1 アジア防災センターの概要

1−1 設立の経緯

 アジア防災センターは、1998年7月30日に兵庫県神戸市中央区において開設された。当センターの設立までの経緯をまとめると次のとおりである。

1) 国際防災の10年

 国連では1987年12月の第42回総会において、90年代を「国際防災の10年」とし、国際協力行動を通じ、全世界、特に開発途上国における自然災害による被害の大幅な軽減を図ろうとする決議案が採択された。

2) 国際防災の10年世界会議の開催

1994年5月に、国際防災の10年の中間レビューと将来に向けた行動計画の立案を目的とする「国際防災の10年世界会議」が、国連の主催により横浜市で開催された。この会議では、災害の形態や防災対策に共通点を有する地域レベルにおける国際協力の重要性などを指摘した「より安全な世界に向けての横浜戦略」が採択され、これに則って世界中で国際防災の10年に関する活動が進められることとなった。

3) アジア防災政策会議の開催

 横浜戦略における地域レベルの協力の第1歩として、アジア地域を中心とする28カ国の防災閣僚等の参加を得て、「アジア防災政策会議」が1995年12月に国際防災の10年推進本部の主催により神戸で開催された。この会議では、アジア地域における防災センター機能を有するシステムの創設の検討開始を日本より提案するなど、国際防災協力の推進に向けた「神戸防災宣言」が採択された。

4) アジア防災専門家会議の開催

 「神戸防災宣言」に盛り込まれた、「アジア地域における防災センター機能を有するシステム」の創設を議題にした「アジア防災専門家会議」が、1996年10月に30カ国の防災担当部局長等の参加を得て、国連防災の10年推進本部の主催により東京で開催された。この会議では、同システムの活動を推進するための事務局として「アジア地域防災センター(仮称)」を置くことについて検討を進めることとなった。

5) アジア防災協力推進会合

 「アジア地域における防災センター機能を有するシステム」の具体的な活動内容等について、23カ国の防災担当部局長等の参加による「アジア防災協力推進会合」が1997年6月に国連防災の10年推進本部の主催により東京で開催された。そして、同システムの事務局として「アジア防災センター」を日本に設置すること、センターの組織の性格として、各国が合意して設立する機関とすべきであること、ADPC(アジア災害防止センター、タイ)がオブザーバーとして参加すること等が提案された。

6) アジア防災センターの設立

 このような経緯を経て、日本政府でアジア防災センターの組織や運営経費等について関係各国と協議を重ねた結果、地元兵庫県の協力も得て、1998年7月30日に兵庫県神戸市に設立されるにいたった。

 

1−2 組織及び体制

 アジア防災センターは22のメンバー国、4のアドバイザー国及び1オブザーバーから構成される(具体的には、表2-1-1、表2-1-2、表2-1-3を参照)。
日本国政府国土庁の監督のもとにある(財)都市防災研究所の付置機関として設置されることとなった。
 現在、アルメニアからメンバー国としての参加意向が表明されており、関係国と協議を行っている。

 

1−3 活動方針とこれまでの活動内容

1−3−1 活動方針

アジア防災センターは、アジア地域における防災関連情報の共有を目的とする防災情報センターとしての機能を強く持つ組織である。その基本的な機能を踏まえて、次に挙げる5つの活動事項が、過去の国際会議を通じて与えられている。

¨ 防災情報の収集・提供
¨ 防災協力の推進に関する調査
¨ 災害発生時の各国の緊急援助等に関する情報の収集
¨ アジア地域における防災に関する知識の普及、意識の向上
¨ その他アジア地域の防災情報に関する事業

1998年7月30日に発足したアジア防災センターでは、その初年度から3年間の基本的な活動方針を以下のとおり定めた。

(1) 次の情報について体系的に集積し、データベース化して発信すること

¨ 災害情報
¨ 防災情報
¨ 防災啓蒙、防災教育、防災訓練にかかる情報
¨ 防災技術にかかる情報
¨ 防災国際の人材情報

(2) 防災情報ネットワークを構築し、情報の収集、発信のための手段はインターネットによること

(3) 防災にかかる国際協力を進めるために、メンバー国の防災担当者と定期的な会合を開催し、信頼関係の醸成を図ること

(4) メンバー国からの研究者を毎年一定規模で受け入れること

(5) アジア地域にあるメンバー国間の情報共有のため、共通言語を英語とすること。また防災に関する情報の収集、データベースの整備に当たっては、上記項目に関する情報の収集を同時並行で行うが、収集整備の重点としては

