シンガポール共和国 

カントリーレポート

1999

 

 


 

目  次

 

T.目的

U.導入

V.主な熟考

W.非常時の当局

X.法律の制定

1.市民防衛法 1986

2.火災安全法 1993

3.市民避難所法 1997

Y.非常時準備対策

1.計画

2.訓練及び練習

3.一般人の自覚、教育、参加

Z.災害管理機関

1.主な機関

2.サポートする機関

[.国際協力

1.国際関係学プログラム

2.海外の救助援助

3.訓練

\.結論

 

 


T.目的

 

1.このレポートは災害防止と管理のためにシンガポールによって着手されている準備計画と行動の概観を提供する。

 

 

 

 

 

 

U.導入

 

2.シンガポール共和国は、国土面積約600平方キロメートル、およそ290万人の多人      種の小さな島の都市国家である。人口の80パーセント以上が約4,700の公共高層マンションに住んでいる。共和国にはまた、数百の民間の高層建築があり、中央商業地域には280メートルを超えるものもある。

 

3. 地理的に、シンガポールは、「環太平洋火山帯」のちょうど外側にあるので、地震や火山噴火などの自然現象による破壊から免れている。それにも関わらず、時々局所的で、痛々しく悲劇的な人災や大きな事故がある。

 

 


 

V.主な熟考

 

4. 非常時準備プログラムと災害

シンガポールによって行われる管理活動は以下のような原則に基づいている。

 

(1)       人災は阻止することができる。そしてそれらの悲劇的な結果は、強制執行を伴う一連の厳格で包括的な政府の火事や建物の安全性への規制を通して最小化されうる。

(2)       緊急事態や偶発事故に対する計画は、起こしてしまった災害を扱うために開発されるべきである。このような計画はまた、定期的な練習や訓練を通して試されるべきである。

(3)       共同体は緊急事態への準備の必要と重要性を教育されるべきである。

(4)       対等な全ての機関が緊急時の対応と災害管理に努力するべきである。全ての利用しうる専門的知識と手段は、けが人を救う機会を最大にし、かつ社会資本の損害を最小にするために調整され、すみやかに被災地に向けられるべきである。

(5)       復旧作業とけが人の社会復帰は、総合的な災害管理計画に不可欠である。

 


W.非常時の当局

 

5. 自治省は、緊急事態への民間防衛準備と災害管理への責任ある指導機関である。その下に、2つの緊急事態に対する機関、シンガポール市民防衛軍と及び計画・調整・様々な計画と行動の履行に責任を持つシンガポール警察が行動する。法廷会議や政府の局などいくつかの他省庁もまた、例えば健康省のように補佐的な役割を担う。


X.法律の制定

 

6. シンガポールの緊急準備計画と危機管理活動は、様々な法律に支えられている。これに関連する主な法律を挙げる。

 

1.市民防衛法 1986

この法律は、緊急事態宣言とSCDF をサポートする救助隊の展開への法的枠組みを提供する。

 

2.火災安全法 1993

この法律は、火災に対する準備における家屋敷の所有者に対する管理の負担と同様に、商業施設と工業施設に対して火災への安全性を課すための法的枠組みである。

 

3.市民避難所法 1997

この法律は、法令会議が、緊急事態の間必要であれば避難所としてどの建物のどの部分でも使用できることや、市民避難所の使用を調整することを、新築の家・共同住宅・適当な建物全てに要求するための法的枠組みである。

 

 


Y.非常時準備対策

 

7. シンガポールの大災害に対する非常時準備対策は、以下の主な構成要素からなる。

 

1.計画

複数の機関のアプローチは、市民防衛軍によって調整され、緊急事態の展開或いは次の用の災害の種類をカバーする計画について選択された。

(1)   商業用・住宅用高層建築における火災

(2)   石油化学装置と石油精錬所における火災

(3)   危険で有毒な物質の放出と拡散

(4)   建物及びその他の主な構造物の倒壊

(5)   陸上、航空、海上、そして鉄道輸送機関における事故

 

2.訓練及び練習

偶発的な事故の計画が包括的かつ効果的であることを確実にするために、様々な緊急事態関連機関によって訓練及び練習が指揮される。このような訓練及び練習は公共機関はもちろん、建物の所有者や在任者にも必要とされる。一つの例として、様々な高層商業建築物で、毎週月曜日の朝、市民防衛軍により火災訓練が指揮される。加えて、実際の準備と緊急時の職員の対応能力を高めるため、定期的に訓練が指揮される。

 

3.一般人の自覚、教育、参加

(1)     効果的な非常時準備は全住民の参加を必要とする。1982年の開始以来、市民防衛軍は緊急時の準備のために共同体関係計画を実行してきている。人々は、定期的に知識を保持され、ニュースや広告、ポスター、リーフレットなどの様々な伝達手段を通して緊急時の準備の必要性と重要性を思い出す。人々へのメッセージの根底にあるものは、「準備だけがあなたを守る」ということである。

