2016年11月17日~18日(フィリピン、マニラ)
アジア開発銀行は、2016年11月17日~18日に「アジア地域・震災復興ナレッジ・フォーラム~リスク情報を活用した土地利用計画の推進~」をフィリピン、マニラで開催し、国際復興支援プラットフォーム(IRP)事務局から復興専門官が招待を受け、世界の復興事例を共有しました。このフォーラムには、土地利用管理や災害リスク管理に関する専門知識を有した100名を越える政策決定者や専門家が参加しました。
日本やカナダ、インドネシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、タイから参加した主要なスピーカーは、震災復興に係る土地利用/空間計画の観点から、どのようにして防災に関する課題に対処するのかについて議論を深めました。
今回のフォーラムを通して、大規模災害が発生すると、それに伴って再建に向けた活動が大規模に実施されることから、多くの場合に空間構造変化がもたらされることが認識されました。このため、再建に続く復興過程では、既存の空間開発に関連した課題だけでなく新たな課題に対処できる機会が与えられます。被災後の段階における土地利用と住宅に関連した課題対応の取組として、(i) 新たな土地利用戦略の導入、(ii) ハザードを受けやすい地域を避けて建築することへのインセンティブの制度化と提供、(iii) 変化するハザードのパターンを要素として組み込んだ新たな空間的成長モデルの提案、(iv) 不動産名義と権利に関する課題への対処、(v) 社会的一体性を再構築し、向上させることを目指した一般参加型のアプローチの適用、(vi) 将来的な災害対策としてハードとソフトの投資を組み合わせた事業が紹介されました。
また、今回のフォーラムには、3つのテーマ別セッションが含まれ、重要なメッセージと推奨される取組が発表されました。
1つ目は、復興政策をテーマにしたセッションで、土地利用、リスク情報、自治体の対応力、資金調達、現場で必要とされるスピードを確保した施策の実行などに関連した課題への対応に着目した政策的措置が発表されました。
2つ目は、中央政府と地方政府間の関係など、水平的及び垂直的な組織間の調整の課題をテーマにしたセッションです。このセッションで提案されたのは、潜在する災害リスク要因を突き止め、それに対処することです。組織全般にわたるアプローチ(例えば核となる組織に着目した方法など)によって、復興対策をデザインすることは、組織間の水平的及び垂直的なつながりを強化することになり、課題対応への取組を容易にすることに役立ちます。
最後は、優良な実践事例や革新的なツールをテーマにしたセッションです。このセッションで、国際復興支援プラットフォーム(IRP)から国際的な経験をいくつか紹介しました。IRPが推奨したことは、① 「失敗の分析によって学ぶこと」や「Build Back Better(より良い復興)」を具体的に実行することによって過去の災害経験を検証すること、② 復興の課題や障害(土地利用や住宅供給の課題を含む。)に対処するために、世界各地の経験から得た戦略と取組を、状況に応じたオプションとしてメニューから選択できるようにすること、③土地利用計画の有効性(例:制度的な調整-政策、法令・規則、プログラム間の調整を強化すること。)を促進するため、事前復興計画(事前対策の調査、事前復興支援協定を含む。)を策定することの3つを発表しました。
(2016/11/21 14:40)