2017年6月6日~8日(ベルギー、ブリュッセル)
国際復興支援プラットフォーム(IRP)は、2017年6月6日~8日にベルギー、ブリュッセルで開催された第3回世界復興会議に参加し、積極的な活動を展開しました。IRPは、次の5つの自主的なセッションにおいて、企画書の作成や開催運営に関する支援を行いました。
(i) 2017年防災グローバル・プラットフォーム会合からの最新情報
(ii) 生活復興と社会的保護(Social Protection)
(iii) 災害への備え・応急対応・復興における重要なパートナーとしてのプライベートセクター
(iv) 復興への備えと計画-制度及び組織の能力の強化
(v) 復興へ向けた政策及び制度間の調整。
これらのセッションにおける議論によって、仙台防災枠組の優先行動4で強調された「より良い復興(Build Back Better)」の概念が、どのようにしてリスクを減少し、強じん性を確立するという変革を伴う形で実行され得るのかが明らかにされました。また、その際には、次の災害は、以前とは違った性質の災害になるかもしれないという意識を持ちつつ「Build Back Better」が実行されることも示されています。
また、これらのセッションで共有された多くの経験に基づき、「Build Back Better」は、災害に強じんな建設技術でインフラ設備を改善するだけではなく、以前よりも、強化された統治システムや改善された基礎的行政サービス、多様化された人々の生活支援、貧困層や社会的弱者層の家族に対するより良い社会的保護のメカニズムを提供することだと、明確に提示されました。
「Build Back Better」を実現するためには、根本的な失敗の原因を理解するとともに、復興段階の機会を利用して、例えば、リスク情報を活用した土地利用計画や改正された建築基準とその執行を通じた、そうした失敗に対する措置を行うことが不可欠です。政府による「Build Back Better」への取組を成功へと導く多くの要因があり、それは、次の要素を高めることが挙げられます。
・ 状況に対応した制度的、政治的、法的な復興フレームワークを策定する能力
・ 復興のための介入を効率的、効果的に支援して、その介入が持続可能となる能力
・ 復興プログラムを実行するための財政的・技術的リソースをもたらし、支援する複数のステークホルダーと調整する能力
WRC3の全体テーマである「レジリエントな復興」の達成に寄与する要因の一つは、「復興への備え」がどの程度出来ているかということであることが、全体会議や個々のセッションにおいて支持されました。簡潔に言えば、「復興への備え」とは、綿密な計画や十分な資金に裏付けされた制度的、財政的なシステムを作り上げたインドや日本、米国、ニュージーランド等の国々で推進されているように、災害に先立って、次のようなツールを整備することになります。
・ 復興に関する制度、政策、法律
・ 復興のための財政的メカニズム
・ 復興に特化した人材やリソース
WRC3の最終日において、次の論点について討論されました:復興をレジリエントなものにするには、何をすればよいのか?復興は複雑で総合的なプロセスであることから、明らかに、一般的な解決策は不可能です。過去の経験に基づいて既に分かっているのは、復興をレジリエントなものにするためには、様々な要因が考慮されることが必要となります。
(i) 復興への備えが出来て、すぐに復興に取り組むことが出来るかどうか
(ii) 状況把握とそれに対応する能力があるかどうか
(iii) システムや制度が整備されているかどうか
(iv) 地域の実情に対応できるかどうか
(v) 包括性、もしくは、「all of us(我々皆)」的な施策が実行できるかどうか
復興過程は複雑なゆえに、レジリエントな復興に向けては、特定の状況に応じた戦略やアクションが求められるかもしれません。例えば、世界銀行(World Bank)は、都市のレジリエンスの文脈で、市町や都市部のコミュニティにとって復興がレジリエントなものになるためには、次のアクションが提示されました。
・ コミュニティに備えさせる(例:コミュニティの関心を高め、災害訓練を実施する。)
・ 行政機関を設置する(例:復興庁や復興部局を設置する。)
・ 財政システムを策定する(例:災害復興融資制度を整備する。)
・ 復興へ投資する(例:災害軽減策に取り組む。)
・ 社会的保護(Social Protection)を実行する(例:全過程における社会的弱者グループの包括性を保持する。)
今後の取組みとして、WRC3の参加者は、次の3つのキーアクションポイントを推奨した人道的支援及び危機に関する欧州委員会委員のメッセージからヒントを得るかもしれません。
・ レジリエンスを強化する
・ リスクを理解する
・ プライベートセクターと協働する
(2017/06/14 14:40)