員会
IRPは第25回運営委員会をグローバル・プラットフォーム会合の機会を捉えて開催しました。IRPのメンバーは新しいナレッジプロダクト、戦略、新たな取り組みを発表する機会を持ちました。
以下の3つの新たな取り組みが発表されました。
1 UN-Habitatのナレッジプロダクト「災害後のより安全な住宅復興の支援」 
2 WHOの「緊急医療と災害リスク管理枠組戦略」
3 GFDRRの「レジリエントな住宅の課題」:建築家と技術者が災害のリスクを減少させ、災害からの急速な復興を可能にするレジリエントで持続可能な住宅の設計を求められています。
復旧・再建・復興における「Build Back Better(より良い復興)」の知識のプラットフォームとして、IRP/ADRCはこれらの資料のより幅広い普及を図るために、ウェブサイトに掲載します。
IRP/ADRCのサイドイベント
包摂的な「Build Back Better(より良い復興)」の効果の確保を手助けする活動の更なる見識を得るために、IRP/ADRCのサイドイベントでは、「生活再建」が排除の経路を取り除く復興プロセス中の最終の目標であるべきであると示しました。セッションでは、「復興プロセスが包摂的でなければ、好ましくない」ことを認識しました。パネリストは、包摂的な復興には、包摂的な組織の調整、心理社会的復興の人間中心のメカニズム、全てのステークホルダーが協力するための中立的なスペース、社会的復興への高い関心、文化に敏感な復興プログラムが必要であることを指摘しました。さらに、包摂的な復興のための手段として、住民の居住地と能力を考慮したコミュニティの事前復興計画と予算措置を統合させる必要があります。セッションでは、「Build Back Better(より良い復興)」の効果の確保を手助けするものとして、コミュニティ主導の住宅復興への分割補助金の採用、コミュニティの事前復興計画の社会的ネットワークへの関与、住宅所有者の住宅の改良の促進、復興プログラムの設計と実行のための村落と学術機関の協力モデルの活用を確認しました。

(2019/05/24 14:40)

2015年12月14日~18日(タイ、バンコク) 

foto2.pngのサムネール画像foto3.png
 アジア開発銀行は18ヶ月4カ国で実施する「宇宙技術と情報通信技術による防災力向上プロジェクト」のリージョナル・キックオフミーティングを12月の14-18日にタイのAITで開催した。
14-15日は、プロジェクトのその成果となるOSM(Open Street Map)の概念と利用法及び過去の実用例を学ぶとともに、AIT構内で演習を行った。
16-17日はADBによりプロジェクトの全体説明がなされ、次いでInternational コンサルタント(AIT、ADRC, RESTEC、PASCO、Geo Things)による貢献内容の説明、及びパイロット・プロジェクトを開催する各国(アルメニア、バングラデシュ、フィジー、フィリピン)における状況把握と本プロジェクトにおける目標等を議論した。
18日は本プロジェクトとセンチネル・アジアの関連について説明と意見交換を行った。
2016年2-4月に4カ国でそれぞれキックオフのワークショップを開催する予定となっている。
 ADRCは荒木田主任研究員と小川初代所長が参加する予定である。
2015年9月9日~11日(中国、北京)

ADRCは9月9-11日に中国の北京で開催された第8回全地球観測システム(GEOSS)会合のアジア太平洋地域における主要災害観測 (AP-MaNDM)WGに参加した。最初に各国から防災対策における宇宙技術の利用状況報告がなされた。次いで防災分野における世界的/地域的な宇宙技術協力に関するセッションがあり、ADRCは防災機関と宇宙機関の協力を推進しているセンチネル・アジアについて取組状況の報告と今後の方向性を示した。このWGの中では、鈴木防災科学技術研究所審議役、元ADRC所長から、更にレジリエントなプラットフォームの構築について提案があり、WGは、その実現に向けた協力をすることで合意したfoto1.jpg

2015年5月25日~27日(バングラデシュ、ダッカ)


workshop.JPG昨年12月にバングラデシュで開催した「IRP復興ワークショップ」では、復興のあらゆる過程において「Build Back Better」を基軸に、それを明確に位置づけることの必要性が求められました。これを受けて、防災・救護省(MoDMR)、バングラデシュ災害復興戦略研究所(ISRSDRR)、国連開発計画(UNDP)との共催で、IRP/ADRCは3日間の「IRP復興ワークショップ」をバングラデシュ、ダッカで開催しました。

