2025年2月27日
2025年2月27日、マレーシアを交えたアジア太平洋地域の災害リスク軽減のための気候変動予測に関する第4回ウェビナーシリーズが開催され、モハンマド・ザキ・ビン・マット・アミン氏(マレーシア国立水研究所所長)は、2100年までにマレーシアは気候変動により、(1)年間気温が1.85度~2.08度、
(2)年間降水量が14%~25%、(3)海面上昇が0.71m~0.74m、上昇すると予測されると報告しました。これらの数字は、もしマレーシアが気候変動の緩和対策を何も実施しなければ、その地域では河川の干上がり(例:2022年2月のブキッ・メラ)、洪水(例:2022年12月のセランゴール州)、河川の氾濫(例:2021年8月のバトゥパハット州)がより多く発生することを意味しています。
この予測を踏まえて、マレーシアの他の講演者は、現在進行中の取り組みについて情報を共有しました。アンブン・ディンダン氏(マレーシア気象局副局長)は、同局がモンスーン高潮による悪天候の監視と予測において気候変動予測データを考慮していると述べました。ラバンヤ・ラマ・イヤー氏(世界自然保護基金(WWF)マレーシア、政策・気候変動担当ディレクター)は、WWFマレーシアは、気候変動への回復力とガバナンスをプログラムに組み込んでいると発表しました。ノルファシャリーナ・ビンティ・モハンマド氏(東南アジア防災研究イニシアティブ代表)は、災害データベースに気候変動データを統合し、地域規模で利用できるようにしたと説明しました。さらに、モハンマド・ザキ・ビン・マット・アミン氏は、マレーシア政府は2025年にマレーシア気候変動法とマレーシア国家適応計画(MyNAP)という2つの関連文書の完成が期待されると述べました。
モハンマド・ザキ・ビン・マット・アミン氏による
マレーシアにおける気候変動予測に関する発表の様子
ウェビナーでは、気候変動予測先端研究プログラム(SENTAN)領域テーマ4のメンバーも講演し、プロジェクト、技術やツール、気候変動予測に関する研究について説明しました。京都大学の森信人教授、気象庁の中江川敏行氏と村田明彦氏、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)の森範行氏、京都大学の立川康人教授が登壇しました。
本ウェビナーでは、ADRCの池田主任研究員とポトゥタン主任研究員が共同ファシリテーターを務めました。
(参考)
第4回ウェビナー:https://www.adrc.asia/sentanpro/202502/webinar04.html
気候変動予測先端研究プログラム(SENTAN):https://www.jamstec.go.jp/sentan/index.html
(2025/03/06 15:40)