中華人民共和国 

カントリーレポート

1999

 

 

 


 

目  次

 

序文

T.国際防災の10年における、中国の重要な活動

1.国として包括的災害軽減能力の増強

1.1 中国IDNDR委員会の設立

1.2 環境と発展を調和されるとための“中国21世紀の課題の発表

1.3 “中華人民共和国災害軽減計画(1998−2010)”の公表

1.4 一連の災害軽減法及び関連規則の発令と実施

1.5 災害観測及び早期警告体制の確立と改善

1.6 自然災害に対する中国国立センターの設立

2.包括的自然災害軽減の進展活動

2.1 1998年の洪水に対する水防作戦における良く準備された組織と大衆動員

2.2 1991年の水害の予防と水防の最中における全体利益に対する配慮

2.3 Zhangbei地震における対応及び緊急救助、救援

2.4 Lijiang地震の後、地域の状況に合った方法での家屋の再建設

2.5 慎重な計画による1998年内蒙古の森林火災の消火

2.6 1992年から1995年の間のワタキロバガの幼虫(Bollworm)による害を抑えるのに役立った科学と技術

3.大河を管理するためのいろいろな自然災害軽減プロジェクトについての建設促進

3.1 災害予防能力の向上と地方経済の発展促進―三峡工程

3.2 黄河中流及び下流における洪水防止レベルの向上―Xiaolangdiプロジェクト

3.3 生態と環境保護のためのプロジェクトにおける人間と自然との関係の調和

4.自然災害軽減における科学と技術の検討及び応用の促進

5.自然災害軽減に対する認識を全国的に増やすこと

6.保険の自然災害軽減事業における重要な役割

7.全社会を動員する事災害軽減事業への参加

8.災害軽減における国際協力と国際交流の促進

9.包括的自然災害軽減に対する中国の作戦メカニズムの改善

全般的決定といろいろなレベルでの十分な労働力配分の調整

良く準備された組織と全国規模での大衆動員

科学と技術による指導と予防の強調

災害リスクを除き発展を確保するための有益な方策の推進

U.次の10年における中国災害軽減事業の展望

1.地方農業地域における自然災害軽減の強化

2.産業や都市における自然災害軽減事業の強化

3.主要地区や地域における自然災害軽減事業の強化

4.自然災害軽減における国の包括的発展の強化

5.自然災害軽減事業への科学や技術の応用促進

6.いろいろな方法での自然災害軽減事業への投資拡大

7.自然災害軽減事業での国際協力の促進

V.IDNDRのフォローアップに対する提案と推薦

1.IDNDRの事業をフォローアップする特別部署の設置

2.国際災害軽減のための情報共用計画の作成

3.国際自然災害軽減のための国連基金の設置

4.重大な自然災害を世界的に観測し、早期警告を行う体制の確立

5.自然災害の専門家達が連携し協調するための効果的なメカニズムの確立

 

 


序文

1990年以来、国際社会は自然災害を減らすため、過去十年に渡る絶え間の無い活動を行い、それなりに著しい効果を上げた。しかしながら、自然災害の人間社会に及ぼす影響は、特に発展途上国において重大である。自然災害による経済的損失は増加した。どのようにして自然災害の人類に対する脅威を減らせるか、またより安全な世界を作れるかは、国際社会が挑戦しなければならない緊急の仕事である。

 

過去10年間に、中国は、いくつかの大きな自然災害に苦しめられた。自然災害による年間の直接的経済損失はGNPに対して3%から6%にも及ぶものであり、死者の数は数千人に達した。中国は人口が多い大きな発展途上国であり、耕作できる土地が少なく、経済的に弱小である。自然災害に対する国としての耐久力はまだ強くない。将来の比較的長い期間に亘って、その人口と貧困からの圧力により、自然災害を減らす能力を向上するのに制限を受けるであろう。中国政府は、災害軽減事業を国家経済の発展と社会の進歩という目標達成のためにやらなければならない重要なこととみなしている。政府は、自然災害を減らすことは国家的、社会的経済的発展と社会の進歩に役立ち、経済発展と自然災害軽減との関係を上手に取り扱う必要がある、とも指摘している。政府は、社会・経済的発展を維持し、国の包括的能力を強化し、貧困をなくし、科学と教育により国を発展させ、そして、災害を減少させていく過程において進んだ科学や技術を応用することを奨励することによって、自然災害を減らすための国の能力を、さらに高めることができると強調している。自然災害を減らすことは、環境保全を向上させ、生態環境を改善するものでなければならない。それがまた、発展を持続するという戦略の実現を促進することになる。1992年の環境と発展に関する国際会議の後、中国政府は、環境と発展とを調和させていくための、“中国21世紀の課題”というものを発表しているが、この中で、災害軽減は発展を維持していくための国家政策になくてはならない要素であると明確に述べている。1998年以降、中国政府は更に、災害軽減を洪水調節や干ばつ緩和のために行うための一連の包括的綱領を制定してきた。これらの綱領が農地や森林植物そして水資源をしっかりと保存している;これらは、包括的計画や総合的配慮そして包括的な準備などと密接に関連している;いろいろな徴候や原因に同時に対処している;これにより、有益なものが取り上げられ、有害なものが取り除かれる;また、より多くの資源を見つけ、経費が減らすことができる。これらの綱領の中で強調されているのは大河に悩まされないようにする能力を強化することである。

 

災害軽減の成果は、災害軽減事業は社会・経済的発展を確実にするための重要な役目を持っていることを示したことである。災害を減らす仕事におけるいろいろな問題に対処するために、我々は、自然災害軽減と人口、資源、環境との関係をさらに上手に扱わなければならない;また、社会・経済的発展における災害軽減の役割をさらに向上させなければならない;そして、災害による人命や経済的損失をさらに減らさなければならない。

