フィリピン
カントリーレポート
1999
目 次
環太平洋地域は最も急激な成長をしている共同体というだけではなく、世界でもっとも動的な国家群である。また、それは広範囲の天災にさらされている地域である。太平洋の西縁の近くに位置するフィリピン諸島は、洪水・嵐・嵐の大波・それらに伴った地滑り及び他の荒廃をもたらす、季節的な台風と季節風降雨の直接の経路にある。また、 フィリピンは大陸のプレートが衝突して、その結果周期的な地震と火山の爆発を経験する「炎のリング(ring of fire)」にある。自然災害へのフィリピンの露出は、頻繁、多様、厳しさ(特に防災に注意するようにした組み合わせ)として特徴づけられるかもしれない。
データは、不気味な90年代の災害による混乱を示している。巻き返し政策にも関わらず、生命と財産に及ぼした膨大な損害の衝撃は、経済の調和を奪った。国際防災の10年が始まった1990年7月15日、フィリピンにマグニチュード7.8の地震が起き、ルソン島の3つの都市(損害は約122億Pと見積もられたCabanatuan市、Dagupan市、Baguio市)では1,283人が死亡した。同じ年、その地域は8回の強い台風に襲われ、670人が死亡、128億Pの高い損害を被った。
1991年、負けじとピナツボ火山が400年の眠りの後に噴火し、850人が死んだ。全世界的な規模の災害と呼ばれるほど、噴火は世界中の気候を変えた。そして噴火によって引き起こされたlahar (Lahar T、U and V)の流れを通して、ルソン島の中央平原の地形と風景は変わり続けている。
この火山の爆発によって引き起こされた地質上の変化は、毎年梅雨にルソン島に災害をもたらし続けている。クラーク空軍基地とスービック湾の経済ゾーンが位置するOlongapoとAngelesの都市は、大いに被害を受けた。一方、10億Pに達する損害より小さいものの、悲惨なOrmoc市の鉄砲水は死者5,101人を出した。とても短い時間に、また防風林として役立つ森林が非常に薄かったこともあり、熱帯性嵐の“Uring"による雨水が下流にほとばしり、都市の人々が海に流され、おぼれた。
破壊的な台風がフィリピンを通過した(1993年の台風13号は死者794人、損失200億P。1995年の台風9号は死者1,204人、損失150億P)。洪水と地滑りもまた、フィリピンを襲い続けた。1995年、洪水と地滑りがミンダナオ島とネグロス島に被害を与えた。
1998年、フィリピンを苦しめた最近の破壊的な自然現象は、エルニーニョ現象の強い影響である。約98万5000世帯が飢餓に苦しんできている。厳しい水不足があり、そして災害で危機的な状態になった地域のほとんどの農夫が災害後に食料を購入できるような収入がなかったためである。
1999年には、ラニーニャ現象の影響が国内のいくつかの地域で発生した8つの台風、豪雨及び洪水に顕著に現れた。最も悲惨な例は8月3日午後7時30分頃、Metro Manila 近くにあるAntipolo市 Barangay San Luisのthe Cherry Hills Subdivisionで発生した地滑りである。
3日間続いた降雨の後、その地域の東側のがけが崩壊した。くずれた土壌や泥は地域を襲い、その通り道となった440戸のうちの半数近い家屋を飲み込んだ。目撃者によれば、おしよせた泥水の勢いは非常に強く、これらの家々をそっくり元の位置から数メートル押し動かしてしまったという。
この地滑りにより、58人が死亡し、31人が救出もしくは負傷し、1人(Mr. Dante Tecson)が未だ行方不明である。合計で125世帯が被災し、また379戸が倒壊または被害を受けたと記録されている。
その他の災害には、バッタやねずみによる被害、主な火山のpyretic噴火、地滑り、大竜巻、及び他の人災といったものが含まれる。災害による影響は以下の通り:死者/435人、負傷者/311人、行方不明者/24人、被災人口/1,016,376世帯または4,722,460人、被害総額17億pまたは4100万米ドル。
現行の海外からの緊急援助政策のもとでは、フィリピン政府は人的また物理的な被害が自国のcoping能力を超えた場合、必要であれば国際的な救助を要請することができる。しかしこうした援助は当該被災地における必要性と要求に応じて受けられるものである。
この見解に基づき、フィリピン政府から出された大災害に関する国際援助の要請は過去2件のみである。すなわち、1990年7月16日の地震(マグニチュード7.8)、及び今世紀最悪の噴火とも言われる1991年6月のピナツボ火山噴火である。1990年の地震の際には、発生後最初の10日間に捜索・救援チーム、及び各国・各団体からの救助物資というかたちで援助がなされた。
