pagetop
ADRCの活動
トップページADRCの活動 > ADRCの活動報告

ADRC活動報告

2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)
20230310_3図1.png

2023年3月に仙台市で開催されたアジア防災会議2022(ACDR2022)の会議終了後に行われたフィールドトリップの模様についてです。

会議終了後、参加者はバスで名取市閖上地区へ移動しました。地元でとれた海産物等が販売されるゆりあげ港朝市/メイプル館での昼食の後、名取市北釜整備推進室にご協力いただき、2011年に発生した東日本大震災からの当地における復興、まちづくりの状況についての視察を行いました。

本視察では、山田司郎名取市長はじめ、名取市北釜整備推進室の職員の方々にご説明をいただき、1)震災復興伝承館、2)貞山運河・復興公営住宅、3)かわまちてらす閖上の順で、徒歩で現地視察を行いました。

20230310_3図2.png
まず震災復興伝承館では2グループに分かれ、山田司郎 名取市長より、当地における復興状況の概況および本施設の水防施設としての機能について説明を受けました。特に、震災後のまちづくりの説明では、震災直後の人口減少の話から、新たなまちづくり後に人口増加に転じた話に関心が集まりました。その後、貞山運河および復興公営住宅付近を歩きながら、土地のかさ上げについての説明や、公営住宅に設置された津波からの一時避難場所など、実際に見ながら具体的な説明を伺うことができました。最後に、地元の人たちや観光客であふれる商業施設かわまちてらす閖上で、本施設の防災機能について説明を伺ったのちに、自由散策を行いました。

2時間弱のフィールドトリップでは、名取市が実施した具体的なまちづくり施策や復興政策について、防災行政担当である参加者から積極的な質問が挙げられ、当地における復興の取り組みへの大きな関心が寄せられました。

名取市北釜整備推進室の皆様には、事前の準備から当日の案内まで多岐にわたりご協力いただきました。北釜整備推進室作成の「名取市における復興の概要」の英語版パンフレットは、当日の視察時の参考資料のみならず、参加者にとっては多くの貴重な復興の経験が詰まった資料でした。

本フィールドトリップでご協力いただきました皆様、そしてACDR2022にご参加いただきました皆様に改めてお礼を申し上げます。
(2023/03/23 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)

2023年3月に仙台市で開催されたアジア防災会議2022(ACDR2022)のセッション1~3について報告いたします。

<セッション1:大規模災害とその対策>
20230310_2図1.png

本セッションでは、以下の専門家を招聘し、気候危機や都市化の進展による経済被害の拡大、災害の連鎖・複合化により世界各地で激化している大規模災害の現状と対応について情報の共有を行い、より効果的な事前防災投資や防災対策など、災害リスク管理体制について学ぶ機会を提供しました。

本セッションのモデレーターである兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授 阪本真由美氏は、冒頭で大規模災害への対策強化の重要性を強調しました。2022年にパキスタンで発生した異常に長期化した洪水など、水災害は頻度と激しさを増しており、2023年2月のトルコ・シリア地震のように、地震は未知のダイナミクスであり、その発生は予測不可能であると述べました。これらの災害は、しばしば国境を越えて発生し、複数の国の人々に影響を与えることを指摘しました。

次に、神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部教授 荒島千鶴氏は、国際法の観点から、越境災害ガバナンスの課題を提示しました。また、国境を越える災害への対応に関する国家間の条約や二国間協定の交渉において、科学的根拠に基づくデータの重要性を強調しました。2010年に発生したアイスランドのエイヤフィヤトラヨークル火山の噴火を教訓に、2010 年以降,ヨーロッパでは火山の科学的データを共有するための協力体制を構築中であると説明しました。荒島氏は、それを可能にする取組みと、今後の課題分析が必要であると述べました。

パキスタン首相府国家防災庁(NDMA)防災部長 サリーム・シャザド・マリク氏は、2022年に発生した大洪水の経験と、パキスタンにおける災害リスク軽減と気候変動への適応に関する活動を紹介しました。パキスタン政府は、大洪水などの極端な事象の際の災害管理における課題に対処するため、災害管理システムの改善を進めてきたことを紹介し、そして、新たな取組みとして、パキスタンでは、災害対策に新しい技術を採用するとともに、災害リスク軽減戦略に科学的データを活用している状況を共有しました。

