3 防災情報の収集と提供

3−2 防災体制に関する情報

3−2−1 対象とする情報

 各国の防災体制を構成する要素としては、各国の対応の基本を定める法制度、これに従い実際の対応を行う組織、また防災体制の整備を着実に進めるための基本計画があり、さらには、個々の災害に対する防災行動や対策を定める災害対応マニュアル等がある。

1) 法制度
 法制度については、すべての国において、日本の災害対策基本法のような基本法が存在するわけではなく、政府命令や特定組織の規則により、防災体制を規定している国も存在する。国毎の事情を考慮すれば、このどちらがよいかという価値判断をすることは容易でない。しかし、広義の法制度と見られるこの法令規定につき、各国の情報を共有化することは、今後法制度を整備しようとする国、あるいは現在の制度を改善しようとする国にとって、参考となるであろう。

2) 組織
 組織についても、各国の事情により異なる災害対策をとる場合が多いが、これも法制度と同じく、共通する災害に対する対応として参考にすることができる。

3) 基本計画
 メンバー国の中で日本のように防災計画を既に有している国はまだ少数派であり、防災計画の情報を共有化していくことは近い将来策定を予定している各国にとり、計画策定の参考になり、結果として自然災害による被害の軽減に資する可能性が高い。

4) 災害対応マニュアル
 災害対応マニュアルは、各国・地域において固有の自然災害の被災経験、あるいは災害態様毎に独自の対応マニュアルが作成されている場合が多いと考えられる。しかし、各国・地域独自に対応しているため、各国・地域間で共通の災害に対する経験や対応策が共有されているとはいえず、そのため、災害対応策の十分でない国及び地域がみられる。このため、昨年度に引き続き、これらの災害対策や災害対応マニュアルを共有化するため情報収集に努めてきたが、まだ十分とはいえない。今後とも各国・地域において形成・蓄積された特定災害への対応策に関する経験・知識・知見などを各国・地域間で共有化するための努力を継続していく。

 

3−2−2 情報源のレベル

 次に収集すべき情報は、各国政府レベルの情報のみではなく、州・地方政府、各地域、また市町村レベルでも有用な情報を収集する必要がある。その理由は、原則として実際に災害に対応するのは、各地域・市町村なり地方政府であり、地方レベルの対応能力を超えた場合に中央政府や国際社会が支援を行うということからも理解できるように、単に中央政府で規定や組織・制度を整備しても、地方や草の根レベルも含めた現実の防災力・災害対応力が高まったとはいえないからである。したがって、既述のとおり、各レベルの有益な情報を共有化していく必要がある。

 

3−2−3 情報収集の方法

 前記3−1−2に記載のとおり、アジア防災センターは、昨年度に引き続きメンバー国に対する情報提供依頼、現地調査、国際会議、WWWによる独自の情報収集等の方法により各国の防災体制に関する情報の収集を行った。

 

3−2−4 本年度収集した防災体制に関する情報及び分析

 アジア防災センターでは、上記の方法により、メンバー国及びアドバイザー国等から防災体制に関する情報を収集し、データベースとして整理し、その結果をアジア防災センターのホームページ上で情報提供した。防災体制の状況につきその概要を以下に示す。

1) 法制度
 法制度に関しては、各国個別の事情により対応に違いが見られる。
 日本のように災害対策基本法を有している基本法型のグループ、ロシア・シンガポールのように市民防衛法型のグループ、バングラデシュ・マレーシアのように政府命令・内務規定などの規則による運用規定型のグループに分けることができる。これらのうちいずれがよいかの判断は難しいが、中央・地方を問わず何らかの法制度を有しておくことは政府の義務の明確化及び一般国民に対する周知徹底の面でも有益と思われる。
 アジア防災センターのホームページ上のデータベースには、各国法制度の概要のみにとどまらず法律・規定の全文を入手したものについては、これを掲載するようにし、各国の利用に供している。また、インターネット接続の環境がまだ十分でない国については、要請に対して積極的にペーパーベースでの情報提供を行っている。たとえば、12月の第2回国際会議の際、ラオス代表からの要請により、日本の災害対策基本法の英訳文を提供した。同国では現在災害対策に関する基本法の策定中であり、このような情報提供が今後の同国の基本法策定に活かされることが期待できる。今後ともWWW上での情報提供にとどまらず、要請があればペーパーベースでの情報提供もしていきたいと考える。
なお、表3-2-4-1に、各国の法制度に関する概要を示す。また、災害対策に関して運用規定で対応しているケースの代表例としてバングラデシュの災害対策規定の構成を表 3-2-4-2に示す。

