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ADRC活動報告

2023年11月28日~12月1日(タイ、バンコク)

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ADRCは、2023年11月28日~12月1日にかけてタイ・バンコクの国連会議センター(UNCC)で開催された、ESCAP/WMO台風委員会(TC)が主催、台風委員会事務局(TCS)と国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が共催の3つの関連イベントに参加しました。

最初のイベントは、第4回訓練・研究調整グループ(TRCG)フォーラムで、熱帯低気圧(トロピカル・サイクロン)の監視、予測、警報に関連する専門的な研究テーマ(人工知能など)や潜在的な運用アプリケーションについて発表が行われました。2つ目のイベントは第18回統合ワークショップ(IWS)で、これは4つの作業部会の年次統合イベントです。諮問作業部会(AWG)、気象作業部会(WGM)、水文作業部会(WGH)、防災作業部会(WGDRR)の4つの作業部会が毎年開催する統合的なもので、昨年度の作業を評価し、次年度の作業計画を策定します。第3のイベントは、並行して開催されたWGDRRの会合で、12カ国と2地域が参加し、年次活動計画(AOPs)の実施状況の評価を行いました。

WGDRRでは、ADRC(日本のフォーカルポイントである内閣府の代理として参加)が、情報共有、能力開発、技術移転に関する防災活動、特に準天頂衛星システムの災害・緊急危機レポート(QZSS-DCレポート)サービスに焦点を当て、WGDRRメンバーへの報告を行いました。さらに、ADRCはGLIDE番号システムの概要についても発表を行いました。プレゼンテーションの後、WGDRRメンバーは、AWGおよび台風委員会事務局の検討対象となる年次運用計画(AOPs)の一部として、GLIDE番号システムを含めることを提案しました。
(2023/12/5 15:00)
2023年11月20日~12月13日
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ADRCは、JICA研修「防災主流化の促進」コースを2023年11月20日から12月13日にわたり実施しました。

本研修においては、太平洋島しょ国及びアジア地域から行政官10名が本コースに参加し、防災の主流化のテーマに沿って、日本の各種防災政策と対策について学びました。研修員は国土交通省や自治体、研究機関等、専門機関の講義を受講し、現場視察として東京都、岐阜県、兵庫県で防災に関する関係施設を訪れました。また研修期間においては、合計4回の討論の場を設けて、研修員と専門家で意見交換を行いました。コースの最後には、コース参加を通じて学んだ点及びアクションプランを発表し締め括りました。

当研修実施にあたり、御講義いただきました各関係機関の皆様に厚く御礼申し上げます。今後とも引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(2023/12/20 15:00)
2023年11月15日(オンライン)
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2023年11月15日、ADRCオンライン津波セミナー「住民主体の津波対策の現状と課題」が開催されました。津波常襲地域に住むコミュニティは、意識向上、避津波への備えが住民の日常生活に組み込まれていれば、人命を守り、財産や生活への影響を軽減することができます。

ADRCメンバー国から3名のスピーカーを招き、ADRC主任研究員のジェリー・ポトゥタン氏がモデレーターを務めました。本セミナーの目的である、1)コミュニティベースの津波対策プログラムや活動を共有する、2)コミュニティベースの津波対策活動を各国で実施する際の課題について議論する、をもとに発表および議論が行われました。

タイ・ミン・フオン氏(ベトナム防災総局(VDDMA)科学技術国際協力課防災専門官)は、ベトナムはいまだ津波災害を経験していないが、政府はコミュニティや学校を動員して津波に備えていると報告しました。その活動とは、学校やコミューンでの津波に関する啓発活動、定期的な津波訓練の実施、津波早期警報システムの設置などです。フオン氏は、ベトナムにおける津波災害への備えは積極的なアプローチであると指摘し、「ベトナムでは津波の経験はないが、津波が発生しないという意味ではない」と強調しました。同じ観点から、政府は、津波に襲われる可能性のある地域のコミュニティに対して、津波への備えに関する活動へ積極的に関与するよう求めていますが、困難に直面していると報告がありました。

ランジス・アラコーン氏(国防省県防災調整ユニット課長補佐(ポロンナルワ県)は、2004年のインド洋大津波でスリランカのいくつかの沿岸地域が被害を受けたと述べました。その経験を生かし、政府はコミュニティ組織(VDMC)の設立を含む津波対策プログラムを実施してきました。しかし、VDMCには「法的地位」がないことが課題のひとつであると述べました。そのため、政府はVDMCに財政的支援を与えることができませんでした。その結果、VDMCは「オーナーシップ」がないため、政府が導入した災害対策プログラムに「積極的な関与」をすることができませんでした。この経験からの教訓の一つは、法的な資金付与を伴わない「トップダウン」のアプローチは困難であるということです。

中野元太氏(京都大学防災研究所巨大災害研究センター助教)は、日本は過去に津波災害を経験していると報告しました。その中で、地域に根ざした備えの取り組みは時代とともに進化してきました。近年、日本では、地域の津波対策に「協働モデル」を採用し、より組織的なアプローチが推進されています。中野氏は、高知県四万十町の興津集落の事例を紹介すると、このモデルは、各協力パートナーが以下のそれぞれの役割を担っていると説明しました。1)ボランティア組織が学校、自治体、専門家をつなぐ、2)小学校が子どもたちに津波から身を守る教育を行う、3)町役場がインフラ整備を実施する、4)大学が地震・津波災害に関する専門情報を提供する。共同活動の一例として、「防災マップ」の作成が挙げられ、生徒たちは必要な津波避難対策を考えることができます。

閉会にあたり、ADRCの笹原顕雄所長は、知識を伝え、共有し、忘れないためには、津波災害に関する啓発活動を定期的に行うことが重要であると強調しました。 

本セミナーの詳細は、津波オンラインセミナー2023のウェブサイトをご覧ください。
(2023/11/22 15:00)

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