自然災害データブック 2006
分析と概観 2007年3月

Natural Disasters
Data Book - 2006


(An Analytical Overview)
March 2007


自然災害データブック2006
2006年世界における自然災害発生状況調査

はじめに

 近年同様、2006年は世界で多くの災害が発生した年となりました。インドネシアで発生した地震と津波は、この年最多の死者数をもたらす結果となり、被災者数という点では、中国、フィリピン、インド、東南アジア諸国で発生した洪水が大きな被害をもたらしました。経済被害額の観点からは、インドネシアを襲った地震が最も大きく、次いで米国、オーストラリアで起こった暴風、洪水の順でありました。こうした災害は、特にアジア地域では中国、インドネシア、フィリピン、インド、タイ、ベトナムにおける開発と経済発展に深刻な影響を及ぼしました。アフリカの多くの国では、干ばつと疫病のために大きな人的被害、経済的損害を被りました。ヨーロッパ地域では、2004年の熱波と同様に、洪水や異常気温(寒波と熱波)が発生し、多数の人命が奪われ、また多くの被災者を出しました。オセアニア地域では、暴風雨、洪水、火山活動が大きな人的・経済的被害もたらしました。

 自然災害による被害は、社会や経済、地球環境などの面で深刻な影響を与えています。さらに自然災害の頻度、規模も著しく増加傾向にあります。とりわけ、開発途上国においては、自然災害により引き起こされた経済損失額は、対GDP比で大きな数字となっており、かつ全体額として近年急上昇していることから、持続可能な開発への大きな障害となっています。自然災害による被害は、不安定な経済情勢と絡み合って、開発途上国の発展に負の影響を与える要因となっていることは明らかです。地域別には、過去30年間の統計を見てみると、アジア地域が、世界の中で最も災害による影響を受けた地域であり、世界全体の被災者数の約90%、死者数と経済損失額の約50%以上を占めています。

 このように、発展の妨げとなっている自然災害に立ち向かい、効果的な防災メカニズムを構築するためには、過去の災害を分析し、災害の傾向を把握することが必要不可欠となっています。アジア防災センターでは、2006年に発生した自然災害のデータを集め、その傾向を分析して本書を作成いたしました。この冊子が政策立案者、研究者のみならず、様々な開発活動に携わっておられる方々、また草の根レベルで活躍されておられる方々にもご活用いただき、世界の持続可能な開発の一助となることを切に願っております。

2007年3月


目  次
はじめに
   世界の地域区分
第一章
自然災害のインパクト
1-1 自然災害による被害の傾向と特徴
1-2 アジア地域の脆弱性
1-3 経済的小規模国の脆弱性
第二章
自然災害と持続可能な開発
2-1 人間開発と自然災害
2-2 ジェンダーと自然災害の影響
2-3 経済と自然災害の影響
2-4 災害の分類と開発への影響
第三章
地域別にみる自然災害の特性
3-1 世界で発生した自然災害の地域別割合
3-2 世界で発生した自然災害の地域特性
3-2-1 アフリカ地域の特徴
3-2-2 アメリカ地域の特徴
3-2-3 アジア地域の特徴
3-2-4 ヨーロッパ地域の特徴
3-2-5 オセアニア地域の特徴
第四章
アジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における自然災害の概要
4-1 災害の種類とアジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における影響
4-2 アジア防災センターメンバー国とその他アジア諸国での災害の特徴
4-3 結論
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