ワークショップには50名を越える参加者が集まり、バングラデシュ政府の関係省庁や大学、開発機関、NGO、民間セクターから派遣されたハイレベルな専門家によって、「仙台防災枠組(SFDRR)」を踏まえた復興に関する課題について熱心な議論が展開されました。

バングラデシュ政府の防災・救護大臣、Mofazzal Hossain Chowdhury Maya Bir Bikram氏による開会の辞では、「Build Back Better」の考え方を具現化した効果的な災害管理プログラムの確立に取り組んでいくことが述べられ、また、閉会の辞では、情報大臣、Hasanul Haq Inu氏により、「Build Back Better」の取組みは、情報省や広報機関を通して広く推奨することを支援していくことが、参加者に約束されました。

今回のワークショップの成果としては、復興において問題となる事柄を整理するとともに、「バングラデシュにおける災害前の復興計画」に盛り込まれるべき最初の戦略と行動が、参加者によって整理されたことです。こうしたワークショップの成果をベースに、次に実行するべきステップが次のとおり整理されました。

一つは、6月16日にバングラデシュ国会議員を対象に「Build Back Better」セッションを開催することです。法的支援や法制化を必要とする災害リスク低減と復興問題について国会議員への理解を深めてもらうことが目的です。

二つ目は、防災・救護省が、国連開発計画(UNDP)の支援を通じて、「バングラデシュにおける災害前の復興計画」の最初の戦略と行動の策定を進めるために、8月の第1週に「Writeshop」を開催することです。

三つ目は、防災・救護省とBuild Back Better基金との間における調整を通して、既存の政策や計画に係る法的文書において、復興課題の一覧を位置づけてもらうことが重要と考えます。特に計画省が促進する「Delta Plan」において位置づけられることは大変重要です。

四つ目が、防災・救護省の後援のもと、Build Back Better基金が、バングラデシュにおける主要な関係団体との結びつきを深めることが広く支持されることです。そうすることによってInter-Ministerial Disaster Coordinating Council (IMDCC) の開催が可能となり、復興課題が計画に反映されることにつながっていくと考えます。

最後に、Build Back Better基金が、防災・救護省や関係者との協働を通じて「Build Back Better」を促進する新たなプログラムやプロジェクトを提案していきます。例えば、大学や国際的な知識の交流拠点の間で、復興専門家やボランティア、パートナーシップの絶対的数量がある一定ラインを超えることによって、知識共有や交換の促進だけでなく、学校の教育課程においても復興課題が位置づけられることにも結びつくようになります。最初の提案として、そうした絶対的数量を確保することも含まれます。

(2015/06/02 14:40)


2011年12月13-14日(ブルネイ)

アジア防災センターは、日本アセアン統合基金の資金供与を受けて2008年度からGLIDEを用いた災害データベース構築事業を実施しています。 本事業はアセアン各国に対しGLIDEの理解及びGLIDEを用いた災害データベース構築を目的とした研修を行っております。
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 2011年12月13-14日には、ブルネイ大学において、National Disaster Management Center (NCDM) の連携のもと、UNISDRと協力し、GLIDE及びDesInventarの操作研修を行いました。
 
政府の関係部門から約25名の参加があり、関心の高さが窺えました。今後ブルネイ政府と更なる活用に向けて検討を行っていきたいと思います。
(2011/12/14 11:30)
2011年12月9日(台湾、台北)

2011年12月9日より台湾の国家災害防救科技中心が主催する巨大都市型地震災害とBCP事業継続計画に関するワークショップが台北で開催され、アジア防災センターも講師として参加いたしました。
ワークショップではアジア防災センターより地域における民間部門の事業継続能力(BCP)向上の重要性やAPECアジア太平洋経済協力の地域における民間企業のBCPへの取組状況について発表を行いました。80名の行政関係者、公的機関、民間企業、研究者、学生などが参加し、民間企業の災害時の役割や災害に対する事前準備の必要性などに関する活発な議論が行われ、関心の高さが窺えました。
(2011/12/9 11:30)
2011年10月31日-11月2日(中国、北京)

アジア防災センターは、2011年10月31日から11月2日まで中国、 北京で開催されたIRDR災害リスク統 合研究会議2011に参加しました。この中国での会議はIRDRと中国科学技 術協会の主催により実現したもので、40以上の国・地 域から300人に上る自然科学・社会科学の研究者、国・自治体などの 政策立案者、政治家などの関係者が集いました。IRDR災害リスク統合研究はICSU国際科学会議、ISSC国際社会科学会議、UNIDSR国連国際防災戦略の共催により設置されたネットワークで、自然災害が社会へ与える影響を軽減するために、様々な専門的学問領域の研究成果を統合活用し政策立案のプロセスや機能の向上を図ることを目標にしています。
IRDR会議は、3日間の議論を通じ関係者間で合意された、統合研究、協働、グローバルスタンダード、教育、啓発、資金調達等の重要テーマ盛り込んだ2011年北京宣言を発表して終了しました。