また1991年のピナツボ火山噴火時における海外からの緊急救済援助費は、10の国連組織、24の国々、16の国際NGO組織 11カ国の国際赤十字からの総額約92,145,756米ドルにのぼった。
フィリピン人にとって災害は常に生活の一部であり、災害と共存することを学んできた。逆境のもと、こうした困難を克服してきたその回復能力は、不屈ともいえるフィリピン人の強さの象徴である。
災害が人々の生命や財産に与える深刻な影響を懸念し、また地理的理由から災害の発生はフィリピン人の生活とともにあるというを認識し、フィリピン政府は、法律や制度面、組織や災害管理計画等をもって災害の悪影響の防止対策を行っている。
1978年6月11日に公布されたこの法令は、‘フィリピンの災害管理能力及び全国的な地域防災計画の強化’に関するものである。
顕著な条件:
1. 地方政府における自助、及び災害に対する準備、対応、復旧等に関する国家の方針
2. 全国、及び地方・地域の災害調整評議会の組織
3. 防衛庁による全国防災計画(NCDPP)の準備、及びNDCCメンバー機関(NDCC member-agencies)と地方DCCによる実行計画
4. 関連機関及び地方DCCによる定期的な練習の指揮
5. 地方自治体に対しDCCといった組織への防災活動資金供給を計画する権限、災害対策センター(DOC)の設立、及びDCCの対応チームへの訓練と装備。
修正のように、これは、1991年の地方自治体コード(Local Government Code)のSec.324(d)の下に5%に加えてある。
大統領令1566のIRRの下で、手続き、及び3段階における情報の相互調整と普及のための手続きやガイドラインと同様、DCCメンバー機関の災害管理活動が定義されている。
大統領令1566のIRRの元でのDCCの災害管理活動
A. 災害前の段階
1.災害に対する計画
・ OCDの検討・評価を得てRDCCに提出される災害管理計画を策定する。この計画は、NCDPPの指導要領にのっとったもので、必要に応じて改訂され、更新されるものとする。
2.組織
・NCDPPに記載のDCCの機構に合致するDCCの組織化を行う。これにはSanggunianの決裁が必要である。
・ 各機関間の協力協議体制に関するDCCの指針を策定する。
3.教育
・DCCのメンバーに対して災害管理に関する教育を行う。具体的には、DCCの活動チーム、ボランティア及びコミュニティのメンバーに対して、以下のような機関の指導に従って技術指導を行う;OCDは教育内容の開発及び教育準備プログラムの作成について指導・援助する;DSWDは主に救助活動に絞ってbarangay tri-sectoralグループの災害準備に関する手引きを作成する;DECSは、学校のカリキュラムに災害に関するテーマを盛り込むことによって一般市民の意識啓発キャンペーンを行う;DTIは商用大規模ビルにおける災害管理グループを教育する。
4.訓練
・ 災害時の対応方法の有効性を検討するため、荻敵に組織的・地域的訓練を実施する。OCDはそれらを支援、監督、批評する。
5.備蓄
・ 食糧、衣料品、避難路、医療資機材、運搬手段その他の物資の緊急時の必要量をあらかじめ決定する。
・ 上記を備蓄するための適切な手段を講じる。
6.救助に関する詳細調査
・ 現在活用可能な手段の確認
・ 災害関連業務を遂行するための救援活動組織の能力評価
・ 各救援組織への適切な業務の割り振り
7.広報活動
・ 防衛庁、フィリピン情報局及びその他の政府機関/又は情報を広く流す手段をもつ民間団体と協力し、災害の状況に関する広報活動、意識啓発キャンペーンを実施する
8.情報伝達及び警報発信活動
・ 州に警報を発信する部署を組織する
・ 警報システムを構築すること:明確に規定され、計画・実施手段及びその他の関連文書に明文化されること
・ 警報システムについて州の関連部局及び一般大衆に周知すること
B. 緊急時の段階
・ DOCの全緊急対応手段を総動員すること。すなわち救助、技術、避難、初期医療サービス、救命救助、警察、消防、輸送、被害調査等を中央政府と協働して行う
・ 調査結果を評価し、被害報告書と勧告をRDCCを通じてNDCCに提出する
C. 災害発生後の段階
・ 人々の所在等の把握を容易にし、かつ復興のために活用可能な地域資源を見極めるために、災害前のデータと被害報告のデータを照合する
・ 復興のための要件
とられるべき災害復興策の性格と内容を決定し、もし状況がPDCCの能力を超えるものであれば、適当な政府機関や私的機関に協力を求める