ベトナム農業農村開発庁(MARD)防災総局(VNDMA)災害対応・復興局 副局長 レー・ミン・ニャット氏は、ベトナムの災害リスク管理システムの概要について発表しました。ミン氏は、洪水はベトナムで最も発生頻度の高い災害であるとし、これに対処するため、洪水対策と管理に対する大規模な財政投資と構造投資が推進されていること、そして洪水対策プロジェクトは、国家防災計画2021-2025の優先事項の一つであることを報告しました。

中央アジア緊急事態・災害リスク軽減センター (CESDRR) センター長代行 シェリック・アウバキロ氏は、ビデオによる発表を通じて、国境を越えた災害や緊急事態に対処するための常設の政府間機関であるCESDRRについて紹介しました。CESDRRは、カザフスタン共和国政府とキルギス共和国政府との合意により設立され、1)災害リスクの軽減、緊急事態の予防と排除における協力、2)災害リスクの要因の軽減、緊急事態の危険の特定、評価、予測、監視、3)緊急事態に効果的かつタイムリーに対応するための相互努力の調整と準備の強化、および4)防災対策と危機管理における地域および国際協力、自然災害および人災時の住民の生命活動の安全性の向上、を目的に設立されたと説明しました。

モデレーターの阪本氏は、各国からの発表から、国境を越えた災害被害を軽減するためには、災害の発生源となる国、および災害の拡大により影響を受ける可能性のある国との情報共有が重要であることが明らかになったと指摘しました。しかし、自然災害の観測技術やその利用に関する規制は国によって異なり、災害対応における情報共有は急務であるにもかかわらず、緊急時における実用的な国際通信システムは存在しないため、このような国際的なリスクコミュニケーションの仕組みを関係機関間でどのように構築していくかが、より良い災害対策のために重要であるとまとめました。

<セッション2:仙台防災枠組の取組みにおけるデータ連携の拡大 -GLIDE (Global IDEntifierNumber)の利用促進>
20230310_2図2.png

本セッションでは、仙台防災枠組のグローバルターゲットG-5「国及び地方レベルで人々がアクセス、理解、利用可能な、関連災害リスク情報とアセスメントを有する国の数」の増加に貢献するために、アジアにおける災害データ管理の現状を概観し、さまざまな関係者からのデータを効果的に取り扱うためのツールや実例を紹介しました。

本セッションでは、ADRCコンサルタント/RobotSearch Software Inc.理事のフリオ・セルヘ氏がモデレーターを務め、災害リスク軽減における災害データ管理の役割の重要性について取り上げました。一方では、災害被害(損失・損害)データのほとんどが集約されたままであるという課題があること、こうした課題は、災害データがより複雑になっているという点によるもので、アジア地域の様々なデータ管理ツール間の連携を促進する必要があると述べました。

 
国連防災機関(UNDRR)ボン事務所所長アニメシュ・クマール氏は、仙台防災枠組のモニタリングの進捗について発表を行いました。2023年2月現在、仙台防災枠組モニター(SFM)を利用して防災の進捗状況を報告している国は累計156カ国、SFMのすべてのターゲットについて報告している国は累計78カ国に上っていると紹介しました。進捗報告においては、途上国、特に後発開発途上国(LDC)が、SFMの全ターゲット及び全指標にデータを提供することに難航している点が課題であるとしました。SFMの進展を支援するため、特に災害損失や損害の追跡のため、新しいモデルやツールが開発されており、これらを利用し、気候関連変数、損失・損害、災害事象を関連付けることが期待されていると述べました。
 
モンゴル国家危機管理庁(NEMA)リスク管理部課長のデンベレニヤム・バサンスレン氏は、モンゴルにおける災害データの収集と共有の実例と課題について発表しました。実例の1つとして、NEMAが2019年に全国でハザード情報を共有するために設立した空間情報システムを紹介しました。データ収集の課題解決のためには、生データを収集するために関係者へ登録テンプレートやガイダンスを普及させることが必要であるとしました。さらに、信頼できるデータの収集と生成について理解を深めるためには、人的・技術的な能力に制約があるとし、今後、NEMAは研修等のアウトリーチ活動を通じて、データの再分類とその重要性に関する知識と理解を深めていく予定であると述べました。

韓国行政安全部国立防災研究所 主任研究員チヒュン・リー氏は、洪水早期警戒システムを中心とした災害リスク軽減のための国際協力について発表しました。また、フィリピン政府と協力した洪水早期警報システムの導入プロジェクトでは、通信プロトコルに重点を置いていると説明しました。