(2011/11/2 11:30)
2011年9月6日~9月8日(タイ王国、パタヤ)
 
アジア防災センターは、2011年9月6日から8日までタイ、パタヤで開催されたISDRアジアパートナーシップ(IAP)会議に参加しました。会議にはバングラディッシュ、ブータン、ブルネイ、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、モルジブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムの各国政府防災部門やAIT、ADPC、ADRC、JICA、ASEAN、EC、UNDP、UNISDRなどの国際機関、防災機関など約70名が参加しました。

今回のIAP会議では2010年10月に韓国のインチョンで開催された第4回アジア防災閣僚級会議(AMCDRR)で採択されたIncheon Action Planのフォローアップ、政府と地方自治体が連携した兵庫行動枠組(HFA)の推進策、2012年10月にインドネシアのジョグジャカルタで開催予定の第5回アジア防災閣僚級会議のテーマや目指すべき会議の成果などについて検討し活発な議論が行われました。また、10月13日の国際防災DAYに関する各国や機関のイベントや取組について紹介が行われました。

9日には同じ会場で引き続き開催された第18回アセアン防災委員会(ACDM)のオープンセッションに参加しました。会議ではアセアン10カ国に加え、日本、米国、ニュージーランド、豪州や国際機関などが参加し、アセアン防災緊急対応協定(AADMER)の遂行に向けた各種支援プロジェクトの提案や活動報告などが行われました。

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(2011/09/16 11:30)

2011年8月29日~9月1日 (ハノイ・フエ・ホーチミン、ベトナム)


防災分野におけるICTの活用方策に関する調査の一環として、8月29日から9月1日の4日間にわたり、ベトナムのハノイ、フエ、ホーチミンを訪問し、ベトナム政府の農業・地方開発省や天然資源・環境省などの政府機関及びJICA関係者に対するインタビュー及び関連資料の収集を実施しました。

ベトナムにおける防災分野におけるICTの活用は、気象予測・観測、リスクアセスメントやリスクマッピング、コミュニティや住民への早期警戒報等において着実に進展しています。一部には最先端のICT技術も観測基地を結ぶブロードバンドの導入や携帯電話による自動的な観測などが見られますが、その多くは実験的なものに限られます。

2011_09_01 043.jpgのサムネール画像のサムネール画像台風や洪水などの典型的な気候・水関連災害に対する準備は比較的良く進展している一方で、地滑り、土砂災害、地震や火山などへの準備は必ずしも十分とは言えない状況です。例えば、津波の警報システム(警報タワー)が近年ベトナム中部のダナン市で整備され始めたが、まだ十分ではなく、今後の更なる整備が必要です。また、災害対応能力の更なる向上のためには、様々な機関が情報を共有できるシステム、リモーとセンシング、画像情報システム、リアルタイム計測センサーなどの活用が考えられます。

なお、本調査の結果は今後の協力案件の形成に活用される予定です。

(2011/09/02 13:10)

2011年6月27日~29日(タイ、バンコク)


2011_07_01 011.JPG2011年6月27日~29日、バンコクの国連コンフェレンスセンターにて、アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の主催により、Expert Group Meeting on Regional Knowledge and Cooperation for Comprehensive Multi-Hazard Risk management in Asia and the Pacificが開催され、要請によりアジア防災センターは参加しました。この会合には、各国の代表、国連機関等からの参加があり、①Asia Pacific Gateway on Disaster Risk Reduction and Development、②Data for Disaster Risk Reduction and Assessment、③Regional Cooperative Mechanism on Disaster Monitoring and Early Warning, Particularly Drought、④Asia Pacific Disaster Reportに関し、現在の課題や今後の必要な取り組みについての議論が行われました。アジア防災センターとしては、災害に関するデータ整備の重要性、アジア防災センターが普及している世界災害共通番号(GLIDE)の活用、東日本大震災をはじめとして具体の災害に関する経験の共有の必要性等について説明を行いました。

また、6月29日~7月1日の日程でUNESCAP防災委員会が開催され、その初日アジア防災センターもオブザーバーとして参加しました。アジア太平洋地域における防災協力に関しアジア防災センターがその実施機関として貢献していることに関し複数の国の代表から言及があり、アジア防災センターとしても引き続き諸活動を通じて各国と協力を推進していくこととしました。

