国名:フィリピン共和国(Republic of the Philippines)
東南アジア、西太平洋に位置し、東をフィリピン海、西を南シナ海、南をセレベス海、ボルネオ海域に囲まれた島国。ルソン島・ヴィサヤス諸島・ミンダナオ島などを中心に、7,109の島から成る。国土は299,764平方キロメートル。熱帯気候、海洋気候。6月から11月にかけての雨季と、12月から5月にかけての乾季がある。
首都はメトロ・マニラ。8,857万人の人口(2007年8月現在)の多くはマレー系であるが、この他に中国系、米国系、スペイン系、アラブ系及び少数民族がいる。
毎年20個程度(そのうち5個が大被害を与える)の台風が襲来する太平洋台風ベルトの一角をなしている。また環太平洋火山帯に位置しており、地震や噴火が起きやすい。さらに地理的・地形的に津波、海面上昇、土砂災害、鉄砲水・洪水、干ばつなどの被害を受けやすい。
1991年6月 ピナトゥボ火山噴火
1991年6月14日から15日にかけて発生したピナトゥボ山の「20世紀最大」といわれる大噴火によって、死者640人、被災者1,036,065人、全壊家屋約40,000棟、損壊家屋70,000棟以上に及ぶ被害が出た。
2006年11月 台風・泥流災害
11月30日から12月1日にかけて襲来した台風「ドリアン」による集中豪雨により、ルソン島南部(特にアルバイ州レガスピ市ほかマヨン火山周辺)で大規模な泥流災害が発生し、風雨による被害を含め、死者1,399人、被災者2,562,517人に及ぶ被害が発生した。
1990年7月 ルソン地震
1990年7月16日、ルソン島中部で発生したマグニチュード7.6の地震により、死者2,412名、被災者1,597,553人、倒壊家屋約10万棟、約2.5億米ドルに及ぶ被害が発生した。
法制度
1978年6月11日に交付された大統領令第1566号は、フィリピンの防災能力の強化と地域社会の災害準備に関する国家的な計画の策定を求めており、国家防災会議(NDCC)が創設された。大統領令第1566号はNDCCが防災計画、災害対応や復旧における官民におよぶ各機関の協働のための調整をはかる法的根拠となっている。
さらに防災に対して力を入れていくために、NDCCは災害が起こってから対応するのではなく、災害が起こる前に被害軽減の活動を行っていくための体制作りに取り組んでいる。
2008年以降、フィリピン政府は新たな防災法(Philippine Disaster Risk Reduction, Management and Recovery Act of 2009)の成立を目指している。新法はガバナンス、リスクアセスメント、早期警戒、教育・啓発、根本的リスク要因の軽減、効果的な災害対応と早期復興のための災害対応準備など、災害リスク軽減から災害管理、復興などすべての面に及ぶ活動や方策に関する政策、計画の策定および実施を含むものとなる。
防災組織
国家防災会議(NDCC)は、国レベルの災害管理の政策立案と調整作業をつかさどる。NDCCでは、すべての防災計画立案に加えて、公的部門および民間部門の災害対応活動と復興活動も指揮するほか、被災地域における災害非常事態宣言の発令や災害支援金の勧告など、自然災害やその他の災害に関する事柄について大統領に助言を与える。
また、さまざまな機関の防災活動を調整し、防災政策の実施およびNDCCの事務局を担う機関として民間防衛室 (The Office of Civil Defense:OCD) が設置されている。
防災計画
NDCCは、災害発生時の各構成機関の役割について詳細に規定した防災計画 (The National Calamity and Disaster Preparedness Plan, 1978)を策定し、国家レベルから地方、州、市、区、コミュニティレベルまで調整された活動をとることを規定している。また、各政府機関が災害前、緊急時、災害後のそれぞれのフェーズで取るべき活動についても定めている。
また新法の制定後、国家災害軽減・管理・復興枠組・計画が策定される予定である。新法では兵庫行動枠組に示された国際標準にのっとった方針・戦略を策定することを求めている。
さらに、NDCCはOCDの活動を通して、兵庫行動枠組の優先行動の実施のため、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)および国連開発計画(UNDP)の支援を受けて、戦略的国家アクションプラン(Strategic National Action Plan (SNAP)2009-2019)を作成中である。SNAPでは今後10年間の防災活動として優先すべきプログラムやプロジェクトのロードマップが示されている。
戦略的国家アクションプランStrategic National Action Plan (SNAP) 2009-2019
アジア防災センター協力機関
民間防衛室(OCD: Office of Civil Defence, Department of National Defence)