国連開発計画(UNDP)バンコク地域事務所災害リスク情報アプリケーション危機局 プロラムスペシャリスト(グローバル)のラジェシュ・シャルマ氏は、UNDPのデジタル災害リスク軽減成熟度モデル(DDRRMM)について紹介しました。これは、災害リスク軽減・管理実践のデジタルエコシステムの成熟度を診断するツールです。このツールの開発にあたり、UNDPは各国の災害データベースシステムを詳細に分析し、各国のデジタル成熟度に合わせて新世代の災害データ・情報システムをサポートしています。災害リスク管理のためのデジタルとデータガバナンスは災害管理に有用であり、法的・制度的枠組み、政策、戦略、行動計画、実践的ガイドラインを通じて推進する必要があることを強調しました。

ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)災害監視分析官 キース・パオロ C・ランディチョ氏は、東南アジア地域で発生した危険や災害に関する情報のリポジトリであるASEAN災害情報ネットワーク(ADINet)の発展について発表しました。ADINetには2種類の連携があり、1つは、検証、研究応用、網羅のための連携を含む既存の連携、もう1つは、統合と強化のための連携を含む外部連携であると説明しました。ADINetとGLIDEの連携は、統合のための連携に該当するとしました。
 
アジア防災センター(ADRC)主任研究員塩見有美氏は、GLobal disaster IDEntifier(GLIDE)の取組みの改善点、特にオープンなガバナンスと機能性の向上について発表しました。ガバナンスに関しては、2021年に運営委員会が設立され、API、SOP、新規開発の3つの分科会が設置されました。開発面では、2つの新しいマニュアルを開発し、2022年にはクラウドソーシングを導入して、ユーザーが「GLIDEデータベース内で未登録の災害」を報告できるようになりました。また、ReliefWeb、Sentinel Asia、UNOSAT、ADINet、ESCAPとの連携を含む、GLIDEと他の災害データ管理ツールとの連携が構築されていると説明しました。

本セッションでは、災害データの収集、報告、共有のための課題と、効果的に災害データを管理するための実例が共有されました。仙台防災枠組の報告は進んでいるものの、国や地方レベルでのデータ収集や管理にはまだ溝があることが明らかになりました。これらの課題に対処するため、関係者は多様なツールを開発しており、こうしたデータ管理ツールとの連携が必要であることが確認されました。

<セッション3:衛星を活用した防災・危機管理情報の提供>
20230310_2図3.png

本セッションは、災害や危機管理のための準天頂衛星システム(QZSS)(DCレポート)の利用に関する概要について提供するとともに、数か国で実施したQZSS DCレポート実証実験の成果について共有しました。

本セッションのモデレーターであるADRC主任研究員/神戸大学客員准教授 ジェラルド・ポトゥタン氏は、アジア地域の遠隔地、山岳地帯、島嶼地域に暮らす人々は、インターネットやセルラー通信へのアクセスに制約があるか、まったくアクセスできない状況が確認されたと報告しました。そして、災害発生の危険にさらされている人々に対し、警報情報が届かないことが度々発生しているとしました。QZSSを介した警報情報の提供することにより、本課題に対処でき、次の媒体へ直接警報情報を発信することができます。1)受信機/端末を持つ個人、2)屋外の電子掲示板、3)コミュニティ・アラーム (サイレンやビームライトなど) を作動できる受信機。 

内閣府宇宙開発戦略推進事務局次長 本江信夫氏は、災害および危機管理のためのQZSSの利用について、QZSSが保持するサービスの1つとして、災害・危機管理通報サービス「災危通報」 (DCレポート)があると説明しました。各国の災害管理機関は、インフラの被災や地上系ネットワークが未整備のためにインターネットや携帯電話サービスがない場合でも、危険にさらされているコミュニティにQZSS 衛星を介して警報を提供することが可能であるとしました。2022年12月現在、約390製品がQZSSによる情報の受信に対応しているとし、オーストラリア、フィジー、タイでQZSSの利用実証が行われていると報告しました。

NTTdata社会イノベーション事業部GISエンジニア 郭潤潔氏は、QZSSの早期警戒利用プロジェクトの主な目的は、QZSS DCレポートサービスを使用した、各国の災害時情報伝達に関するニーズと環境に合わせたシステムの作成であると説明しました。2024年に予定されているQZSS DCレポートの運用開始前に実証実験を行うことにより、本システムの実装と展開に関して必要とされるシステム上の要件整理と解決すべき問題を特定でき、また、地域の特徴を早期警報システムに適用する機会となると考えている旨述べました。

