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ADRC活動報告

事前災害復興計画に係るオリエンテーション・ワークショップの開催支援

2016年4月29日(フィリピン、マカティ市)DSC04683-1.JPG

国際復興支援プラットフォーム (IRP)/アジア防災センター(ADRC)は、マニラ気象台の要請を受け、SMプライム(フィリピンの不動産開発大手企業)及びフィリピン災害復興基金と協力し、2016年4月29日にフィリピン、マカティ市のアジア経営大学院で開催された「事前災害復興計画に係るオリエンテーション・ワークショップ」の支援を行いました。

このワークショップには、市民社会(シビル・ソサエティ)や科学界、学術団体、マスメディア、地域社会の代表者など、官民セクターから約90名の参加者が集まり、事前復興計画の本質について学びました。参加者の構成が多様性に富んでいたため、効果的に事前復興計画の演習を実施することが出来、また、復興過程においてお互いの機能を補完的に支援することを促すことも出来ました。

今回のワークショップでは、世界中の災害復興の経験から得られた、戦略、行動、事例研究を含む現時点のツールや経験に基づいて、事前復興計画を策定するための様々なアプローチを探ることが出来ました。特に日本において、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、そして、熊本地震(2016年)の復旧・復興過程で活かされた事前の災害時応援協定や復興支援協定などの経験や教訓は注目を集めました。

また、フィリピンからの著名なスピーカー、とりわけ、マニラ気象台のアントニア・ロイザガ氏、SMプライムのリザ・シレリオ氏、フィリピン災害復興基金のギレルモ・ルーズ氏、フィリピン市民防衛局のアレキサンダー・パマ大将、そして、フィリピン経済開発局のレメディオス・エンデンチア氏から、事前復興計画の重要性について強調する発言が際立ちました。

ワークショップでの発表者は、総じて、事前復興計画が本質的であることを認識しており、さらに、政府関係機関や地域社会のセクターは、災害復興の過程において、同じような組織的、政策的な課題に直面することが、事前復興計画の重要性を高めていると考えていました。例えば、災害に対するガバナンスや財政管理、効果的運用の問題、被災地における再開発基準や輸送の問題、被災者の健康・生活面の問題などは、全てのセクターにおいて共通の課題として考えられます。したがって、事前復興計画をあらかじめ策定しなければ、社会全体で巨大な損失が連動して発生することとなるのです。

事前復興計画を策定することの利点として、まず、第一に、全てのステークホルダーが、分野横断的、学際的、省庁間・部局間が協力して、事前復興計画を策定することによって、復興の速度を速めることが出来ます。また、お互いに協力した計画策定と実行が促され、不明確さや、重複、ボトルネックとなる部分を最小限にすることが出来ます。第二に、全てのステークホルダー間のさらなる強力な関係を構築することが出来て、災害直後のストレス下での不適当な決断を避けることが出来ます。全てのステークホルダーが復興への全面的な参加・協力に備えることによって、自ら積極的に関与し、事前にリスクを知悉したうえで決断をすることが容易になります。最後に事前復興計画の策定は、復興過程を財政的に支援するための仕組み(例:事前復興支援協定や契約によるサービス提供など)をあらかじめ確立することが出来ます。

今回のワークショップでは、フィリピン火山地震研究所から提供されたメトロ・マニラ地域の地震シナリオを使用することによって、主に2つの成果を上げることが出来ました。一つは、「事前復興計画のためのチェックリスト」であり、もう一つは、「事前復興支援協定のひな型」です。今後、参加者は、フィリピン政府災害対策調整会議とともに、今回の議論をさらに前向きに進めていくことに同意し、災害復興過程における事前復興支援協定を実現するための選択肢を調査していくこととなりました。

(2016/04/29 14:40)

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