(2011/07/04 13:10)

2011年5月26日~6月4日(ブルネイ、バンダルセリベガワン)


アジア防災センターは、衛星画像の防災利用のための人材育成プログラムを、アジア工科大学(AIT)と協力して、2011年5月26日~6月4日にブルネイ国のバンダルセリベガワンで実施しました。
このプログラムは、講習(1日間)と実習(5日間)が含まれており、ブルネイ国測量局と協力して、プログラムを実施しました。なお、本プロジェクトは、ADRCが2008年から実施しているASEAN10カ国を対象にした4つの防災能力開発事業のうちの一つです。
ブルネイ国では、防災分野での衛星データの利用が進められていますが、衛星データを十分に使いこなせる技術者が不足しており、技術者の育成が課題です。
本プロジェクトでは、防災に携わる技術者や行政担当者を対象に、衛星データ利用のために必要なリモートセンシング技術やGIS、GPSに関する講習及び実習を行いました。
ブルネイ国では、洪水をケーススタディのテーマとし、洪水発生前と洪水発生後の衛星画像の比較をして、洪水氾濫区域の抽出をしました。
本プロジェクトを通して、各国の防災分野での衛星データの利用が更に推進されることが期待されます。
アジア防災センターでは、引き続き、ブルネイ国における防災分野での衛星データの利用を推進してゆきます。本プロジェクトの詳細については、ADRCのウェブサイトを参照下さい(http://www.adrc.asia/top_j.php)。

2011/6/2 13;20

2010年11月5日~11月10日 (西スマトラ州、インドネシア)

本年10月25日の午後9時過ぎ、インドネシア西スマトラ州メンタワイ諸島沖で発生した地震・津波は、メンタワイ諸島の北パガイ島・南パガイ島を中心に500名を超える死者行方不明者が発生するという大災害となりました。
アジア防災センター所長の是澤は、JICA-JSTインドネシアにおける地震火山の総合防災策プロジェクトの活動の一環として実施された日本とインドネシアの合同のメンタワイ諸島地震津波調査に参加し、主に事前の備え、緊急支援、復旧等の政策面に着目した調査を実施しました。調査の概要は別添の資料(
Mentawai Islands Tsunami Survey.pdf )をご参照下さい。

 (2010/11/15)

2010年10月11日(インドネシア、ジャカルタ)

アジア防災センターは、日本アセアン統合基金の資金供与を受けて2008年度からGLIDEを用いた災害データベース構築事業を実施しています。 本事業はアセアン各国より災害情報担当官1名ずつをアジア防災センターに招聘し、GLIDEの理解及びGLIDEを用いた災害データベース構築を目的とした研修を行っております。 2010年度はインドネシア、カンボジア、ミャンマーを対象に同様の研修を実施することとしており、今年度の対象国であるインドネシア共和国の災害情報担当部局とのキックオフミーティングを開催し、本事業への協力と災害情報担当官のアジア防災センターへの派遣について会合を行いました。(2010/10/14 11:30)

21010年10月6日(ミャンマー、ヤンゴン)


アジア防災センターは、日本アセアン統合基金の資金供与を受けて2008年度からGLIDEを用いた災害データベース構築事業を実施しています。 本事業はアセアン各国より災害情報担当官1名ずつをアジア防災センターに招聘し、GLIDEの理解及びGLIDEを用いた災害データベース構築を目的とした研修を行っております。 2010年度はインドネシア、カンボジア、ミャンマーを対象に同様の研修を実施することとしており、今年度の対象国であるミャンマーの災害情報担当部局とのキックオフミーティングを開催し、本事業への協力と災害情報担当官のアジア防災センターへの派遣について会合を行いました。

(2010/10/07 11:30)

 

2010年9月7日(カンボジア、プノンペン)

アジア防災センターは、日本アセアン統合基金の資金供与を受けて2008年度からGLIDEを用いた災害データベース構築事業を実施しています。 本事業はアセアン各国より災害情報担当官1名ずつをアジア防災センターに招聘し、GLIDEの理解及びGLIDEを用いた災害データベース構築を目的とした研修を行っております。 2010年度はインドネシア、カンボジア、ミャンマーを対象に同様の研修を実施することとしており、今年度の対象国であるカンボジアの災害情報担当部局とのキックオフミーティングを開催し、本事業への協力と災害情報担当官のアジア防災センターへの派遣について合意がなされました。

(2010/9/15 11:30)