火災と自然災害から建築物を保護するための最小限の必要条件や標準設計を示したものである。
法律1040は、災害管理グループ及び健康安全委員会を各雇用のものにおいて組織化し、職場において定期的に訓練を行うことを規定する。
この規則の履行に責務を負うのは、労務省であり、各職場を管轄する州政府と協力するものとする。
本法令は、ビルその他の建造物の管理者や占有者及びその他の当事者が次の事項を遵守することを定めるものである:
a.LGUやその他の関連政府機関による許認可に先立つ消防庁の検査要求
b.危険物、危険作業のための安全手段の採用
c.スプリンクラー、警報装置、防火壁、避難路等の防火装置、警報システムの採用
d.定期的な火災避難訓練の実施
1991年改正の地方自治法は、災害予防、災害準備/軽減プログラムの目的や手段を示したものである。これらの事項は、各州(地方)政府レベルでの災害管理を推し進めるものである。
一般福利の促進を図るため、すべての地方自治体は、効率的かつ効果的な行政運営のために適当又は付帯的な能力と同様、そこから必然的に暗示される与えられた能力を行使しなければならない。
地方自治体は、それぞれの領有する管轄区域内では、文化の保存及び振興、健康と安全性の促進、バランスのとれた環境に対する人々の権利の促進、適切で独立独行した科学的・技術的能力の開発の促進・支援、公衆道徳の向上、経済の発展と社会の公平性の促進、居住者の完全雇用の促進、平和と秩序の維持、住民の快適で便利な生活の保持などを確保・支援しなければならない。
本条は、地方政府に委託されたサービス及び公共事業について規定する。
特に、委託される任務や事業は、(1)病医の予備他の医療サービスを含む健康サービス、(2)帰還兵や避難民に対するプログラム、救助活動、人口開発プログラムを含む社会福利サービス、(3)州民の要求するサービスに応えるため、州の資金により行われる、州道や橋、自治体間の水道施設、排水と下水、洪水調整と灌漑システム、開発プロジェクト、その他類似設備を含むインフラ整備、である。
●第389・391条。Punong Barangay及びSangguniang Barangayの権力と責務、任務
●第444・447条。市長(Municipal Mayor)及びSangguniang Pambayanの権力と責務、任務
●第455・458条。市長(City Mayor)及びSangguniang Panlunsodの権力と責務、任務
●第465・468条。州知事(Provincial Governor)及びSangguniang Panlalawiganの権力と責務、任務
一般に、上記のRA 7160の下では、地方の最高責任者及びSanggunianが次のDM機能及び責任を実行する:
地方最高責任者
1. 災害か緊急事態の発生中及びその後において、非常措置を履行する。
2. 災害又は大災難により住民が被った被害の規模に関する補足的報告書をOPに提出する。
3. 民間防衛体制妨害/暴動を抑えるという法執行機関上の要求。
4. 一般福利を促進し、基本サービスの提供を確保する。
Sanggunian:
1. 自然災害・人工災害の悪影響から住民を保護する手段を採択する
2. 被災者に対し、救助、復旧に関するサービスや支援を提供する。
3. 包括的な土地利用計画を採用する。
4. 特別区域に指定する法令を制定し、調査する。
当予算年度間に生じた災害により、救助、復旧、復興及び他の事業やサービスのための毎年の総額充当分として、一般会計収入の5%が確保される。
しかし、その資金は、地方sanggunianが宣言を行った地方自治体の被災地域にのみ適用される。
●EO 948 s-1984;災害ボランティア労働者に対する補償に有益な許可(注:これはまだ強化されていない)
●EO 137 s-1999によって修正された宣言No.296 s-1988;毎年7月第一週を自然災害意識週間とする(現在は7月のひと月が全国災害意識月間となっている)
●No.42 s-1997によって修正されたPMO No.36 s-1992;大災害により被災した地域に対する救助物資の輸送と装備のための特別な設備の整備。
●1999年2月10日制定のPMO;災害基金のプログラミングと利用方法に関するガイドライン
●1999年8月10日制定のEO 137;毎年7月を全国災害意識月間とし、防災体制プログラムを制度化する
●メモ・オーダーNo.02、s-1999;災難資金の運用に関する政策や手続きの改訂
●メモ・オーダーNo.04、s-1998;被災地域宣言のための政策・手続き及び基準の修正
●メモ・オーダーNo.13、s-1998;被災者に対する財政援助の準備に関する政策・手続きの修正
