3 防災情報の収集と提供

3−1 情報収集の方針と方法

3−1−1 収集の方針

 アジア防災センターは、アジア22カ国の決定のもと、各国の自然災害の状況、災害対策に関する各国の制度・計画・具体的施策等に関する情報、知識及び経験を収集し、体系的に整理し、各国間で共有化することにより、各国の防災体制の整備を促進するとともに、アジア地域で各国が多国間防災協力を進めるための基礎的情報基盤を整備すべく活動してきた。
 昨年度は既存資料、各国防災担当者、その他関係機関からの情報収集により、次々発生する自然災害の最新情報、法制度・組織などを含む防災体制、阪神・淡路大震災を中心とした災害対策事例及び防災分野の専門家に関する人材情報などの情報をデータベース化し、情報発信を行った。
2年度目にあたる本年度は、従来からの情報収集手段に加え、外国人研究員との協力や後に述べる国連人道問題調整事務所アジア災害対応ユニットとの情報交流により、より詳細かつ具体的な情報収集が可能となり、発信する情報にも反映できるようになった。これからも引続き、次のような項目について具体的な情報収集を行い、インターネット及びその他の方法により提供していく予定である。
@ 防災体制(法制度、組織、基本計画、災害対応マニュアル等)
A 災害対策事例(各国で過去の大災害時にとられた対応等)
B 自然災害情報(過去に発生した地震、洪水、サイクロン等自然災害の態様・被害等)
C 人材情報(防災行政担当者、学識経験者、国際機関・民間企業・NGOメンバー等)

 

3−1−2 メンバー国等からの収集の方法

 アジア防災センターは、昨年度に続き本年度も次のような方法で各国の防災関連情報の収集を行った。

1) メンバー国に対する情報提供依頼
 アジア防災センターの設立趣旨及び多国間防災協力の必要性についてメンバー各国の理解を求めつつ、自然災害情報、災害対策事例、防災体制等に関する情報の提供依頼を行い、関連情報の入手を進めてきた。

2) メンバー国調査
 アジア防災センターのカウンターパートであるメンバー国の防災担当者の確認、アジア防災センターの活動趣旨説明、防災関係の基本的情報の入手及び今後の協力依頼のため、今年度はメンバー国3カ国(中国、ロシア、パプアニューギニア)の現地調査を行った。
 その結果、これらメンバー国から、アジア防災センターへの情報提供についての協力を取り付けると同時に、各国の防災担当者と面識を持ち、組織を認知していただき、法制度・組織等の資料入手、防災関係情報の交換等も行い、非常に有益であった。

3) アジア防災センター国際会議の開催
 第2回アジア防災センター国際会議(1999年12月6日〜8日)により、メンバー国、アドバイザー国及びオブザーバー等の参加各国・機関よりカントリーレポートを含む自然災害情報、災害対策事例及び防災体制等に関する資料の提供があり、またアジア防災センターの活動への要望も得られた。今回は、特に、防災関係の国連機関として、国連人道問題調整事務所(ジュネーブ本部)、国連人間居住センター(HABITAT)福岡事務所及び世界銀行(ワシントンD.C.)よりそれぞれ代表の参加を得て、今後のアジア地域における多国間防災協力の可能性を探る有意義な機会となった。

4) 国連人道問題調整事務所(OCHA)アジア災害対応ユニット
 上記のような動きの中で、アジアにおける災害対応及び人道支援活動を強化すべく国連人道問題調整事務所(OCHA)が、2000年2月アジア防災センターとの協力プロジェクトとして同センター内にOCHAアジア災害対応ユニット(ADRU)を設置した。アジア防災センターは、このユニットを通じて国連による世界の災害対応情報のほか、国連災害評価調整(UNDAC)チームによる被災地での災害評価活動に関する報告及び関係情報も入手している。既に中国雲南省の地震災害やモンゴルの1999年夏の干ばつ及び大寒波襲来等異常気象による家畜の大量死等生活基盤の破壊に関する災害について、アジア防災センターはOCHA−ADRUより情報を収集しており、特にモンゴルの多重型災害については内外での認知度を高めるためマスメディアなどを通じた関係情報の提供に力を入れてきたところである。

5) WWW(ワールドワイドウェブ)の活用
(1) 各国の防災情報
 昨年度に続き、アジア防災センターは独自にWWWを活用して各国の防災体制に関する情報を収集するとともに、各国及び国際機関の担当者から防災関連情報を収集した。既にシンガポール、大韓民国及びヴィエトナムはWWW上で防災関連情報を発信しているほか、インドネシアも自国語での情報発信を行っており、またモンゴルでは、上記の異常気象災害につきWWWで情報提供を行っている。またその他にも防災情報の発信を準備中の国もあり、これらの動きを追っていく必要がある。
(2) 学術研究機関及び国際機関の防災情報
 上記に加えて国際的な組織、研究機関等が様々な視点から防災情報の収集・提供活動を行っている。さらに、昨今のインターネットの普及により、それらが順次インターネットを通じて利用可能な体制が整備されつつある。
 この中でも、全世界の災害発生状況に関する統計データを有するのが、ベルギーのルーベン・カトリック大学の災害疫学研究所(CRED)の災害データベース(EM−DAT)であり、インターネット上からも利用可能となっている。
 また、EM−DATが統計数値のデータベースであるのに対し、国連の人道問題調整事務所(OCHA)は、災害時の人道的援助活動支援のため、自然災害の状況に関する情報及び災害対策や災害対応に関する信頼できる情報をインターネット上で「レリーフ・ウェブ」を通じて提供している。