表3-2-4-1 各国の防災法制度

国 名

基 本 法・規 定 な ど

バングラデシュ

国家災害管理法は審議中(1999年)。

カンボジア

市民防衛法成立(1993年)。

インド

自然災害は国、州、地域の3レベルで対応。

インドネシア

大統領令43/1990(1995年)。

日本

災害対策基本法施行(1961年)。

カザフスタン

市民防衛法のほか、自然災害及び産業災害に関する緊急事態法、消防法、緊急援助法、国家安全法、保健衛生法など。

大韓民国

自然災害対策法制定(1970年)
緊急対策法制定(1980年)/人災に対応

ネパール

自然災害救援法(1982年制定。1989、1992年改正)。
自然災害救援規定(各組織の役割明記)未成立のため法の実効性は完全でない。

ラオス

活動内容を定めた枠組みを規定(1998年)。災害対策基本法は未成立。

マレーシア

国家安全保障令第20号。

モンゴル

市民防衛法成立(1995年)。自然災害及び人災に対応。

パプアニューギニア

災害対策法成立(1975年)あり。州政府、地方政府レベルの対策法がないため、それをカバーする法律を検討中。

フィリピン

大統領令1566公布(1978年)で政府から村落レベルまで防災調整委員会の設置を規定。

ロシア

@自然災害、技術災害に対する国民・領土保全法 A災害救助法 B民間防衛法 C物資供給法 D災害物資備蓄法。

シンガポール

市民防衛法成立(1986年)。自然災害及び人災に対応。

スリランカ

災害対策法策定中。

タジキスタン

市民防衛法成立(1996年)。

タイ

市民防衛法成立(1979年)。

ウズベキスタン

災害に対する国民保護法制定(1998年)。

ヴィエトナム

首相命令、政治局通達に基づき、各地方が防災計画を立案。

オーストラリア

8州・領土中6州に災害対策法。全国レベルでは緊急管理協定により連邦・州・領土・地方政府・地域間での協力関係あり。

スイス

市民防衛法(第二次大戦後成立。数回改正)。国際開発協力・人道援助法(1976年成立)。いずれもスイス連邦法。


表 3-2-4-2 バングラデシュ災害対策規定(Standing Orders on Disaster)の構成

1 背景・定義
2 国家レベルの政策形成・調整
3 国家災害管理評議会
4 省間災害管理調整委員会
5 国家災害管理諮問委員会
6 災害管理救援省
7 サイクロン対策プログラム
8 水資源省
9 情報省
10 健康・家族福祉省
11 食糧省
12 農業省
13 漁業・畜産省
14 民間航空・観光省
15 三軍関係庁
16 国防省
17 内務省
18 通信省
19 海運省
20 住宅・公共事業省
21 社会福祉省
22 地方行政・農村地域開発省
23 外務省
24 財務省
25 産業省
26 教育省
27 商業省
28 郵政省
29 電力・エネルギー・資源省
30 環境・森林省
31 計画委員会
32 他の省庁
33 バングラデシュ赤新月社
(以下省略)

 

2) 組織
 組織についても、各国毎に固有の組織体制を構築しているが、大別すれば、日本の中央防災会議、インドネシアの国家災害管理調整委員会(Bakornas PB)のように政府内横断組織とその専門事務局を有する国、バングラデシュのように災害対策・救援のための専門省「災害管理救援省」を有する国、スリランカのように社会事業省内の特定組織「国家災害管理センター」で災害対策を担当させる国などがある。
 表3-2-4-3に、各国の状況を示す。