アジア航測先端技術研究所会基盤システム開発センター ハス研究室長 ハス・バートル氏は、アジア太平洋地域の21か国を対象とした、QZSSを使用した災害情報システムの実現可能性調査結果について、1)QZSS の受信条件、2)具体的な災害事例と課題、3)早期警戒システムの実装の必要性について発表しました。共通の問題の1つとしては、警報の伝達に関するものがあり、その他の問題としては、多くのチャネルを通過する際の情報の歪みや、情報の到着の遅れ、および、電気通信ネットワークの受信可能範囲の限界がありました。

NTTdata社会イノベーション事業部 係長 市川龍之介氏は、タイ、フィジー、オーストラリアで実施されたQZSS実証の成果について報告しました。タイでのシナリオは、森林火災であり、QZSSを利用することで、レンジャーは公園内のどこにいても直接情報を受け取ることができます。フィジーでのシナリオは、津波であり、通信局では、QZSS信号を受信し、さらに低電力広域ネットワーク (LPWAN) によって情報が送信されます。オーストラリアでのシナリオは山火事です。QZSSからスマートフォンでの情報受信が可能です。この結果から、次のデモンストレーションでは、通信方法 (Wi-Fi LPWAN、および Bluetooth) を使用して、居住者がモバイル端末でメッセージを受信できるようにする予定であると報告しました。

フィジー国家災害管理局(NDMO)局長 ヴァシティ・ソコ氏は、フィジーで QZSSを利用する理由の一つとして、フィジーが太平洋に位置し、バヌアツとサモアに挟まれているため、周辺国の災害が、フィジーに影響を与えていることであると報告しました。災害管理システムとNDMOの防災イニシアチブがあるものの、リスクコミュニケーションが、フィジーにおける防災の弱みとなっているとし、この点で、フィジーでのQZSSの利用は、歓迎すべき試みであると述べました。

カンボジア国家防災委員会(NCDM) 主任技術官 ソチース・ソー氏は、カンボジアの災害リスク管理情報システム、特に 被害状況把握プラットフォーム(PRISM)は、フィールドアセスメント情報、早期警報システム、衛星データ、ベースライン人口および社会経済的脆弱性データをリンクして、カンボジアにおけるリスクと影響を監視しているとしました。QZSSが、地域の環境に合わせた警報伝達システムを提供することで、PRISMを補強することが期待されており、また、QZSSプロジェクトは、災害および危機管理を改善し、カンボジアの防災能力を高めることができると述べました。
(2023/03/22 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)

2023年3月10日から12日にアジア防災会議2022(ACDR2022)が宮城県仙台市の仙台国際センターで開催されました。今回は、メンバー国や関係者など幅広く参加が出来るよう、オンラインでも参加が可能なハイブリッド形式で対応されました。最終的に、ACDR2022には、メンバー国、国際機関、民間企業、研究・学術機関などから、現地参加として84人、オンライン参加として121人、合計205人が参加しました。

会議冒頭の開会式の様子と、特別セッションについて報告いたします。

<開会式>
20230310_1図1.png

開会の挨拶では、まず谷公一内閣府特命担当大臣(防災)がACDR2022開会に際し、東日本大震災およびトルコ及びシリアで発生した大規模地震災害について哀悼の意を表され、2003年より開催されている本会議の重要性について述べました。次に濱田政則ADRCセンター長は、ADRCは1998年の設立以来、災害リスク削減に向けた、多国間協力、支援を進めてきたが、世界およびアジア地域において、災害リスクは増加傾向にあり、加盟国が協力や連携を深め、安心安全な社会づくりに寄与できると強く信じていると述べました。最後に郡和子仙台市長は、冒頭にトルコ及びシリアで発生した大規模地震災害について哀悼の意を表され、東日本大震災の経験も踏まえながら、多発する地震や津波、激甚化する風水害などのリスクに備えるため、参加者がそれぞれの想いや知見を共有し、繋がることが大切なことであると述べました。また、今回現地参加できなかったトルコのカウンターパートである内務省災害危機管理庁(AFAD)長官からのメッセージを、笹原顕雄ADRC所長が代読しました。

