2024年3月14 ~ 15日(日本、能登半島)
2024年1月1日に発生した能登半島地震を受け、アジア防災センター(ADRC)は地震概要と被害や対応の概要について国や自治体による公式発表情報を英語でまとめた報告書を2月末まで更新していました(https://www.adrc.asia/publications/disaster_report/index.php)。そして地震発生から2か月半後の3月14-15日にADRC研究員と外国人客員研究員が能登半島を訪問し、地震と津波による被害を視察し、現在進行中の復興活動とその課題について検討を行いました。
避難、救援救助、復旧支援などの要となる道路については、動脈となる「のと里山海道」で重点的に復旧作業が進められていました。山間部を中心に土砂崩れで道路が被災している箇所が多々あり、1車線だけ仮復旧して通行していました。路面の損傷箇所は無数にあり、斜面も土のう積みの仮復旧状態であり、本格復旧には相当な時間がかかると思われました。また、関西、関東、東北、北海道など他都道府県警察が交通整理等の支援活動をしていました。
輪島市や珠洲市など被災中心域では多くの伝統的木造住宅が倒壊していました。瓦屋根の木造住宅は外国人客員研究員にとって身近な建築様式ではないのですが、重い瓦屋根が被害を大きくした原因であり、このような伝統的家屋の耐震性の強化促進策について意見が交わされました。
輪島市では延焼火災が発生した朝市通りや7階建てのビルの倒壊現場を視察しました。木造家屋密集地の災害対策や地震・津波発生時の消火対策など、多くの課題が突き付けられています。外国人客員研究員からは、2001年インドグジャラート地震との比較など、各国の建物やまちづくりとの比較もなされました。
地盤液状化が発生した各地ではマンホールが浮上がり電柱が傾斜していました。更に、震源域から100km以上離れた内灘町では多くの住宅が傾斜するなどの被害も見られました。
この他、地盤隆起により使用不能となった輪島市の漁港や、珠洲市の津波被災状況を視察するとともに、家屋の応急危険度判定の紙(緑、黄、赤)、給水車や炊き出し、応急診察所、仮設住宅建設状況など、復旧支援活動も視察し、今後の各国の地震防災対策について知見を得ました。
(2024/03/22 15:00)