表3-2-4-3 各国の防災組織体制

国 名

組 織 体 制

バングラデシュ

災害管理救援省あり。災害発生時に各省庁に協力を要請。他に国家災害対策会議(議長/総理大臣)、省庁間調整委員会、サイクロン準備委員会あり。

カンボジア

国家災害対策委員会、政策が確立されたのは1995年。組織は16人の閣僚で構成。首相が組織を管轄。赤十字が全面協力。

インド

平時:政府内危機管理グループ(首相府長官が議長)。自然災害は農業省が主管し、他省は支援。州レベルでは救援復興部又は歳入部が主管。地域レベルでは、税務官の指導する調整監視委員会。
災害時:政府内横断チームが州政府と協力。

インドネシア

国家災害管理調整委員会(Bakornas PB)で総合調整。国民福祉・貧困軽減調整省が事務局で、全災害に対応、各省に指示権限あり。公共事業省、技術評価利用庁、気象地質庁、環境庁などがBakornas PBメンバー。

日本

災害対策の基本政策は中央防災会議(閣僚で構成。議長は内閣総理大臣)で決定。事務局は国土庁。個別の政策は各省庁で策定。各自治体は災害対策及び救援活動を実施(自治省管轄)。

カザフスタン

緊急事態庁で対応。各市、市民防衛局、緊急医療センター、共和国緊急救援隊、水難救助隊等と連携。共和国首相が市民防衛責任者。

大韓民国

大統領、首相、行政自治部、市民防衛組織の枠組みで構成。その下部組織として災害準備・防災局(自然災害対策法に対応)、市民防衛・災害対策局及び消防局(緊急対策法に対応)あり。地域レベルでは各地方政府が対応。

ネパール

中央自然災害救援委員会のもと、地域自然災害救援委員会、地区自然災害救援委員会、ローカル自然災害救援委員会あり。また救援医療小委員会と供給・避難・復興小委員会あり。
内務省災害救援部は、防災政策立案、防災準備、救援活動、情報収集、救援物資等被災者配付など実施。遠隔地対応が課題。

ラオス

福祉省が総理府の事務局として活動。

マレーシア

国家安全保障令第20号に基づき、総理府国家安全保障局が総括。災害対策・救援委員会が具体的活動計画を策定、実施。連邦政府、州、地域レベルで対応。

モンゴル

環境省(政策面を担当)、市民防衛委員会(実務を担当)に加え、災害発生時には国家恒久緊急対策委員会を召集(閣僚により構成。議長は首相)地方レベルでは地域緊急対策委員会で対応。

パプア
ニューギニア

災害対策法(DMA)に基づき国家災害管理局(NDMO)設置。国家災害委員会(NDC)が災害を宣言し、政府に行動プランを助言。州レベルでは防災委員会(PDC)あり。

フィリピン

国家災害調整委員会(NDCC)が民間と協力して防災計画立案、緊急対応・復興を行う。大統領に解決策や緊急事態公布の進言実施。政府内14省、軍総司令官、赤十字事務局長、国防省市民防衛局長などからなる。

