自然災害データブック 2005
分析と概観 2006年3月

Natural Disasters
Data Book - 2005


(An Analytical Overview) March 2006


自然災害データブック2005
2005年世界における自然災害発生状況調査

はじめに

2005年は、世界で多くの災害が発生した年となりました。インド、パキスタンで発生した地震は、歴史上でも有数の規模の死者数をもたらす結果となり、被災者数という点では、インド、中国で広範に発生した洪水が大規模でした。経済被害といった点においては、米国を襲ったハリケーン・カトリーナ、ウィルマが大きな被害を引き起こしました。またインド、パキスタン地震は地域の開発と経済発展に深刻な影響を及ぼし、洪水・集中豪雨によりインド、中国は多大なる被害を受けました。アフリカ地域では、干ばつのために大きな人的被害、経済的損害を被りました。ヨーロッパ地域では、2004年と同様に、洪水や異常気温が発生し、多くの人々が被害を受けました。オセアニア地域では、暴風雨、火山が大きな人的・経済的被害もたらしました。
自然災害による被害は、社会や経済、地球環境などの面で深刻な影響を与えています。さらに自然災害の頻度、規模が著しく増加しています。とりわけ、開発途上国においては、自然災害により引き起こされた経済損失額は、年間のGDPとの比較で大きな数字であり、かつ全体額として近年急上昇していることから、持続可能な開発への大きな障害となっています。自然災害による被害は、不安定な経済情勢と絡み合って、開発途上国の発展に負の影響を与える要因となっていることは明らかです。地域別には、過去30年間の統計を見てみると、アジア地域が、世界の中で最も災害による影響を受けた地域であり、世界全体の被災者数の約90%、死者数と経済損失額の約50%以上を占めています。
このように、発展の妨げとなっている自然災害に立ち向かい、効果的な防災メカニズムを構築するためには、過去の災害を分析し、災害の傾向を把握することが必要不可欠となっています。アジア防災センターでは、2005年に発生した自然災害のデータを集め、その傾向を分析して本書を作成いたしました。この冊子が政策立案者、研究者のみならず、様々な開発活動に関し、草の根レベルで活躍されておられる方々にもご活用いただき、世界の持続可能な開発の一助となることを切に願っております。

2006年3月

目  次
はじめに
   世界の地域区分
第一章
自然災害のインパクト
1-1 自然災害による被害の傾向と特徴
1-2 アジア地域の脆弱性
1-3 経済的小規模国の脆弱性
第二章
自然災害と持続可能な開発
2-1 人間開発と自然災害
2-2 ジェンダーと自然災害の影響
2-3 経済と自然災害の影響
2-4 災害の分類と開発への影響
第三章
地域別にみる自然災害の特性
3-1 世界で発生した自然災害の地域別割合
3-2 世界で発生した自然災害の地域特性
3-2-1 アフリカ地域の特徴
3-2-2 アメリカ地域の特徴
3-2-3 アジア地域の特徴
3-2-4 ヨーロッパ地域の特徴
3-2-5 オセアニア地域の特徴
第四章
アジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における自然災害の概要
4-1 災害の種類とアジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における影響
4-2 アジア防災センターメンバー国とその他アジア諸国での災害の特徴
4-3 結論
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