2016年5月17 - 18日(マレーシア、プトラジャヤ)
国際復興支援プラットフォーム(IRP)/アジア防災センター(ADRC)は、マレーシア北大学(UUM)からの公式要請を受け、2016年5月17~18日の2日間、科学大学テナガ・ナショナル (UNITEN)キャンパスで開催された事前災害復興計画に関するオリエンテーション・ワークショップを支援しました。マレーシア北大学は、洪水対策に重点を置いた災害対策研究プロジェクトを実施しているマレーシア国内6大学のネットワークを代表する大学です。
この学術ネットワークは、マレーシア北大学(UUM)、マレーシア工科大学(UTM)、マラ工科大学(UiTM)、科学大学テナガ・ナショナル(UNITEN)、マレーシア科学大学(USM)、マレーシア・イスラム科学大学(USIM)の6つの大学から構成されており、次の3つを目的にしたオリエンテーション・ワークショップの開催についてIRP/ADRCへ要請がありました。① 洪水災害に対する事前災害復興計画を通じた「Build Back Better」への理解を深めるとともに、そこから得た理解を大学課程に取り入れる可能性について検討すること、② 大学の教授陣が、教員、学生、実務家を対象にした「Build Back Better」を目指した事前災害復興計画の研修を実施する能力を高めること、③ 洪水対策をより効果的に実施するために事前復興計画の応用について調査することの3つがその目的です。
約35名の大学教授、講師、マレーシア政府関係者らがワークショップに参加しましたが、その中には、学術ネットワークの構成メンバーである、マレーシア政府の市民防衛局(JPAM)、教育省(KPM)、消防局 (JBP)、ケママン地区、国際 NGO マーシー・マレーシアの代表者らも含まれていました。
今回のワークショップの趣旨を明確にするため、2つのキーノートスピーチが行われました。最初のスピーチは、トレンガヌ州ケママン地区の政府担当官、ロズマン・ロスラン氏から、洪水に対する事前災害復興計画の先進的取組について説明があり、特に、ケママン地区では、ホテルや病院との間に洪水時の協定を事前に取り交わすことを促進していることについて、述べられました。2つ目のスピーチは、マレーシア政府教育省のサイフル・エフェンディ氏から公立学校の防災対策に関するガイドライン案について述べられました。また、参加者によるグループ演習では、2つのことが成果としてまとまりました。一つは、マレーシアの事前災害復興計画に対するチェックリストであり、もう一つは、生活復興に対する戦略と行動をひとつに整理したものでした。
次なるステップとして、参加者は、実際に集まるかヴァーチャルに集まるかは別として、引き続き、今回の議論を行っていくことに賛同しました。次に取るべきフォローアップの行動としては、① ケママン地区の洪水からの復興事例を文書として取りまとめ、IRP/ADRCへ報告すること、② IRP/ADRCの事前災害復興計画に関する資料を調べて、大学課程に組み入れた講義摘要案の作成を検討すること、③実務家や政策決定者向けのハンドブックを含めて、洪水からの災害復興に関するナレッジプロダクトを開発することの3つが挙げられました。
今回のワークショップを主催した洪水対策研究プロジェクトのための学術ネットワークは、マレーシア政府の国家安全保障会議、気象庁、かんがい排水局らと密接に連携を取りながら、プロジェクトを進めていく予定です。
(2016/05/17 14:40)