2025年12月17日~19日
2025年12月17日から19日にかけて、アジア防災会議2025(ACDR2025)が東京において開催されました。本会議では、「共にレジリエンスを育む:巨大災害に備えた持続可能な社会の実現へ向けて(Forging Resilience Together:
Toward a Sustainable Society Prepared for Mega-Disasters)」と題して、内閣府主催のもと開催されました。本会議には、メンバー国18か国をはじめ、国際機関、研究機関、NGOなどの関係者を含む131名に現地でご参加いただいた
他、オンラインでは、13か国82名の参加がありました。本号では、会議の詳細についてお知らせします。
ACDR2025では、共にレジリエンスを鍛えるための知見を深めることを目的に、①巨大災害へのレジリエンス構築に関するパネルディスカッション、②各国の防災・減災の進捗と課題に関するラウンドテーブル、③技術革新に関するセッ
ション、④包摂的防災に関するセッションの、計4つのセッションが実施されました。
<開会式>
あかま二郎 防災担当大臣は、近年アジア各地で相次いで発生している地震や洪水災害に言及し、防災対応力を強化することの重要性を強調しました。日本の貢献として、2026年に新設予定の防災庁を通じて、国内の防災体制強化に加え、ADRCの取組みを支える国際防災協力を一層推進する方針を示しました。また、民間セクターとの連携の強化や、先端技術の活用が不可欠であり、ダム・堤防などの防災インフラの整備、建物の耐震化、人工衛星やAIを活用した技術
の活用により、アジア各国における防災対応能力の強化に貢献する考えを述べました。
三浦房紀 アジア防災センター(ADRC)センター長は、33のメンバー国が協力し、エビデンスに基づく政策形成、災害データの相互運用、国境を越えた早期警戒の連携を進めることが、「共にレジリエンスを鍛える」ことの核心であると説明しました。その具体例として、衛星画像を活用した迅速な災害把握を行う「センチネル・アジア」や、世界の災害情報を標準化・連結する「GLIDE」の継続的な強化を紹介しました。

<パネルディスカッション>
「持続可能な成長のための巨大災害へのレジリエンス構築」をテーマとしたパネルディスカッションでは、5名の専門家が登壇し、巨大災害への備えには短期的な対策だけでなく、長期的かつ継続的な取組みが不可欠であることが共有
されました。災害後の復興過程を、社会全体の安全性や持続可能性を高める転換点として捉える視点の重要性が強調されました。
伊藤滋 ADRC会長(東京大学名誉教授)は、阪神・淡路大震災後の神戸の経験を踏まえ、防災は都市再生や地域づくりと一体で進める必要があると述べました。行政、民間、地域コミュニティが連携し、防災を都市開発に組み込むこと
で、社会全体のレジリエンスが高まると指摘しました。
村田昌彦 関西国際大学教授は、兵庫県の「創造的復興」を例に、復興段階が
将来の災害に備える重要な機会となることを紹介しました。土地の再編やオープンスペースの確保は、安全性とレジリエンス向上に寄与したと述べました。
ムザイリン・アファン シャクアラ大学准教授(インドネシア)は、2004年インド洋津波後のアチェの事例を通じ、宗教や信仰が被災者の精神的支柱となり、コミュニティの結束を支えた点を紹介しました。地域の文化や価値観を尊重することが、レジリエンス構築につながると強調しました。
ネトラ・プラカシュ・バンダリ 愛媛大学教授は、ネパール地震後の復興において、文化遺産や伝統的住居を尊重した「より良い復興(Build Back Better)」が重要であったと述べました。
石垣和子 国連ハビタット(UN-Habitat)アジア太平洋地域事務所長は、住民が主体となる「ピープルズ・プロセス」の意義を強調し、住民参加が地域に根ざしたレジリエンスを高めると指摘しました。
モデレーターを務めた小川雄二郎 ADRC理事長は、レジリエンス構築に画一的な解はなく、文化や地理、人口構成など地域の実情を踏まえた計画や政策が不可欠であると総括しました。
<ラウンドテーブル・セッション>
ラウンドテーブル・セッションは2025年12月17日~18日にかけて開催されました。各国の防災・減災の取組みを報告する本セッションでは、メンバー国(アルメニア、ブータン、ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、フィジー、日本、
韓国、マレーシア、モルディブ、ミャンマー、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、タイ、トルコ、ベトナム)の16か国、ASEAN事務局、アジア災害予防センター(ADPC)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)
の3機関、計19か国・機関からのステイトメントの発表、およびプレゼンテーションが行われました。

具体的な進展が見られた活動分野は以下の通りです。
- 国家防災戦略・計画の策定と実施
- 災害リスクガバナンス施策の実施
- コミュニティ主体の防災(CBDRM)
- 災害前対応計画策定
メンバー国および組織が共通して直面している課題としては、多くのコミュニティやインフラが依然として脆弱であること、マルチハザード早期警報システム(MHEWS)のほとんどがまだ完全に整備されていないこと、防災関連機関が
災害リスク軽減の計画立案および運用に関する技術的能力のさらなる強化を依然として必要としていることなどが挙げられました。
推奨された行動は、知識や情報共有の強化、技術革新の受け入れ、民間セクターとのパートナーシップの強化に向けられました。
ラウンドテーブルのモデレーターを務めた喜多功彦 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(国際担当)は、共通の課題に対処するために、変容するリスクの変化に対処するための新しい考え方や想定を採用すること、 国際協力の強化、継続的な能力向上、効果的なメカニズムや技術のより広範な適用、防災における長期的な視点の採用、仙台防災枠組の実施の加速といった行動を取ることを提案しました。
次号では、セッション1とセッション2の詳細についてお知らせします。
(2026/01/30 15:40)