<特別セッション>
20230310_1図2.png

特別セッションは、3つのパートで構成されました。最初に、発生から100年を迎える1923年の関東地震の教訓とその後の対策、続いて1995年の阪神・淡路大震災と2011年の東日本大震災での新たな知見と残された課題、最後に災害が多いアジア地域の被害軽減のために活かすべき教訓や技術について議論や提言が行われました。

ADRC会長の伊藤氏は、安全な街づくりや現代の都市デザインは、関東大震災の復興に触発されていることを紹介しました。また、関東大震災をきっかけとして建築や都市開発が大きくステップアップし、従来、外壁が下見板張りで木がむき出しだった集合住宅はコンクリートの活用が進み、公共建築が充実していったことを説明しました。
ADRCセンター長の濱田氏は、関東大震災は日本の地震工学の始まりであるとし、関東大震災では、木造家屋だけでなく、明治維新以来、海外から技術移入されて建設されてきた近代的な建物も被害を受け、これにより建物や構造物の耐震設計が行われるようになったと紹介しました。
早稲田大学理工学術員名誉教授の長谷見氏は、第一次世界大戦期の人口急増で木造密集市街地が拡がり、震災時に同時多発的に火災が発生し、多くの家屋が焼失したこと、その経験から、大都市圏では防火対策が導入されていることを紹介されました。
常葉大学社会環境学部教授の重川氏は、防災教育の推進と災害リテラシーの向上による「人づくり」の重要性に言及しました。そして、日本は、アジア地域で適用可能と思われるさまざまな経験や教訓を蓄積してきていると述べました。
最後に、モデレーターである吉村氏は、パネリストの協議を通して、関東大震災以降、様々な被害の様態に対応できるよう、構造的および非構造的な災害対策が開発・検討・改善されてきたこと、最悪の事態の際の被害を想定して事前防災投資を行うようになったことが明らかになった、と述べました。
(2023/03/21 15:00)
2023年3月10日~12日(日本、仙台 オンライン同時開催)
20230310.png

2023年3月10日から12日にアジア防災会議2022(ADRC2022)が宮城県仙台市の仙台国際センターで開催されました。今回は、メンバー国や関係者など幅広く参加が出来るよう、オンラインでも参加が可能なハイブリッド形式で対応されました。

2022年度のアジア防災会議では、「WHAT IS NEXT? -過去に学び、未来に備える-」と題して、国レベルの防災システムをさらに強化するために、過去の教訓をリスク情報に基づく備えの取組みに生かすことの重要性について議論されました。

セッション別のテーマとしては、1)大規模災害とその対策、2)仙台防災枠組の取組みにおけるデータ連携の拡大-GLIDE(Global IDEntifier Number)の利用促進、3)衛星を活用した防災・危機管理情報の提供、の3つを取り上げ、各専門家からの報告や参加者との意見交換が行われました。また特別セッションとして、「関東大震災100年スペシャルセッション ~過去の災害からの教訓をどう生かすか~」を設け、都市圏における関東大震災からの復興の過程などが報告され、アジア地域におけるよりよい防災活動の提言が述べられました。

また関連イベントとして、内閣府主催のJIPAD(防災技術の海外展開に向けた官民連絡会)セミナーや、世界防災フォーラムにおけるJICA主催のセッション「仙台防災枠組の中間レビューに向けた成果と課題」にも参加者は出席しました。最後に、会議終了日には東日本大震災の被災地である名取市閖上地区へ視察を行いました。
(2023/03/20 15:00)
2023年3月6日~10日(日本、神戸)

ADRCは2023年3月6日から10日かけ、JICA国別研修「マレーシアLEP 2.0 災害リスク管理能力強化」コースを実施しました。本研修はマレーシアにおいて災害に強い社会の実現のため、国家防災機関である国家災害管理庁(NADMA)の技術及び調整能力が向上することを目的としています。第1回目となる本研修ではNADMAを中心に、関係機関より計15名が参加しました。

研修初日は研修オリエンテーション、各機関からのカントリープレゼンテーション、ディスカッションを行い、研修目的、各視察先でのポイントの整理と確認を行いました。続いて2日目以降は、洪水や土砂災害対策の現場を精力的に訪問しました。研修員は日本の対策の実際について熱心に学び、質疑、意見交換が活発に行われました。最終日は各研修員が、本研修で学んだ点を報告し、研修を締め括りました。

本研修実施にあたり、視察を受け入れてくださいました各関係機関の皆様に厚くお礼申し上げます。今後とも引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(2023/03/17 15:00)
アーカイブ
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年