(2)     火災予防、安全、避難、救助、初期援助などを網羅する公教育計画は異なる対象のグループに対して発達してきた。これらの対象は、子供、主婦、年輩の市民、学校、工場や商業施設である。長期の目標は、それぞれの家庭に少なくとも一人は緊急時の準備を体得した人がいることである。

(3)     市民防衛を促進し、緊急時の準備活動、特に救助、飲料水の配給、献血などの運動を人々に参加させるため、市民防衛軍によって膨大な共同体と大衆のネットワークが設立されている。

 


Z.災害管理機関

 

8. 以下は、シンガポールで始まった災害管理対策の概観である。

 

1.主な機関

(1)   シンガポール市民防衛軍とシンガポール警察は、災害管理を受け持つ自治省の権限の下で、主要な機関である。市民防衛軍は被災地での消火と救助作業、被災者の病院への輸送を指揮する責任がある。警察は、問題の調整はもちろん、安全、捜査、交通管理に責任がある。

(2)   65,000名の予備兵或いは職業軍人、43,000名のボランティアと中核をなす約1,500名の正規の公務員からなる、おおよそ100,000人の職員の力で、市民防衛軍は昼夜を問わずあらゆる種類の緊急事態に対応する。市民防衛軍は平均して13,500回の消火活動に出動し、救急車は60,000回呼ばれている。最近2年間に市民防衛軍が出動した主な事件には、タイヤ倉庫や化学工場の火災が含まれている。

(3)   3段構造からなる市民防衛軍本部は4つの地域本部を指揮している。地域本部は消防署やその他の陸上部隊を管理している(付属文書A参照)。消防署は最初に出動するだろう。災害の規模や性質によって、消防署は救急大隊や地域本部、市民防衛軍本部の応援を受ける。緊急出動部隊や救急大隊のような移動救急部隊は迅速に動員可能である。

(4)   市民防衛軍には、トンネルや大量高速輸送機関での救助、高層建築物での救助といった複雑で困難な救助作業を実行するための精鋭救助チームであるDART(Disaster Assistance and Rescue Teamの略)がある。DARTは、救助犬はもちろん、ロボットや探索カメラ、ファイバースコープ、サーマルカメラ、位置探査装置といった最新技術の設備を装備している。

 

2.サポートする機関

災害管理において、市民防衛軍と警察はその他の政府機関、すなわち以下のような機関からサポートを受ける。

(1)   健康省:けが人の治療、被災者の肉体的・心理的復帰に責任がある。

(2)   共同体開発省:ホームレスの管理に責任がある。

(3)   情報芸術省:メディア関係と公共情報に責任がある。

(4)   環境省:死者の処理と破片処理等の清掃作業に責任がある。

(5)   公共事業局:技術と構造の安全性について助言する。

(6)   公益事業機関:電気やガスの遮断、消火や救助活動を促進する水の供給、災害後の復興

 


[.国際協力

 

9. 過去数年間にわたり、シンガポールは災害管理における協力を、以下のように行った。

 

1.国際関係学プログラム

シンガポールには、アジア太平洋やヨーロッパの幾つかの国々と、続行中の交換計画がある。特に自治省や市民防衛軍、警察等、シンガポールの幾つかの緊急対策機関が、それぞれ他国の同様な機関と時々会い、緊急事態対策や災害管理の見解や経験の交換をしている。

 

2.海外の救助援助

市民防衛軍は、1990年にBaguio地震での救助活動でフィリピンを、そして1993年にKuala Lumpurのハイランドタワー倒壊での救助活動でマレーシアを援助している。この派遣団は、国際探索救助チームとして国連防災団体(UNDRO)に登録されている。

 

3.訓練

(1)       市民防衛軍は、救助や消火においてASEAN諸国の幾つかへの援助を行ってきている。ブルネイの消防隊やマレーシア特別災害救助隊(SMARTs)を訓練した例がある。市民防衛軍の職員の中には、日本や香港の消防隊に配属され、これらの国での経験から役立つものを得るために訓練しているものもある。

(2)       市民防衛軍は、ASEAN諸国に、自分たちの都市調査や救助、緊急時の行動管理についての訓練課程を提案する。

 

 

10. シンガポールは、意見の交換や、災害の防止と管理における専門的な知識や技術の共有を深く尊重している。我々には、アジア太平洋、ヨーロッパ、そしてアメリカと継続的な計画がある。シンガポールは、防災計画管理における膨大な経験を持った国々から多くのことを学んでいる。我々は我々の地域の状況に置いて有用な考えを学んで選択してきている。数年来、特に防災分野で、そして都市環境における災害を扱ったり軽減したりすることにおいて、災害への対応の幾つかの分野での技量を開発できるようになってきている。シンガポールが他国と、我々自身の経験を共有できるような分野が存在する。

 

\.結論

 

11. シンガポールは公共の安全を尊重している。いかなる災害でも共同体や環境や社会資本の混乱が最小になるように、大災害に対する準備をしていると信じている。人々の緊急事態に対する準備を促進する全ての努力の結果である。一方、様々な緊急機関の密接な協力によって実行される予見しうる災害の範囲のための計画は発展途上であり、訓練中である。適切であれば、援助が必要な近隣諸国と経験や救助手段を共有する。