 

IDNDRの活動は、自然災害の脅威に直面して人類がとる協調行動であり、世界的に災害削減事業を促進し、国際交流や国際協力をも促進するのに、勇気づけられるような進歩を示した。災害削減事業における我々の成果は、中国人民の他人を当てにしない粘り強い努力の結果であるだけでなく、IDNDRが達成した成果の重要な要素にもなっている。

 

将来、各国は災害軽減事業を発展させるためのその国としての努力を続けるべきだが、同時に、各国間や各地域間の情報交換及び協力活動を更に強化していく必要がある。先進国及び国際機関は、災害軽減のための援助や技術移転を進めるため、また、発展途上国が自然災害による損失を減らすための能力を蓄積していくため、必要な支援を発展途上国に提供する能力を有するとともに、それを提供する義務がある。我々は、今後とも更に国際連合や国際社会と協力し、IDNDRのフォローアップ活動を支援していかなければならない。国連が、災害軽減事業を世界規模で組織しそれを調整していく上で、もっと大きな役割を果たしてくれるよう期待している。

 


T.国際防災の10年における、中国の重要な活動

 

1.国として包括的災害軽減能力の増強

 

1.1 中国IDNDR委員会の設立

1989年4月、中国政府は、国連の呼びかけに積極的に応じ、『中国IDNDR委員会(CNCIDNDR)』を設立した。委員会には、各省庁、様々な委員会や局、軍や様々なNGOを含めて、28の代表機関で構成された。CNCIDNDRは、議会(State Council)の高官が管轄する政府内部の調整機関であり、国の災害軽減計画を立案し、災害軽減のための全般的政策及び特定の政策を打ちだし、災害軽減活動を実施するために関連部門やNGOとの間を調整し、地方政府の災害軽減の仕事を監督するものである。

 

1.2 環境と発展を調和されるとための“中国21世紀の課題の発表

1994年3月、中国政府は、災害軽減が発展を持続させるために重要であることを明記した「中国21世紀の課題」を発行した。すなわち、災害を減らすことが、中国における発展持続を保証する一つの基本的な条件であり、人々の生活水準を改善するための重要な保障でもあり、また、合理的な資源開発を行えば環境保全をも喚起する、としている。このように、「中国21世紀の課題」には、災害軽減と生態系及び環境保全との関係が明記されている。

 

1.3 “中華人民共和国災害軽減計画(19982010)”の公表

1998年4月、中国政府は、中華人民共和国災害軽減計画(1998−2010)(NDRP)を発行した。NDRPは、災害軽減事業におけるこれまでの経験を考慮して、「第9回経済及び社会発展5ヵ年計画、及び2010年への目標概要」で決められている一般事業及び政策に基づいて発表された国家レベルの最初のものである。この計画の発表は、UNDPから多大な支持と支援を受けた。

 

このNDRPには、中国の災害軽減のための指針的政策が下記のように明記されている。

1)国家経済と社会発展に役立てること。

2)災害予防を優先し、それを防災や救援努力に結びつけることを忘れないこと。

3)災害軽減事業の中で特に大事な問題に焦点を合わせること。

4)全般的な状況を考慮して、全ての重要問題に上手に対処すること。

5)災害軽減における科学や技術そして教育の果たす役割を十分に発揮させること。

6)災害軽減事業を協働で行われるよう、中央政府、地方政府、また、全ての業界や専門家が率先して提案を出すのを奨励すること。

7)災害軽減に関する国際的交流や協力を強化すること。

 

災害軽減のための主要な目標は下記の通りである。

1)国の社会的経済的発展にとって非常に重要なプロジェクトをいくつか作ること。

2)災害軽減事業に、科学的また技術的成果を応用することを一般化すること。

3)災害軽減についての知識や認識を一般大衆にもっと広めること。

4)災害軽減事業を行うための包括的メカニズムを確立すること。

5)自然災害による直接的損害を確実に減らし、自然災害の国家経済や社会に与える影響を軽減すること。

また、NDRPは災害軽減事業において、様々な仕事や対策、及び重要な活動を推進している。NDRPが発令された後、それは国中に適用された。一部の政府部門や行政区では、関連する災害軽減計画やその実施詳細を精力的に立案し発令している。

 

1.4 一連の災害軽減法及び関連規則の発令と実施

法律による統治、という方針に従って、中国は、災害に関する一連の法律と規則を発令し、施行してきた。災害軽減事業は、このように法律や規則によって管理運営されている。1980年代以来、災害軽減に関する30の法律や規則が作られた。1990年代には、次のような法律が施行された。

“中華人民共和国の水と土を保存するための法律”

“中華人民共和国の地震予防と災害軽減についての法律”

“中華人民共和国の火災予防と管理についての法律”

“中華人民共和国の水害予防についての法律”

などである。

前例のない大洪水があった1998年には、この“中華人民共和国の水害予防についての法律”に従って、Jiangxi、Hunan、Hubei、Jiangsu、Anhuiの各省と、Heilongjiang省のHarbin市、Qiqihaer市、Daqin市が順番に、危険な洪水予防シーズンに入っている、と公表した。この法律に準拠して、様々なレベルの洪水予防本部が、水防に必要な物資や通信資機材を整備した。Jiujiang堤防での救援作業の間は、この法律に従って、自動車や船、そしてその他様々な資機材が緊急配置され、水防や救援作業が速やかにまた効果的に実施された。

 