ロシア

ロシア市民防衛非常事態防災省(EMERCOM)あり。専任の人員及び資源保有。

シンガポール

内務省が管轄。市民防衛隊、警察隊が実務対応。大災害の場合、災害管理委員会を召集(閣僚がメンバー)。

スリランカ

社会事業省が災害対策センターを設置。州、地域レベルでの対応はまだできていない。

タジキスタン

首相が防災・災害対策を総括。国家緊急・市民防衛委員会が実務を担当。州、地域レベルでそれぞれ委員会があり、州が中心。各州には市民防衛本部あり。

タイ

99年市民防衛法に基づく国家市民防衛委員会(議長/内務相)が各省を調整。国防省、農務省、厚生省等がメンバー。NGOもあり。地域、地方レベルで対応。

ウズベキスタン

首相府緊急事態部(5名)が政府内各省調整及び災害対策の総合調整機能を担う。

ヴィエトナム

洪水・台風対策中央委員会が各地方人民委員会、軍管区本部と連携して対応。国家水文気象予報センターが早期警報実施。

オーストラリア

州、地方レベルで災害に対応。それぞれに災害対策委員会あり。地方委員会、州委員会、国家委員会(EMA)、国家災害対策委員会の順で災害に対応。必要に応じて連邦災害対策特別委員会が設置され、政府レベルでの調整に当たる。

ニュ-ジ-ランド

危機管理計画に基づく緊急事態管理体制へ移行。

スイス

防災に関しては地方政府が対応。災害発生時には地域レベルで対応。連邦政府の管轄は国防省。

 


3) 基本計画等

 基本計画については、国家レベルでの防災基本計画を有する国(日本、ネパール、パプアニューギニア、フィリピン、ロシア、シンガポール、スリランカ、タジキスタン、タイ、スイス)、現在策定検討中の国(バングラデシュ、カザフスタン、マレーシア、モンゴル、ヴィエトナム)のほか、州・地方レベルで計画を有する国(オーストラリア)などがある。
 災害対策については、各国及び地域独自のものが殆どであり、共通の自然災害に対して同じような対策をとることができないわけではないが、各国及び地域毎の存在する固有の条件を考慮に入れながら、他国及び他地域の災害対策を検討していく必要がある。
アジア防災センターでは、そのような観点から、各国及び地域の災害対策について、その行動計画、マニュアルなどを収集し、整理し、分析しており、現在及び将来にわたり、これらの災害対策情報が各国及び地域での独自の災害対策の策定並びに実施のために参考にされることを強く期待するものである。
 具体的には、アジア防災センターはこれらの情報をインターネットのホームページ上でデータベース化して公開しているため、インターネットでWWWを利用できる環境にあれば自由にこれらの情報を閲覧することができる。またWWW上に掲載されていない情報については、直接アジア防災センターに照会して情報を検索することができるほか、外国人研究員プログラム等でアジア防災センターに勤務又はアジア防災センターを訪問することができれば、自由にこれらの情報を閲覧できる。今後の活用を大いに期待したい。
表3-2-4-4に、各国の状況を示す。なお、一例としてカンボジアの国家災害管理委員会(NCDM)の基本政策の構成をその次に記す。

表3-2-4-4 各国の防災基本計画

国 名

           

バングラデシュ

災害基本計画はないが、省庁別に災害対策内務規定あり。これに沿って国家、地方、村レベルに至る様々な災害対策委員会が対応。

カンボジア

国家レベルでは防災法等を準備中。地域レベルでも人材育成計画など策定中。

インド

ビジョン2020により、開発計画に防災を組み込み、最新情報技術、保険、法的枠組み強化を図る。

インドネシア

最近UNDPの支援を受けてインドネシア防災情報システム(DIS)を開発。DISは防災用GISシステム、災害報告及び救援情報のためのデータベースを含む。

日本

災害対策基本法に基づき中央防災会議が防災基本計画を承認。4つの自然災害、8つの人災(火災、列車事故等)を防災、初動対応、復興に関して規定。阪神大震災の教訓を生かし、同計画を95年と97年に改定。各省庁、企業、自治体、ボランティア、公益企業の役割を規定。

カザフスタン

緊急事態庁がIDNDR方針に則り防災緊急行動計画を策定。カザフスタン総合防災計画も策定。

大韓民国

手順書、予備軍計画書、市民防衛計画書(赤十字、ボランティア等を対象)あり。災害対策5ヵ年計画(1997年〜2001年/予算220億ドル)の中で昨年40億ドルを災害対策から技術開発に至る22項目に投入。

