1. 世界およびアジアの自然災害データ

 

Fig.1やFig.2に見られるように、自然災害数、自然災害による被災者の数は、人口増加や都市化、さらには森林の減少や砂漠化など、環境の変化に伴って年々増加している。
驚くべきことにその被災者の90%近くがアジア地域に集中している。(Fig.4)
また、過去10年間に世界中で自然災害により受けた被害額は、6870億ドルにものぼり、その半分以上がアジア地域の受けた額である。(Fig.5)
過去25年のデータによれば、アジア地域の自然災害の特徴として、被災者は、洪水・干ばつ・台風によるものが98%を占める(Fig.6)。一方で、被害額は、これらの水関連災害と地震災害がほぼ半分ずつとなる(Fig.7)。

収入別により被害を比較したものが、Fig.8〜13である。これらにより、世界中の自然災害による死者および被災者の96%が貧しい国々(Low or Lower middle Income)の人たちであることが分かる。また、被害額そのものは、先進国の方が多い傾向があるが、実質的にその国に与えるインパクトという観点から被害額を国民総所得で割ったもので比較すればFig.14〜16に示すように、やはり貧しい国々の受けるインパクトが大きいことが分かる。
新たな試みとして、国連開発計画(UNDP)の提唱する人間開発指標(Human Development Index)により、被害を見たものが、Fig.17〜19である。この指標は、後に示すように平均余命と識字率・進学率、一人当たりGDPからなる国の人の開発度を示すものである。このグラフから、自然災害による被災は、単に貧困度のみならず、教育や衛生状態などとも密接に関連があることが分かる。

最後にFig.20は、過去の大きな災害の一覧表である。右の欄は、自然災害の被害額と国のGDP等を比較した数字であるが、これを見ればモンゴルの森林火災では実にGDPの1.5倍もの被害がたった1回の自然際がいによって引き起こされたことがわかる。

以上に見るように、「持続可能な開発」にとって、「防災」は極めて重要な鍵となっている。

 

Figure 1 - Figure 7

Figure 8 - Figure 13

Figure 14 - Figure 20