1.5 災害観測及び早期警告体制の確立と改善

長年にわたり、中国は、災害観測及び早期警告体制を徐々に確立し継続的に改良してきた。中国は、通常採用している観測手段に加えて、衛星による遠隔感知や数学的物理的方式、それに近代的通信技術といった先進技術を広く災害観測や早期警告のために使ってきた。気象観測及び予知、循環水観測、地震観測や地震の前兆観察体制、農作物や森林の疾病及び昆虫の害毒を早期に警告する体制、海の環境あるいは災害の観測、森や草原火災の観測、地質災害調査やその災害報知体制などに関する全国規模のネットワークが作られている。また、電話やラジオ、テレビを使った災害早期警告情報のための放送ネットワークが準備的に設立され、政府の役人が、災害防止と救援作業を的確に組織できるようにしてある。

 

1.6 自然災害に対する中国国立センターの設立

災害軽減のための包括的情報体制を構築するのを強化し、災害軽減のための情報や技術の共有を更に推進するため、中国政府は、自然災害に対する中国国立センターの設立を許可した。このセンターは、国の議会や省庁、様々な委員会に役立つ災害情報体制;中央政府を省や地方自冶体に結びつける情報体制;衛星による遠隔感知体制;災害情報の包括的取り扱い及び表示体制;災害査定体制;災害軽減政策を作成し判断を示すサービス体制、そして災害緊急救助情報体制、などを備えたものになる。

このセンターは、関連省庁、委員会、研究機関、社会団体の災害軽減情報や成果を十分に利用し包括的災害軽減情報サービスと、判断をするための意見を政府に提供することになるであろう。

 

 

2.包括的自然災害軽減の進展活動

2.1 1998年の洪水に対する水防作戦における良く準備された組織と大衆動員

1998年、歴史上まれに見る過酷な洪水がYangtze河とNenjiang河そしてSonghuajiang河の流域に発生した。1998年春、関連する自然災害管理局が、Yangtze河渓谷の流域にその夏大きな洪水が起こる恐れがあると予告していた。そこで、中央政府及び地方政府は、洪水防止のためのいろいろな準備を行った。大河の洪水に対処するための計画修正を組織的に行い、洪水防止のためのいろいろな事前準備を行った。洪水の発生前に投資を増やし、水防チームを結成し、堤防を強化したり高くしたりし、洪水防止や洪水に対抗するための資材を貯えた。

洪水の期間中は、国が中心的リーダーシップを取って、直接水防と救助作業を行った。数十万人の人民軍(PLA)兵士と武装した警官が8百万人の市民と一緒に水防の前線に立ち、救援作業を行い、これらの人々が、Yangtz河とSonghuajiang河の主要な堤防に沿った9千と6千のそれぞれの危険地点において、主要な堤防と重要都市の安全、及び通信網の安全を確保し、産業や鉱山そして多くの人命と財産を守った。

 

数ヶ月に及ぶ水防作戦の間、いろいろな政府機関が全てのレベルにおいて厳格な執行リーダーの責任体制をとり、いろいろなレベルで担当する労働部門との調整を行った。水資源局及び気象局は、タイミング良く降雨量と水位のデータ、及び予告と警告を出し、洪水対処計画を発表した。情報産業局は、災害情報が円滑に伝達されるようにした。内務局(civil affaires)や財務局は、洪水に遭った人々の食料や衣類そして避難所を適切に配置するために、資金や資材を災害援助用に配分した。会計監査局は、援助資金や資材が完全に災害地域で使われているかどうかを確認するための監督を強化した。農業局は、農家が農産物の生産を増やすよう、また作物の観測や作柄予想そして作物の疾病や害毒、動物や家禽類の伝染病の治療といったものを補強するように活発に計画準備を行った。土地資源局は、洪水期間中の地理的災害防止のための観測を強化した。公衆保健局は、中央及び地方レベルから医療チームを派遣し、洪水地域の伝染病予防を行った。国家経済産業委員会(State Economy and Trade Commission)は、救援物資を生産し配送するように関連部局を組織化し、調整を行い、食料やテントそして電気の供給を保証し、洪水に遭遇した地域での安全な生産を確保すると同時に企業が生産を回復するための電力供給を増やした。交通、公衆の安全、監督を担当する部署は、水防人員や援助物資の円滑な配送を保証した。また、これらの部署は、いろいろな違法行為や秩序を乱す行為の監督検査を強化し、本気でそれに対処し、水防や救援作業で罪を犯した犯人は厳しく罰せられた。

科学技術局は、科学や技術を応用して救援活動を行った。計画、水源、建設を担当する部署は、水資源保護のためのインフラストラクチャーの建設や災害後の再移住のための投資を大幅に増やした。全国の国民がこの水防、救援作戦に高い関心を持ち、大規模な寄付活動が行われた。中央政府の指揮のもとで、全国の国民が「意志と強さを併せ持ち、勇気と粘りを持って、くじけずに勝利を獲得する」気概を示し、この洪水に打ち勝つという成果をあげた。

 

