1 アジア防災センターの概要

 

1−1 設立の経緯

 

 アジア防災センターの設立までの経緯を簡単に述べると次のようになる。

  1. 国際防災の10年
  2.  国連では1987年12月の第42回総会において、90年代を「国際防災の10年」とし、国際協力行動を通じ、全世界、特に開発途上国における自然災害による被害の大幅な軽減を図ろうとする決議案が採択された。

  3. 国際防災の10年世界会議の開催
  4. 1994年5月に、国際防災の10年の中間レビューと将来に向けた行動計画の立案を目的とする「国際防災の10年世界会議」が、国連の主催により横浜市で開催された。この会議では、災害の形態や防災対策に共通点を有する地域レベルにおける国際協力の重要性などを指摘した「より安全な世界に向けての横浜戦略」が採択され、これに則って世界中で国際防災の10年に関する活動が進められることとなった。

  5. アジア防災政策会議の開催
  6.  横浜戦略における地域レベルの協力の第1歩として、アジア地域を中心とする28カ国の防災閣僚等の参加を得て、「アジア防災政策会議」が1995年12月に国際防災の10年推進本部の主催により神戸で開催された。この会議では、アジア地域における防災センター機能を有するシステムの創設の検討開始を日本より提案するなど、国際防災協力の推進に向けた「神戸防災宣言」が採択された。

  7. アジア防災専門家会議の開催
  8.  「神戸防災宣言」に盛り込まれた、「アジア地域における防災センター機能を有するシステム」の創設を議題にした「アジア防災専門家会議」が、1996年10月に30カ国の防災担当部局長等の参加を得て、国連防災の10年推進本部の主催により東京で開催された。この会議では、同システムの活動を推進するための事務局として「アジア地域防災センター(仮称)」を置くことについて検討を進めることとなった。

  9. アジア防災協力推進会合
  10.  「アジア地域における防災センター機能を有するシステム」の具体的な活動内容等について、23カ国の防災担当部局長等の参加による「アジア防災協力推進会合」が1997年6月に国連防災の10年推進本部の主催により東京で開催された。そして、同システムの事務局として「アジア防災センター」を日本に設置すること、センターの組織の性格として、各国が合意して設立する機関とすべきであること、ADPCがオブザーバーとして参加すること等が提案された。 

  11. アジア防災センターの設立

 このような経緯を経て、日本政府でアジア防災センターの組織や運営経費等について関係各国と協議を重ねた結果、地元兵庫県の協力も得て、1998年7月に兵庫県神戸市に設立されるにいたった。

 

1−2 組織及び体制

 

 アジア防災センターは22のメンバー国、4のアドバイザー国及び1オブザーバーから構成される(具体的には、表2-1-1、表2-1-2、表2-1-3を参照)。

日本国政府国土庁の監督のもとにある(財)都市防災研究所の付置機関として設置されることとなった。

 

1−3 活動内容と方針

 

アジア防災センターは、アジア地域における防災関連情報の共有を目的とする防災情報センターとしての機能を強く持つ組織である。その基本的な機能を踏まえて、次に挙げる5つの活動事項が、過去の国際会議を通じて与えられている。

1998730日に発足したアジア防災センターでは、その初年度から3年間の基本的な活動方針を以下のとおり定めた。

1. 次の情報について体系的に集積し、データベース化して発信すること

2. 防災情報ネットワークを構築し、情報の収集、発信のための手段はインターネットによること

3. 防災にかかる国際協力を進めるために、メンバー国の防災担当者と定期的な会合を開催し、信頼関係の醸成を図ること

4. メンバー国からの研究者を毎年一定規模で受け入れること

5. アジア地域にあるメンバー国間の情報共有のため、共通言語を英語とすること

また防災に関する情報の収集、データベースの整備に当たっては、上記項目に関する情報の収集を同時並行で行うが、収集整備の重点としては

こととする。