2025年9月30日
アジア防災センター(ADRC)は2025年9月30日、オンライン津波セミナーを開催し、地域、国家、そして地方・コミュニティレベルにおける津波防災対策の最新動向と指針に関する情報を提供しました。
地域レベルでは、テミリー・ベイカー氏(国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)ICT・DRR部プログラム管理官)が、
2004年インド洋津波を受けて設立された「津波・災害・気候変動対策のための多国間ドナー信託基金」の過去20年間における
アジア太平洋地域の進展状況を報告し、特に顕著な成果があった「インド洋津波警報システム」と「津波への備え」イニシアチブの進展について紹介しました。
国家・地方レベルでは、キアン・デベロス氏(フィリピン内務・地方自治省地方自治アカデミー 地方自治研修開発部 地方自治運営担当官IV)が「オペレーションL!STO:津波災害対策マニュアル」を紹介しました。
これは津波災害発生時に地方公務員が最低限の緊急行動
(例:遠方津波検知後の予防的避難)を実行するための指針ツールです。
地方自治アカデミーは津波防災における地方政府の制度的能力構築を支援しています。
コミュニティレベルでは、池田誠氏(ADRC主任研究員)が実践的な津波防災活動の2つの事例を紹介しました。
岩手県洋野町では、津波ハザードマップの更新、避難経路の維持管理、緊急物資の備蓄を実施しています。
インドネシア・西ジャワ州スカブミ市では、沿岸部の津波警報標識、避難経路の表示、モスクや学校での津波情報資料の提供など、意識啓発活動を継続しています。
笹原顕雄氏(ADRC所長)は総括で、津波防災活動の実施には秩序と持続可能性を確保するための法的基盤が重要だと強調しました。
閉会の挨拶で司会を務めたジェラルド・ポトゥタン氏(ADRC主任研究員)は「津波に関する情報や経験を共有し続け、
リスク軽減の取り組みに活かすことが不可欠である」と述べました。

本ウェビナーの録画は、以下のウェブサイトサイトからオンラインで視聴可能となっています。
ADRCオンライン津波セミナー特設ページ:https://www.adrc.asia/acdr/2025tsunami.php
(2025/10/31 15:40)