2.2 1991年の水害の予防と水防の最中における全体利益に対する配慮

1991年の5月の終わりから7月の半ばにかけて、Hual河渓谷とTai湖及びYangtze河の中流と下流が過酷な洪水の被害を受けた。政府の様々なレベルで多額の資金や資材が集められ、その地方の人々と駐屯していた軍隊とで水防作戦を行った。6月、主流の洪水水位が上がり、大都会や産業と農産物生産の基地及び主要な鉄道に危険が及んだ時、洪水管理ならびに旱魃援助のための国家本部は、洪水に対する事前の計画に従って、全体の利益のために地方の利益を部分的に犠牲にするという決断を行った。6月、溢れた水をFuyangの南Mengwa地域と、Qiujia湖そしてYingshang郡のMiaotaijiとLiulitaiに放流した。TaihuのTaipu水門が洪水のピークを弱めるために開けられた。7月、水位を下げるためにTai湖とQiansen湖のHongqitang堤防とShanghai市のWangyuhekouの堤防を開けることが決められた。その地方の政府や住人は、全体の利益をより大切と考え、いろいろな規模の損害に遭遇しているにもかかわらず、速やかに決断を実行した。洪水の分水路や貯水地域を合理的に管理して使用したことにより、Huai河の洪水ピーク時の流量の60%−90%が減少し、Huai河渓谷の大中小合わせて5,300の貯水池の堤防が決壊しないですみ、大中小500の水門が損傷を受けずにすんだ。4,000キロメートルに及ぶ全渓谷の主要な堤防に決壊箇所は生じなかった。洪水貯水地域の80万人の人々全員が、計画されていた方法で避難し、安全な地域に移った。この洪水分水や洪水貯水のために溺れた者は皆無であった。この洪水は初めから終わりまで、事前の計画に従って管理された。災害が終った後、中国政府は、Huai河とTai湖の包括的浚渫プロジェクトを開始し、将来の洪水調節のための強固な基盤とした。

 

2.3 Zhangbei地震における対応及び緊急救助、救援

1998年1月10日11時50分、Heibei省のZhangbei郡とShangyi郡の境界地域に地震(M6.2)が発生し、4つの郡が影響を受けた。136,000軒の家屋が崩壊し、49人が死亡し、11,479人が負傷した。数万の人が家を失った。多くの生活や生産のための施設が壊滅的損害を受けた。地震の発生から5分以内に、中国地震局(CSB)の緊急事態対応、地震分析及び予知を担当する主要メンバーが部署についた。震源地は地震発生から20分以内に見つけられた。2時間半後に、余震はBeijing(北京)に大きな影響を与えないであろうと、CBSが発表した。地震から20分後に、各地方政府及び各災害軽減部署は、直ちに地震に対する事前の緊急対応策を実行に移し、活動態勢に入った。数百の要員が6つのグループに分けられ、救助や救援作業を行い、被災者用に新しい住居を定め、地震災害防止や地震対抗手段に関する知識を広めるために、災害地域に急遽派遣された。地震の日の午後、Heibei省政府は、いくつかの作業及び医療チームを災害地域に派遣した。

2,000人のPLA職員が災害のひどい地域に急行し、救助作業を行った。数十の報道機関が、防災や、救援作業をタイミング良く報道するために報道員を災害地域に派遣した。その日の18時に最初の冬物衣類が、被災者の所へ送られた。1月11日の12時前に、Beijing、Zhangjiakou、Langfangからの救援物資が続々災害地に到着した。1月14日には、全ての被災者に冬物衣類、食料、臨時の凍結防止避難所、そして医療サービスが与えられた。1月15日から、約3,000人のPLA職員や兵士が急遽派遣され,4,000人以上の被災者が冬のための家屋を建てるのを援助し、作業は2月には完了した。的確な対応と、効果的な対策のため、零下20‐30℃の中でも凍死者や餓死者は出なかった。

 

2.4 Lijiang地震の後、地域の状況に合った方法での家屋の再建設

1996年2月3日19時14分、Yunnan省のLijiang地域内にM7.0の強い地震が発生し、9つの郡と92の町と村が影響を受けた。17万所帯、100万人の人々が犠牲者となり、32万人の人々が家を失い、309人が死亡し、1万7千人が負傷した。中央政府は、地震が発生してから24時間以内に慰問団を送り、被災地に素早く救援資金と資材を割り当てた。災害地域の住民は落ち着いており、社会的秩序は守られていた、そして、いくつかの種族の人々が、整然とした素晴らしい自立的な救援活動を開始してくれた。2月18日までに、6万個の避難所が作られ,3千個のテントが建てられた。全ての犠牲者が順調に新しい住居に落ち着いた。3月5日までには、災害を受けた地域の全ての学校が遅れずに再開された。復興の際、地方政府は、再建はその地方の財政的また物質的資源や習慣に合った方法で行わなければならない、また、その地方の資材を使わなければいけない、と主張した。地方当局は、この再建は貧困救済プログラム及び地方経済や観光産業の発展と結びつけて行わなければならないし、人々の生活と密接に関連している復興プロジェクトやインフラ整備を優先すべきである、と認識していた。国際社会からの援助を得て、従来型のスタイルや特徴に従ったものだけでなく、耐震性や将来の発展をも考慮した様々な建物が建設された。1997年、1年を越える大変困難な仕事によって、Lijiang市は美しく復興され、UNESCOはこの町を世界遺産に指定した。

 

2.5 慎重な計画による1998年内蒙古の森林火災の消火

1998年5月13日13時50分、雷が原因の途方もなく大規模な森林火災が、内蒙古に発生した。火災は12,000ヘクタールを覆い、そのうち6,750ヘクタールは樹木におおわれていた。悪天候と入り組んだ地形、及び燃焼物が多過ぎたため、火は急速に広まってしまった。有効な対策がなければ、もっと重大な災害になったと思われる。関連部署は緊急に行動を起こした。飛行機による巡航や地上調査巡回そして衛星観察による包括的監視体制によって、火災状況を遅れずに掴み、判断のための科学的根拠を得るために正確に火災を監視し追跡した。国家森林局の関係指導者達は、慎重にまた周到に前線に消防配置を行い、他の地方から森林警察部隊を遅延なく派遣し、多くの消風機や水消火装置が割り当てられた。内蒙古自冶地方の指導者達も活発に消火作業に当たる部隊を編成した。12機のヘリコプター、3機の人口降雨用航空機そして4機の巡航機から構成された空中散布と人工降雨による消火部隊が、2,700人の森林警察官、300人の軍関係者及び3,500人の消防隊員と森林労働者で構成された地上消火部隊と密接に連携して、この森林火災を9日間の不屈の奮闘の後、5月22日に完全に消しとめ、災害が更にひどくなるのを防いだ。