●その他、諸外国の災害支援移管する政策や手続き、顕著なDCC及び災害heroes、地域社会ベースの救助、evacuation、救援活動やボランティア精神に関する調査における基準及び手続きに関すること
災害管理に関するフィリピンの基本的な法律である1978年公布の大統領令(pd)1566は、国家レベルから村レベルにまでいたる各行政段階の、多部門にわたる災害連絡評議会組織に対し設けられたものである。各関連政府機関や市民機関を連携させるることのできる、この災害連絡評議会を通して、フィリピンの地域社会は災害管理のために必要な資材や能力を結集させることができる。
災害連絡評議会の取り組みは、わが国の全ての災害対策手段を活用させうるものであり、これは軍、警察の任務、公共サービス、また商業目的のものなども即座に災害軽減のための能力へと移行させることができる。また、緊迫・緊急時における一連の共同作業、資材の共有、広報なども可能とする。同時に、この災害管理における共同体制は、専門的な災害管理業務及び災害準備に係る誤りへの注視といった、特別な技術能力に対しても備えるものである。災害連絡評議会は、自然災害、人災、また国、地域、州、市、村といったいかなる規模やレベルにかかわらず対応するべく、確立、組織され、そして訓練される。国立災害連絡評議会、NDCCは、災害管理のための政策作成、及び連絡協調のための国家レベル組織である。公共・一般セクター両面においての災害対応活動や復旧、そして全ての災害準備計画に向けられている。この組織は、災害による被災地であることの宣言を推奨するといったこともふくめて、大統領に対し、自然災害・惨事関連の問題への助言もする。14の大臣、フィリピン軍幕僚のチーフ、フィリピン赤十字の事務総長、及び国防事務局の理事で構成され、国防大臣、または国防長官がNDCC議長、及び国防理事が執行幹部となる。
各州・市・町の行政機関における地域災害連絡評議会は、知事・市長等の選出された長官によって率いられる。これら地方の災害連絡評議会においては、地元機関及び中央政府の地方レベル機関が、選出された上位の地方幹部の指揮のもと、市民や非政府団体と協同していく。災害管理は、このようにしてフィリピン統治の民主主義に深く定着されていく。
災害及び緊急時に関する計画は、1978年の大統領布告1566号のもと制度化された。これは、国防事務局による国立惨事災害準備計画の定式化、及びNDCCによる実行計画及び関係機関による国家計画の認定を求めたものである。この他のDCCネットワークも同様に各自の災害計画をまとめることが期待される。
1991年、災害軽減に向けた持続的な発展とその達成の重要性を認めた政府は、開発局本部のもと中期フィリピン開発として災害管理構成要素を統合させることを開始した。
地方行政レベルにおいて、州・市・町・村はそれぞれの災害管理計画を各地域の開発計画に統合させることが求められる。
災害連絡評議会のメンバーに対する災害管理訓練の一部は、災害管理計画の構成要素でもある。これには地域の危険度マップや資材マップの準備、災害管理計画、DCC運営チームの実行計画、及び年間行動計画といったものがふくまれる。
同様に、国と各地域が影響を受ける可能性がある特定の緊急事態に関する付随計画もまとめられる。
これらの計画は定期的に更新と見直しが図られ、災害や緊急事態の発生の際に活用される。
l 緊急報道システムをふくむ、早期警戒・警報システムの向上
l 特にフィリピン軍及び民間機関との、災害対応に係る効率的なネットワーク
l 被災地に対する適時・適切な対応を促進するための、緊急対応及び被害査定の指揮。
l 演習、特に地震と捜索・救助行動に関する訓練の指揮
l 判断決定のための基本となる情報共有化の促進に向けた、緊急情報システム(EMIS)の開発
l 民間の安全と危険管理策の見直し
l 地域社会における危険の確認と危険度査定
l GIS能力の開発
l ケソン市、Camp Aguinaldoの国立防衛大学内に、フィリピン緊急時管理研究会を設立
l DCCメンバー災害管理訓練のための標準的訓練単位の開発。これは“Responsive, Effective and Relevant Training Modules”の略として、“RERT”と呼ばれる
l AFP、メディア、及びその他重要機関に対する特別な訓練の指揮
l マスメディア、討論会、オリエンテーション、説明会などを通した、民間情報・教育の継続的な指導
l ラジオやテレビの広告や出演者、関連事象のconductやobservanceを通した、公衆の安全性の確保、文化資源の保護、及び環境保全についての広報活動
