ADRC活動報告
2012年2月14日-16日(マレーシア、クアラルンプール)
アジア防災センター(ADRC)は2012年2月14日から16日に亘り、マレーシア・クアラルンプールにて地方行政官を対象とした防災能力の強化研修を実施しました。これは2009年よりマレーシア国家安全保障会議(NSC)とADRCが準備を進めてきたものです。マレーシア全国の防災担当地方行政官にNSC、関連省庁を加え約80人が参加しました。
本研修は2010年に実施した講師育成研修(TOT)に続くもので、TOTに参加したNSC、気象局(MMD)、関連省庁の職員が今回講師を務めました。今回の研修に参加した地方行政官はコミュニティ防災の担い手としても期待されており、研修プログラムにおいては、NSC指令(Directive)、洪水対策、早期警戒、日本及びマレーシアでの津波からの復興に関する講義と、コミュニティ防災をテーマにしたグループディスカッションを扱いました。参加者の関心は非常に高く、講義、グループディスカッションでは活発に意見が交換されました。
本研修をもって、同国での研修事業は終了となりますが、これを機に各地で地方行政官及びコミュニティを対象とした研修が展開され、同国の災害対応能力強化につながることが期待されます。
(2012/2/27 17:40)
2012年2月13日~17日(オーストリア・ウィーン)
国際復興支援プラットフォーム(IRP)のスタッフ(ADRCより派遣)は、世界銀行防災グローバル・ファシリティ、国連開発グループ(UNDG)、世界銀行ジョイント・ウィーン・インスティチュートの主催による、5日間にわたる災害後ニーズ評価(PDNA)に関する指導者研修に参加しました。この研修では、被害と損失の評価や復旧・復興におけるニーズの特定、災害に強い国やコミュニティの構築の手法がテーマとなりました。
また、この研修は、災害頻発国における将来の災害リスク低減に向けた支援にあたり、国連や欧州連合、世界銀行、ドナー機関との連携による復興計画策定の能力開発プログラムの推進について、IRP・ADRCのパートナーとの連携強化を図る機会となりました。また、PDNAの実施や、各国・関係機関の要請に応じて行う復興トレーニングを行うにあたってのIRPスタッフの能力向上も図られました。
講義とグループ演習、討論からなる研修内容は、PDNAからの情報を元に行われる復興計画策定にあたっても大変有益であり、とくにPDNA業務の構成、復興枠組みの開発、PDNA実施後の対応策のフォローアップにおいて、参加者の資質が高められる結果となりました。
(2012/02/29 14:20)


メンバー国の能力向上及びメンバー国間での情報共有・関係強化を目指し、アジア防災センター(ADRC)は2009年度から防災政策ピアレビュー事業を開始しています。3年目となった本年度はタジキスタンを対象国とし、同国からのカントリーレポートの提出後、評価チーム(ピアレビューアー)が現地に入り、聞き取り調査を行いました。
今回のタジキスタンにおけるレビューのテーマは地すべり災害軽減で、ADRC職員1名の他、京都大学防災研究所斜面災害研究センター・地すべりダイナミクス領域の福岡浩准教授、韓国国立防災研究所分析官テフーン・キム氏、スリランカ防災省国立建築研究所・地すべり研究・事業部所長のR.M.S.バンダーラ氏がレビューアとして参加しました。
評価チームは、緊急事態委員会をはじめ、地すべり対策に関する研究や事業を行っている研究機関やNGOなどの組織を訪問し、各機関の取組みについて聞き取り調査を行うとともに、2009年春に大規模な災害が発生したKhroson県の被災地の視察を行い、同国の地すべり対策への評価と提言に関する調査結果案をとりまとめました。また、その案とともに、日本、韓国、スリランカにおける地すべり災害軽減の取組みを紹介するワークショップを開催し、現地の関係者と情報共有や協議をおこないました。
本事業は、双方向での情報共有、学習を目指し実施されており、対象国のみならず、評価チームに参加したメンバー国も学ぶことのできるプログラムを目指しています。今後は、評価チームが調査報告書をまとめ、対象国へ送付するとともに、ADRCメンバー国内で報告書を共有する予定です。
最後に、本事業にご協力くださいました関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。