 

2.6 1992年から1995年の間のワタキロバガの幼虫(Bollworm)による害を抑えるのに役立った科学と技術

 

1992年と1996年の間に、ワタキロバガの幼虫(bollworm)による害が中国北部の綿の生産地域に発生し、1,200万ヘクタール分のピーナツ、とうもろこし(maize)、麦や豆類といったような穀物が影響を受け、程度は異なるが野菜もまた影響を受けた。いろいろな穀物の損害は100億元を超えた。農業の専門家の指導のもとで、農家は、物理的、生物学的そして化学的方法を組み合わせた予防策を採用し、効果的にワタキロバガの幼虫(bollworm)による被害を抑えた。1992年から1995年にかけて、合計50億kgの綿が危険を免れた。

 

3.大河を管理するためのいろいろな自然災害軽減プロジェクトについての建設促進

 

3.1 災害予防能力の向上と地方経済の発展促進―三峡工程

 

Yangtze河(揚子江)の中流及び下流に沿った地域は、中国の比較的開発された地域であり、また、洪水災害に襲われる最悪地域の一つでもある。以前の堤防は、10年から20年に一回の通常の洪水を防ぐことができるだけだった。したがって、洪水災害は、この地域で人々の生命と財産を多いに脅かしてきた。Yangtze河の中流及び下流において、洪水災害を予防し管理することは、中国の災害軽減事業において最も重要である。 1994年、中国政府は、Yangtze河の三峡工程(Great Three-Gorge Project)を開始することを決定した。この工程が完成した後は、Yangtze河Jinjiang地区の洪水予防規準は変わり、100年に一度の洪水に対抗することができるようになり、下流の破壊的災害の発生を防ぐことができるようになる。同時に,この工程によって、発電量は年間847億キロワット時増え、YichangからChongqingへの輸送条件が基本的に改善され、Yangtz河流域の経済発展を大いに促進することになる。

 

3.2 黄河中流及び下流における洪水防止レベルの向上―Xiaolangdiプロジェクト

 

黄河のシルトは厳しくなる一方であり、いっぱいになった河の流れを放流する能力が非常に低下している。更に、この地域における急速な経済発展や人口の常時増加そして多くの産業や鉱山企業の増加によって、中流から下流にかけての大きな洪水災害の可能性が増大している。中国政府は、洪水の脅威が黄河の下流で減るように、Xiaolangdiに洪水を食い止め貯水するための大きなキー・ウオーター・コントロールプロジェクトを建設することを決定した。世界銀行から借款により、18億USドルが、貯水容量125.6億立方メートルの貯水池を建設するために投資されている。このXiaolangdi貯水池の主な役目は、洪水を防ぎ、アイスラン(ice run)やスリット(slit)の脅威を減らすだけでなく、灌漑や合計設置能力1,800万KWの発電用の水を供給することである。このプロジェクトの建設過程において、洪水災害を抑制するためのプロジェクト建設に関する世界の経験が常に利用され、また、先進技術が採用されるので、世界全体の経済的利益や技術レベルの向上につながる。

この河を交差させるプロジェクトは1997年に完成し、建設は現在行われている。

 

3.3 生態と環境保護のためのプロジェクトにおける人間と自然との関係の調和

 

重大な洪水災害を引き起こす原因を慎重に分析した後、中国政府は次のような対応策を採用した。

山岳地帯での狩猟と放牧を禁止したり、農地を森林に戻すことによって再植林を改善すること。

生態環境を改良するために水資源や土壌資源の保護を強化すること。

Yangtze河と黄河の中流と下流の自然林を完全に保護すること。

洪水を逃がすために一部の堤防を確実に除去し、湖を埋め立てて作った農地を元の状態に戻すこと。洪水を逃がしたり貯水したりする能力は、洪水放水に影響を与えるので、その地域の住民によって作られた砂州を除去することによって回復される。

河や湖を抑えられるように重点的に堤防を高くしたり固めたりすること。包括的な対応策を実施することで、これらの堤防が1949年以来の最大の洪水にも対抗できるようにすること。

主要な河川や湖の管理プロジェクトの建設を早め、貯水池の危険を絶滅する仕事をできるだけ早く完了すること。

川筋の水流の管理や河や湖の下流の堤防決壊の抑えを強化すること。

洪水用貯水地域の安全確保のための建設を早め、被災者達がその製作に従事して自立できるようにすること。

洪水用貯水地域や放水地域の住人が、その地方の状況に合った安全地域を建設することによって、水から隔離された台地を作り、移住して新しいまちをつくるために、適切な準備をすること。

これらの方法によって、洪水用貯水地域の住民は支障なく再定住するようになる。

これらの対応策を取る目的は、常に悪化している洪水や旱魃災害の状況を効果的に管理し、災害軽減を生態環境の構築や社会的経済的発展と結びつけるためである。1998年に、中国は、“生態及び環境構築のための国家計画”を制定し、103のモデル生態環境プロジェクトの建設を全国で開始した。我々はいろいろな方法で投資を増やし、包括的管理を強化してきた、また、人と自然と関係を徐々に調和する努力をしてきた。

 

4.自然災害軽減における科学と技術の検討及び応用の促進

中国政府は、自然災害を軽減するためには科学と技術が重要であることを良く認識している。中国政府は、災害防止のための技術を開発するための100を超える科学及び技術研究機関の能力を高めると共に、災害の恐れが充満し発生するまでのメカニズム、災害観察と早期警告、災害防止と対抗技術そして包括的災害軽減戦略というような分野での多くのプロジェクトを実行してきた。