ネパール

第9次計画(1998-2002年)により最新技術による国家防災体制及び消防力強化を計画。IDNDRネパール委員会のもと国家行動計画策定。UNDP等と協力し国家総合防災計画策定。

ラオス

@災害対策法、活動計画策定 A人材育成計画 B通信システムの改善 C財源の確保 D早期警戒システム

マレーシア

インドネシアの例を参考に独自の計画を策定中。中長期的観点や技術援助要請など盛り込む予定。オーストラリアの協力により森林火災対策計画を策定中。産業災害、土砂崩れも加え、計4の個別対応計画をつくり各ケース毎の関係省庁の役割、対応方法を規定。

モンゴル

現在、自然災害軽減行動計画(草案)を策定中。市民防衛団体にマニュアルあり。

パプア
ニューギニア

@地域防災計画(州レベル以下の小規模な災害対象)。A国家防災計画(見直し中)。その他災害別に産業省が計画を策定(油の流出、民間航空機災害、火災等)。関係省庁が各計画を四半期毎に見直す。

フィリピン

政府・各省毎に防災計画あり、定期的に見直し実施。

ロシア

ロシア政府が災害基本計画策定。防災、救援、復興における関係省庁の役割を規定。災害対策計画では、森林火災、地震、洪水など、災害種類別に計画を規定。災害の規模によって中央政府、地方政府の区別なく使用。

シンガポール

最高責任者計画あり。あらゆる災害に対応。その下に災害別に16の実務対応計画あり(列車事故、爆発、化学災害、トンネル災害、航空機事故等)。

スリランカ

災害対策基本計画あり(1990年策定)。改定を検討中。

タジキスタン

政府が毎年市民防衛計画を採択。地理的条件、地方政府の災害対策計画を考慮。
仮に決壊すれば周辺国に甚大な被害を及ぼすサレズ湖の決壊防止・警戒対策検討中。

タイ

1988年の台風災害以来政府が災害対策の重要性を認識。国家開発計画の一部として災害対策5ヵ年計画(1997〜2001年)策定。これに基づき市民防衛マスタープランを導入(1998年)。災害時における関係省庁の責任の明確化、防災に関する各省庁の協力体制、コミュニケーションの効率化、NGOとの協力などを規定。

ウズベキスタン

1997年キルギスで発生した洪水でウズベキスタンの116人の人命が奪われたことなどから衛星による早期警戒警報システム検討中。

ヴィエトナム

農業開発省堤防管理洪水台風防御センターで2010年までの防災行動計画を策定予定。

オーストラリア

州、地方別に災害対策計画あり。その他に連邦政府災害対策計画、海外災害の協力を定めた支援計画あり。オーストラリア緊急対策マニュアルシリーズが必要事項のほとんどをカバー。

スイス

国内では国防省が所管する災害基本計画(中央政府、地方自治体の理解統一のため用語定義)あり。実務対応用に災害別計画あり。国際協力は外務省所管の自然災害防災戦略あり。

 

カンボジアの国家災害管理委員会(NCDM)の基本政策の構成

1.一般的な政策要素
2.国家災害管理委員会のフィロソフィ
3.国家災害管理委員会の目標
4.国家災害管理委員会の役割
5.国家災害管理委員会の責任
6.国家災害管理委員会の国家戦略
7.国家災害管理委員会の準国家戦略
8.国家緊急管理政策による諸利益
9.政策の宣言
10.具体的政策の推進方法

 また、地域レベルの防災体制に関しては、国内の地方自治体等の資料も各国及び地域の防災体制整備の参考にできると考えられるため、地元の兵庫県や神戸市を含む主要な自治体等から防災体制に関する資料を収集・整理しており、参考までにそのリストの一部を掲載する。(表3-2-4-5)
 これらの資料については、今後ともアジア地域で共通する自然災害に対する、各国及び地域の防災体制の強化、防災力の向上とこれらを通じた自然災害被害の軽減のために有効に活用していく方針である。

表3-2-4-5 国内の防災体制に関する資料(抜粋)