¨ 災害情報、防災情報、人材情報の整備を優先し、
¨ 防災啓蒙、防災教育、防災訓練、防災技術に関する情報の整備を引き続き行う
こととする。

 

1−3−2 これまでの活動内容

 アジア地域の防災情報センターとして幅広く的確に防災情報を得るためには、まずは、組織の存在を広くアピールし、関係国、関係機関との協力関係を樹立していくことが、何にもまして重要である。
 そこで、関係する国際会議などへの出席、関係国への訪問調査、関係機関からの視察・研修の受入れなどを積極的に行うとともに、1999年2月のシンポジウム・国際会議に続き、今年度は1999年12月に第2回の国際会議を神戸で開催した(後述)。
 また、前年度から開始した、世界中で発生している災害情報等の情報提供体制を強化するとともに、第1回国際会議で入手したメンバー国の情報等をベースに、各国の防災体制等のデータベースを構築し、順次情報提供を開始しました(別添)。
 このような活動を通じて、防災分野におけるアジア防災センターの知名度が徐々に国際的にも向上し、1999年7月にジュネーブで開催された国際防災の10年の締めくくりとなる防災会議(プログラム・フォーラム)では、この10年間のサクセス・ストーリー(成功事例)10題の一つに選ばれ、130ヶ国700人の参加者に活動内容を紹介する機会を得た。
 さらに、2000年2月から、国連人道問題調整事務所(OCHA)と国際防災共同プロジェクトを立ち上げ、アジア地域の防災連携や防災協力体制の整備を通じて、アジア地域における災害対応力の強化を図ることとなった。これにより、アジア防災センター内にOCHAアジア地域災害対応調整ユニットが開設され、災害対応アドバイザーが配置されるなど、活動はますます広がりつつある。

表1-3-2-1<これまでの主な活動記録>

98.7.30

開所式典開催 会場:IHDビル3階参加者数:約150人

98.9.1

世界災害速報提供開始

<2000.3.10までに107件の災害速報を発信>

98.10〜

メンバー国調査(韓国、フィリピン、マレーシア、シンガポール、バングラデシュ、ベトナム、タイ、ロシア、インドネシア、パプアニューギニア、中国)

98.11.7

バングラデシュ外務大臣アブドゥス・サマド・アザド氏来訪

98.11.9〜11.13

WHO西太平洋地区・緊急事態対応力強化のための国際ワークショップ(マニラ)出席<ADRCの開設について紹介>

98.12.1

防災人材データベース運用開始<51ヶ国約1,400人登録済み>

99.2.15

ADRC国際シンポジウム開催  会場:兵庫県公館 

<参加者数:21ヶ国約250名(一般参加を含む)>

99.2.16〜2.18

ADRC国際会議開催 会場:IHDビル

<参加者数:21ヶ国1機関30名>

99.2.23〜2.26

ESCAP-IDNDR Regional Meeting for Asia(バンコク)出席 

<ADRCの活動内容を報告>

99.3.18

国際防災の10年事務局長フィリップ・ブレ氏来訪

99.5〜7月

阪神・淡路大震災関連データベース、防災研修データベース、防災体制データベース、国別防災総合情報等をインターネット上に順次発信

99.7.5〜9

国連防災の10年プログラム・フォーラム (ジュネーブ)出席

<サクセスストーリーとして、ADRCの開設・活動を説明、セッション「災害予測等のための情報伝達技術」をコーディネート>

99.7.12〜7.16

スイス政府、フランス政府、国連人道問題調整事務所、ルーベンカトリック大学災害疫学研究所(ブリュッセル)等調査

99.7.23〜

メンバー国から順次研究員受入れ開始

<韓国、ベトナム、ネパール、インドネシア>

99.9.23

パプアニューギニア政府とジョイントプロジェクト開始

<津波災害普及啓発>

99.9.29〜10.4

台湾緊急支援チームに参加

99.11.5

ルーベンカトリック大学災害疫学研究所と「防災情報収集協力についての覚書」締結

99.12.6〜8

第2回ADRC国際会議開催 会場:IHDビル

<参加者数:24ヶ国4機関36名>

2000.1.13

ワールドバンク・パリ会議に出席

2000.2.7

国連人道問題調整事務所(OCHA)アジアユニット開所式開催