これらの研究は気象及び地震災害が形成され発達する法則を十分に理解するのに大変役立ってきた。中国政府は、災害監視、地震対抗、防風防火、水資源保護事業の構築と復旧、砂漠化に対する総合的予防と取り扱い、害虫や昆虫に対する総合的予防、危険な地質に対する予防、そして災害の影響査定といった分野において著しい進歩を示してきた。これらの技術は、災害軽減や災害予防に広く利用され、災害の影響を減らす能力を大いに高め、大きな成果をもたらした。地震監視や予知の分野においては、我々はデジタル地震観測技術において飛躍的に進歩し、デジタル地震前兆観察技術においても進歩した。我々は、中期及び長期の地震予知能力を大いに改善し、中期予知の正確度は、25%から約35%に上昇した。我々は、Yunnan省に発生したMengliang地震(M7.3)とYunnan省に連続して発生したJiashi地震(M6.0‐6.6)とXianjiang及びNinlang地震(M6.2)の予知に成功した。気象災害軽減の分野では、地域的大雨の24時間予告と48時間予告の正確度を10‐15%上げるというめざましい改善を行い、台風の予告に必要な時間を2−3日短縮し、dimatrogical災害の予想を短縮するのに進歩を示した。遠隔感知、GIS、GPSそして通信網というような高度の技術が災害の影響を素早く査定するのに広く応用され、緊急事態の管理にきわめて重要な役割を果たした。例えば、遠隔感知即時伝達技術を使って、1996年の南部地方の洪水と浸水、1998年のYangtze河における流域全体の氾濫状況を素早く査定し、影響を受けた地域や浸水の激しさ、そしてその進展傾向を掴んだ。それは、政府が水防や救援に有効で実行可能な対策を作成するのを助け、1998年の大洪水による損害を大いに減らした。包括的災害軽減の分野では、全ての種類の自然災害の間の関係や災害と経済との関係を研究し、これに基づいて自然災害予防と軽減に対する包括的戦略が作成され、政府に自然災害軽減のための科学的基盤を提供した。

 

5.自然災害軽減に対する認識を全国的に増やすこと

 

中国は刊行物や報道機関そして広告を積極的に使って、災害軽減に対する意識啓発を図ってきた。過去10年、300種を超える災害軽減についての本が出版され、20を超える新聞、定期刊行物、雑誌が発行され、 国連の国際防災の10年事務局が編集した“Stop Disasterや様々な資料が中国語に翻訳された。中国政府の災害軽減についての綱領や政策及び主要な活動については、決定事項や予定と併せて広く宣伝されている。

災害軽減についての科学的研究の最近の成果が出版され、災害軽減についての情報交換を行い、災害軽減についての知識を広めてきた。

我々はTV放送、新聞、定期刊行物といったマルチメディアを利用して、すでに起こってしまった災難や災害軽減のための適切な活動を、視聴者受けする形でタイミング良く報道し、災害軽減についての知識を教えるコースや特別プログラムを提供している。慈善ショー、中学生用の夏季科学キャンプ、災害軽減に関する知識を競う競技が全国的に繰り広げられた。国際防災の日の趣旨に従って、自然災害を広範囲に周知するための様々な催しを行い、毎年一度、災害軽減を更に一層知ってもらう機会としている。

 

教育局は中学校や小学校のカリキュラムに災害軽減に関する新しい内容を追加し、十代の若者が災害を引き起こす原因や宇宙の法則、そして、災害が発生する場合の予防策について理解できるようにしている。高等教育の学校では、どのレベルでも災害軽減についての教育を行い、このような教育が災害軽減に結びつき、災害軽減のための多くの中堅的人材を育成した。地方政府の全ての階層や専門部署がその特殊な環境や状況に応じていろいろなレベルの災害軽減のためのトレーニングコースを設けてきた。たとえは、Hubei省のChangyang郡では、過去数年に7期に亘り、地質学的災害予防についてのトレーニングコースを開催し、150人を超える人々が参加した。また、その科学的普及の宣伝に120を超える催しを行い、1万8千人の人達を教育した。我々はまた、UNDP、関係国及び国際機関と協力し、災害軽減についての一連のトレーニングコースを開催してきた、例えば、1993年から1999年にかけて、災害の取り扱いに関するいろいろなトレーニングコースが、Beijing、Anhui省のHefei、Yunnan省のJinhong、Hunan省のChangshaそしてShandong省のJinanで連続的に開催され、全ての階級の幹部達の災害管理レベルを向上させた。

 

6.保険の自然災害軽減事業における重要な役割

 

自然災害保険がこの所一層注目されるようになってきた。過去10年間に、いろいろな方式の保険の開始されたり準備的操業を始めたことにより、わが国に影響を与えた重大な自然災害によって引き起こされた財産の損害に対し補償がなされ、災難直後の生産の回復や住宅復興を保証する役割を果たし、有益な経験が得られた。1998年以来、130億元にのぼる補償が保証者から被保険者である洪水の被害を受けた企業や家族に支払われた。同じ年、中国は保険機関に対する大きな調整を行い、特別保険機関監視機関と国立再保険会社をそれぞれ設立し、災害軽減における保険の役割を向上させた。

 

7.全社会を動員する事災害軽減事業への参加

 