2010年8月11日~20日,タイ,バンコク
2010年8月27日~9月3日,フィリピン,マニラ
2010年9月10日~17日,ミャンマー,ネピドー


アジア防災センターは、衛星画像の防災利用のための人材育成プログラムを、アジア工科大学(AIT)と協力して、2010年8月11日~20日にタイのバンコクで、2010年8月27日から9月3日にフィリピンのマニラで、2010年9月10日から17日にミャンマーのネピドーでの各国で実施しました。
このプログラムは、講習(1日間)と実習(5日間)が含まれており、タイ地理情報技術協会(GISTDA)、フィリピン火山地震研究所(PIVOLCS)、ミャンマー科学技術省(MOST)と協力して、プログラムを実施しました。なお、本プロジェクトは、ADRCが2008年から実施しているASEAN10カ国を対象にした4つの防災能力開発事業のうちの一つです。
タイやフィリピン、ミャンマーでは、防災分野での衛星データの利用が進められていますが、衛星データを十分に使いこなせる技術者が不足しており、技術者の育成が課題です。
本プロジェクトでは、防災に携わる技術者や行政担当者を対象に、衛星データ利用のために必要なリモートセンシング技術やGIS、GPSに関する講習及び実習を行ったところです。本プロジェクトを通して、各国の防災分野での衛星データの利用が更に推進されることが期待されます。
アジア防災センターでは、引き続き、タイ、フィリピン、ミャンマーにおける防災分野での衛星データの利用を推進していくとともに、本プロジェクトをASEANの他の国々に順次展開していく予定です。本プロジェクトの詳細については、ADRCのウェブサイトを参照下さい(http://www.adrc.asia/top_j.php)。

2010/10/06 13:20

2010年6月17日~18日(タイ・バンコク)


ADRCは、2010年6ADPC.JPG月17-18日にタイ・バンコクで開催された防災プロジェクトポータルの利用に関するトレーニングに参加しました。本トレーニングは、ISDR アジアパートナーシップ(IAP)のイニシアティブであるregional stocktaking and mapping of DRR interventionsをベースにしたもので、アジア災害予防センター(ADPC)が主催し、UNISDRとアジア開発銀行(ADB) の支援を受けて行われたものです。トレーニングには、IAPやアジア・太平洋地域で活躍する防災関連機関から約30名が参加しました。

トレーニングでは、参加者は防災プロジェクトポータルの利用について学ぶと共に、ポータルの利用促進や継続性についての意見交換を行いました。本ポータルは、アジア・太平洋地域における防災関係者間での調整や連携を押し進め、活動の重複化を避け、よりよい防災活動計画作成に寄与するものと期待されています。

ADRCは本ポータルに対しインプットを行っていくとともに、アジア・太平洋地域の防災関係者間でのよりよい調整と協力推進のために本ポータルの利用を促進していきたいと思っています。

(2010/06/30 16:50)

平成22年3月8日(バンコク、タイ)


センチネルアジアSTEP2で開発されている新しいWebシステムが4月より運用を開始します。それに伴い、センチネルアジア事務局とADRCおよび、関係機関による会議が、地理情報技術開発協会(GISTDA、バンコク、タイ)で開催されました。会議では、新しいWebシステムに概要、使用方法の説明がおこなわれました。
新しいWebシステムの運用開始に伴い、旧システムは、5月で、運用を中止となります。
新しいWebサイトを以下に示しました。
https://sentinel.tksc.jaxa.jp

(2010/03/30 13:20)

2009年8月19~20日(シンガポール国)

IMG_2027.JPGアジア防災センターは、ASEAN米国技術協力・訓練ファシリティが2009年8月19~20日にシンガポールのシンガポール民間防衛隊(Singapore Civil Defense Force)オフィスにおいて開催したリスク評価・モニタリング及び早期警戒に関するワーキンググループ会合に参加しました。

会合には、ASEAN事務局、ASEAN米国技術協力・訓練ファシリティ、国連開発計画及び太平洋災害センターを初めとして、シンガポール、カンボジア、フィリピン、インドネシア、ベトナム政府の災害情報担当官が参加し、ASEAN諸国におけるリスク評価・モニタリング及び早期警戒の在り方について活発な議論が展開されました。

アジア防災センターは、国連開発計画及び太平洋災害センターと共に防災における災害データベースの重要性に関するプレゼンテーションを行いました。リスク評価・モニタリング及び早期警戒に関するASEAN諸国における議論は緒についたばかりであり、そうした分野における我が国の先進的な知見やノウハウを移転すべく今後も積極的に議論に参加してきます。

(2009/9/1 11:30)
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