フィリピンは、災害管理のための資材は多分に自国でまかなってはいるが、一方、海外、特にアジアからの多大な協力という恩恵を受けている。災害の過酷さ、そしてタイプが類似するアジア各国との協調は特に有益で重要なものである。フィリピンにとって、こうした協力は国及び地域の災害管理能力の急速な発達のために役立っている。
以下はフィリピンが体験してきた素晴らしい国際協力のいくつかの例である。
a. フィリピンは、災害軽減組織と能力を教化するため、Luzon川流域の3つの箇所、すなわちAgno、Bicol、Cagayn川流域における洪水予知と警報システムの向上、及びピナツボ火山とMayon山地区でのLahar警報と監視システムの設置等において海外協力の恩恵を受けている。
b. 災害軽減のための技術と訓練の導入のため、フィリピンはわが国の専門家に対し、日本からの防災技術と管理、サイクロン警報対応の向上、地震工学、またタイのアジア防災センター、及びオーストラリアでの災害管理、そして放射線関連の緊急事態といった例に関する国際協力の恩恵を受けている。
c. 災害の軽減に対する意識の向上という面で、フィリピンは次のような国際会議に参加している:1994年のIDNDR世界会議;災害管理に関するASEAN専門家会議;台風委員会の会合。
d. 関連情報の共有という面では、フィリピンは独自の災害情報システムを開発し、関与している;UN・DRAやその他国際災害組織に係る気象衛星画像とデータ情報の共有ネットワーク。
e. 災害救助の受け入れという点では、フィリピンは多くの国、政府から寛容で親切な恩恵を授かっている。この海外援助は多大なものであり、わが国は海外政府及び災害援助・復興に携わる市民団体からの食料、服、薬品、及び機材といった物資の、スムーズで迅速な取り扱いや受け入れのためのガイドラインを開発・活用してきた。大統領の事務局は、導入機関としてこれら寄付を被災地に送り届ける勤めをはたしている。
ここに挙げた実例は影響力のある国際協力の役割を示している。国際協力は、それまでには十分に開発されていなかったとも思われる新たな能力を、わが国にもたらしてくれるものである。また分かち合うことによる恩恵を拡大し、それにより提供者、及びそれを受け取る者の両者にとって得るものがあるといえる。災害軽減における国際協力は現在までのところ広範かつ満足の行くものであり、一方で、この分野においてさらに多岐にわたる領域での向上の可能性があるものと思われる。
フィリピン災害管理体験の視野から、今後の災害軽減のための国際協力にむけ、いくつかの成功が見込まれる分野がある。
a. 崩壊建築物からの救出能力の強化。これは地震の場合に顕著な危険として、フィリピンの災害管理においては優先される分野である。現在、フィリピン機動部隊は崩壊した建築物からの救助のための訓練、及び装備がなされているが、事前の特殊訓練、装備、またより広範で多岐にわたる人命救助活動のために、さらにその能力を強化・拡大することが必要とされている。
b. 国立災害調査・訓練センターの発展をはかる:フィリピンにおける災害の頻度、種類、深刻さといった観点から、政府は災害管理の様々な面における訓練・調査のための特別な技術センターの必要性を認めてきた。このセンターは、フィリピンにおけるこうした分野に特化するとともに、海外の関連センターとの連動も考えられる。
c. 災害管理のための情報技術の結集:目下災害管理のために、地理学的な情報システム、データベース管理システム、その他迅速な分析・表示システムといった広範な種類の情報技術が存在し役立っている。フィリピンの災害管理組織にとって、このような科学技術のハード、ソフト、及びモデルの利用が可能となることが、その防災・災害軽減努力を大きく後押ししていくだろう。
d. 統一性のある対災害能力計画:目下のフィリピン各地域社会における災害リスクの特色に関する知識は、その各地域で発展するべき一連の適切な災害管理能力に組み合わせることができる。これは現行の防災計画を向上させるための基礎として活用することが可能である。このような統一性のある活動は国際協力や特別な支援計画によっても引き受けられ、より適切な危機とその対処法の組み合わせが可能となるだろう。
これらは、フィリピン災害管理機関にとって可能な国際協力のためのいくつかの優先事項である。フィリピン人は災害は必ず起こるものであることを学んできたが、その破壊的な力は適切な計画、迅速な行動、不断の準備によって軽減が可能である。国際協力と支援は、フィリピンのこうした最前線での対応の向上を手助けしてきた。このような協力が今後も継続し、全ての参加者にとって満足の行くものであり、また各国がその助け合いの利を得ることが望まれる。