中国赤十字は、災害軽減の知識を広めたり、災害のための事前準備を改善したり、国内及び国外両者からの人道的援助を用意したり、災害後の伝染病を予防したり治したりする分野において、多くの業績を上げた。また、資器材の備蓄、施設の処分、資材の配達、要員の訓練、地区の援助及び医療の仕事に対する支援のため、多目的の地区災害準備センターを設立した。危険にさらされて助け必要としている人々を助けるという行動規準によって、中国慈善同盟(China Charity Federation)は、様々な寄付活動を通じて、被災者を救うための多額の災害支援基金や物品を募ってきた。自然災害救援中国協会(China Association for Natural Disaster Relief)は、特に救援用寄付、災害軽減のための訓練コース及び復旧・復興の仕事に注力してきた。中国科学技術協会(China Associaton for Science and Technology)は、多くの科学及び技術要員を、動員し、災害軽減における判断について相談サービスを行った。;彼らは、包括的学問的意見交換をし、災害軽減に関して重要な科学的調査を行い、関連部署とそれを習得している様々な支部との間の接触や協力を促進し、災害軽減や科学と技術を広めたり宣伝したりしてきた。中国災害準備協会(China Association for Disaster Preparedness)は、災害軽減を宣伝し、その他の分野でも多くの優れた仕事をしてきた。非政府組織(non-government organization)の災害軽減の仕事への参加がどんどん増加して、だんだんと重要な役目を果たしている。

 

8.災害軽減における国際協力と国際交流の促進

 

我々は、国際的災害軽減に関連するいろいろな活動に活発に従事し、災害軽減における国際交流や国際協力を重視してきた。間に、中国は国際災害軽減に関する1,200人を超える参加者があった50を超える様々な会議のスポンサーになったり、あるいはそれらに参加したりしてきた。中国政府は、災害軽減についての一連の国際会議やトレーニング活動を組織し開催してきた。1992年、中国は「国際災害軽減の知識を競う競技会」というのを開催し、これは様々な言語でラジオやTVを通じて放送された。1993年6月と1997年6月に、中国政府とUNDPは共同で2つの「災害軽減管理についての国際ワークショップ」を開催した。1996年、「第三回発展途上国の地震学トレーニングコースと地震学研究」を実施し、1997年11月には、アメリカ合衆国と共同で、「自然災害緩和についての中国/USAセミナー」を開催した。我々はまた、関係国や関連地域と災害軽減に関する研究や工学的計画を発展させるために協力してきた。1998年2月、Sichuan省のZigongがRADIUSのケーススタディプログラムになっている9都市の一つとして、IDNDRの事務局(Secretariat)に選ばれた。1998年に国連が1人の中国人高級官僚と1人の中国人科学者に”Sasakawa賞“を与えた事実が、中国の災害軽減における成果を国際社会が完全に認めていることを示し、国際社会からの広範囲な支持と大きな援助を獲得することにつながった。1991年には、JingsuとAnhui省が大きな洪水の被害を受けたが、4千万USドルに相当する外国援助が得られた。

それ以来、中国が厳しい災害の被害を受けると、多くの親しい国々や組織、そして多くの個人が寛大な援助を中国に申し出てくれるようになった。我々は我々のできる範囲できびしい災害に苦しむ国々や区域に援助を与えてきた。

 

9.包括的自然災害軽減に対する中国の作戦メカニズムの改善

 

わが国の災害軽減に関する主な活動は、「全般的決定を行い、いろいろなレベルで十分な労働力配分を調整し、良く準備された組織と全国規模での大衆動員、科学と技術による指導と災害予防の強調、災害リスクを除き発展を確実にする有益な方策の推進」といった指導原則によって災害軽減を行う作戦メカニズムを含んでいる。

主な要点は下記の通りである。

 

全般的決定といろいろなレベルでの十分な労働力配分の調整

 

●中央の全般的決定に従って実行すること

●地方政府の指導者達は、全責任を負い、いろいろなレベルでの人員体制に全責任を持ち、また、より高いレベルでの政府の指示あるいは命令組織からの決定に厳格に従わなければならない

●はっきりとした労働力の配分と調整のメカニズムがあり、政府は前線で災害と戦うためのいろいろな種類の必要事項を優先的に準備し、地方政府と大衆は、全体状況のために、意識して重要な災害軽減における統一の取れた調整を行えるように努めること

 

良く準備された組織と全国規模での大衆動員

 

重大な災害が発生した場合には、管理体制は速やかに、また秩序正しく緊急事態に対処できるようにならなければならず、災害との闘いに直接あたる各部隊は、強力に恩賞制度を適用し、災害に立ち向かう隊形を自らうまく編成しなければならず、政府の通信網、専門部署そして報道機関は素早く大量の災害情報を、災害軽減及び大衆動員の決定を下すために提供しなければならない。中央政府の指導者達はそれぞれ自ら災害に立ち向かう活動の命令指揮を取らなければならない。武装仕官や兵士達は、災害と闘う活動では一番重要な役割を果たし、あらゆる階級の人が災害に立ち向かう活動にいろいろな形で参加すべきである。

 

科学と技術による指導と予防の強調

 

我々は、科学と技術を災害軽減に使うようにすることが大変重要と考え、予防が主要な対策であるという原則を追及し、予防を対抗と救援に結びつけ、全ての種類の災害を観察し、予測し,査定する体制を設け、これらの体制の近代化レベルを継続して上げてきた。また、災害軽減のための多くの工学的プロジェクトを科学的方法で構築し、その質を守るための体制を強化してきた。

 

災害リスクを除き発展を確保するための有益な方策の推進

 

災害軽減のための工学的研究は、災害リスクを取り除くという目標を実現しながら、できるだけ経済建設を推進し、国家経済と社会の持続的、安定的、健全な発展を確保できるものでなければならない。

精力的な政府のリーダーシップと、全国中で広く参加することがこの作戦メカニズムの核心となっている;その方法は進んだ科学と技術を利用し、予防を強調し、予防を抵抗と援助に結びつけることである;この目的は災害リスクを取り除き、有益なものを推進して、国の経済や社会の持続的発展を確実にすることである。このメカニズムは、中国の災害軽減のための国際10年において大きな役割を果たした。

