メンバー国の能力向上及びメンバー国間での情報共有・関係強化を目指し、ADRCは2009年度から防災政策ピアレビュー事業を実施しています。6年目となった本年度はブータンを対象国のひとつとし、同国からのカントリーレポートの提出後、評価チーム(ピアレビュアー)が現地に入り、聞き取り調査等を行いました。
今回のブータンにおけるレビューのテーマは文化遺産と減災の融合(ダガナ城塞における防災力強化訓練プログラム)で、ADRC職員1名の他、アジア各国におけるコミュニティ防災の推進等に携わるNPO法人SEEDS Asiaの事務局長、中川裕子氏がレビュアーとして参加しました。
評価チームは、防災に関する研究や事業などを行っている内務文化省防災局や訓練プログラムを実施したダガナの城塞などを訪問し、各機関の取組みについて聞き取り調査を行うとともに、現場を視察することで、「初めて実施された今回の訓練が僧侶等の城塞関係者の防災意識や知識、実践力の向上につながった」「防災局と地元の消防等関係機関の友好な関係が事業実施を円滑に進めた」「関係者が防災の必要性を良く理解し、事業継続についての意欲が高い」などの評価と「将来的に火災だけではなく、地震などのマルチハザードに対応した訓練の実施」「学校やコミュニティと連携した防災訓練の実施」などを今後想定すべきといった提言に関する調査結果案をとりまとめました。また、現地ではワークショップを開催し、防災におけるコミュニティの関わりや学校教育の重要性を紹介し、今後のさらなる防災力の向上について、現地関係者と情報共有や協議を行いました。
今後は、評価チームが調査報告書をまとめ、対象国へ送付するとともに、ADRCメンバー国内でブータンからの最終事業報告書を共有する予定です。
最後に、本事業にご協力くださいました関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
(2014/12/22 19:40)