発行者/作成者

タイトル

建設省

建設省防災業務計画

兵庫県

兵庫県地域防災計画(地震災害対策計画)

兵庫県

兵庫県地域防災計画(風水害等災害対策計画)

神戸市防災会議

神戸市地域防災計画地震対策編

芦屋市企画財政部防対策課

初動活動マニュアル

芦屋市防災会議

芦屋市地域防災計画風水害等対策編

芦屋市防災会議

芦屋市地域防災計画地震対策編

北海道防災会議

北海道地域防災計画(地震防災計画編)

北海道防災会議

北海道地域防災計画(資料編)

北海道防災会議

北海道地域防災計画

宮城県防災会議

宮城県地域防災計画(風水害等災害対策編)

宮城県防災会議

宮城県地域防災計画(風水害等災害対策編)資料

神奈川県防災会議

神奈川県地域防災計画(風水害等災害対策計画)

神奈川県防災会議

神奈川県地域防災計画(地震災害対策計画)

伊東市防災会議

伊東市地域防災計画一般対策編

静岡市防災会議

静岡市地域防災計画(一般対策編)

静岡市防災会議

静岡市地域防災計画(東海地震等対策編)

名古屋市防災会議

名古屋市地域防災計画(地震災害対策編)

名古屋市防災会議

名古屋市地域防災計画(附属資料編)

大阪府

大阪府防災会議条例【防災・消防】

大阪府

大阪府災害応急対策実施要領

大阪府防災会議

大阪地域防災計画-関係資料−

長崎市

長崎市地域防災計画、長崎市水防計画

深江町防災会

深江町地域防災計画書

 

3−2−5 今後の課題

   アジア防災センターとしての今後の課題は、構築したデータベースの一層の拡充強化、収集した情報の分析、これによる各国のニーズ把握、さらにこれらを通じた多国間防災協力の推進ということになろう。
1) 防災体制データベースの拡充強化
 アジア防災センターで収集した防災体制に関する情報を各国で共有化していくため、アジア防災センターのホームページ上にデータベースを構築し、ここから防災体制に関する情報を検索閲覧できるようにした。これにより、各国及び地域は他国の実例を参考にしながら、自国及び地域の防災体制の整備・改善を図ることが可能となった。今後ともメンバー国等の協力を得ながらデータベースの内容を充実させ、よりわかりやすく、使いやすい防災体制データベースにしていく予定である。
2) 情報の分析及び各国のニーズへの対応
 収集した情報の分析により、各国毎の特殊事情やニーズが明確になりつつある。その中で日本、ロシア、シンガポール等の国は、既に国ベースでの防災体制がほぼ確立されているが、ネパール、ラオス、パプアニューギニア等の国については防災体制の整備を現在進めつつあることがわかっている。前者についても、より一層防災体制の充実強化を図るために個々に必要な改善措置を講じていく必要があるし、後者については、域内協力の課題として優先的に取り組むことが必要と思われる。
 また、アジア諸国の自然災害に対する脆弱性を軽減するには国家の長期的な基本計画の中で防災の観点から検討を加える必要があるが、その前提として、各国政府及び市民の防災意識を高める必要がある。そのためには、早期に防災体制を含む防災に関する情報を各国で共有化することにより、立法・政策・計画立案担当者等が、防災の観点を国家及び地域の基本計画の中に適切に位置付け、常に取り入れていく必要がある。
3) 協力の推進
 第1回に引き続き第2回国際会議でも合意されたように、今後も引き続き定期的な会合をもつことにより、メンバー国の防災担当者及び専門家が各国の最新の防災体制・災害対策に関する情報交換を進めていくことが必要であろう。次に、メンバー国から参加する研究員がアジア防災センターのスタッフとしてアジア地域内での人的交流及び情報交流を活発化することも大切である。さらには、アジア地域における自然災害被害の軽減のために、アジア防災センターが仲介者となり、日本及びアジア各国の人材・技術並びに物的資源をネットワーク化し、再構成していくことが求められているといえよう。