 


U.次の10年における中国災害軽減事業の展望

 

現在中国は、経済及び社会の全ての面で発展途上にあり、災害軽減は、国の経済と社会の発展を保証するための重要な方策である。21世紀においても、中国は、なお様々な種類の脅威に直面する。特に、社会と経済が発展し、社会的富の蓄積ができるので、災害によって引き起こされる経済的損害は更に増え、自然災害が社会に与える影響がもっと目立つようになる。

中国は大きな農業国であり、農業が国の経済の基盤を構成し、80%の人口が田舎に住んでいる;田舎における農業と災害軽減事業は、その住民とその社会の安定に大きな関係がある。中国の産業は盛んであり、都市化の傾向は更にもっとはっきりしてきた、そして、都市にかかる災害の脅威は増え続け重大である。見方をそれぞれの地方によって分けて見ると、中国の東部は比較的に発展した経済があり、人口も多い。中西部では、社会的経済的発展が加速されて、多くのエネルギー基地が徐々に開発され、災害軽減はこの地方の特徴にもなってきた。いろいろ異なった地域の災害の特殊性に従って、災害を防ぐ仕事と災害軽減は重要なポイントを強調した状態で実行されなければならない。更に、過去50年間の努力によって、また、改革と外側世界への開放以来、中国の科学、技術そして教育のレベルは大きく進歩した、災害軽減のための科学と技術は徐々に熟してきており、大衆の災害軽減についての認識は国中で引き続き向上している。このように、社会的災害軽減や科学的技術的研究の成果を出すためのしっかりした基盤が敷かれている。将来、災害軽減事業は「中華人民共和国の自然災害軽減計画」の実行を中心にして行われ、災害軽減についての自由意志でのプロジェクトも徐々にまた計画的に実行され、田園部及び都市部の建設を早めることになるであろう。引き続きしかも早く健全な経済の発展を推進しながら、生態的環境の悪化を抑え、災害による損害をはっきり減らすことになるであろう。

我々は、次のような方策を取る。

 

1.地方農業地域における自然災害軽減の強化

 

大きな河と湖を制御するのを強化すること

灌漑と水の保存に焦点を合わせて農業基盤の建設を行い、水を節約する乾地農業と、主な含有物である土壌水分保存の技術を積極的に広め、災害を防ぐ能力を上げ、旱魃を緩和し、浸水をなくすこと

水と土壌の保存及び生態環境改善に焦点を合わせ、北部Shaanxi、Yangtze河の中流及び上流、及び海岸線における保護林、Taihang山の植林の建設、砂地の防止と抑制といったプロジェクトを実行すること

生物による災害、砂塵嵐の災害、家畜の流行病と同時に森林や草原火災、吹雪による災害といったものに対する包括的予防や処置を強化すること

町や町の産業が集中している地区で、経済状況が他よりよい地区で包括的災害軽減工事を行うこと

農業における災害軽減国家計画を完成し農業における包括的災害軽減地域を決めること

災害軽減に実際に役立つ技術を広めて使っている模範的な農業地区や町をたくさん作ること

観測し予測する仕事を強化し、災害を起こすような天候、重大な植物の疾病や昆虫害毒、農業や森林の疫病、畜産病の流行状態、森林及び草原火災などを予防し抑えること

農業における災害状況を観察し、予測し査定する体制を確立して完成させること

 

2.産業や都市における自然災害軽減事業の強化

 

●災害軽減のための工事建設をしっかり行うこと

大中の産業基地、主要な通信ライン、重要な都市基盤やライフラインの工事における災害に対する予防と防災のレベルを効果的に向上させること

企業の災害軽減体制を完全にすること

企業の災害軽減工事建設や危険源の管理を強化し、災害の再発生を抑えること

大都市、大都市の建物及び工事施設は防災や災害防止に対して政府が決めた規格に準拠していなければならない

洪水管理の責任を持つ国中の主要都市は洪水管理事業のために要求されている建設をやり遂げなければならず、また、洪水防止の責任を与えられているその他の都市は、一定期間内に洪水予防の能力を上げなければならない

包括的災害軽減計画の産業と都市についての章に従って、災害軽減計画を制定し、都市のライフラインを保証する体制や緊急体制用の災害軽減のための建設を強化し、最新の建築や施設の防火対策を向上させること

 

3.主要地区や地域における自然災害軽減事業の強化

 

主要地域において災害軽減事業をしっかり行うこと

省都圏、経済的に発展している地域、人口集中地区、穀物や綿を作っている主要地域における災害軽減工事建設に特に力を入れ、東部地区での災害軽減のための工事建設を徹底的に強化し、その地区の災害軽減工事建設を重要都市基盤整備にすること

中部地区の都市で、産業や農業の主要な基盤づくりや災害軽減事業をしっかり行うこと

西部地区において、産業基盤、農業、畜産業の主要基盤のための災害軽減工事を、環境が存続し発展が保護されるように、しっかり行うこと

地域の経済及び社会発展にかなりの影響を持ち、農業及産業生産が大いに発展しているかなり危険な地域を幾つか選び、その地域を包括的災害軽減のデモンストレーション地域にすること

貧困を減らすという国の戦略と協調し、包括的災害軽減の仕事を推進し、貧困をなくしていく過程の進行を早めること

 

4.自然災害軽減における国の包括的発展の強化

 

災害軽減に対する国のマクロ的管理を強化し、災害軽減のための法制化の進行を促進すること

いろいろな省、中央政府の管轄になっている自治区域や都市に対する包括的災害軽減計画を立案すること

災害を地区別に整理すること

災害に関する情報やデータを集めたり、取り扱ったり、使用したり、共用するレベルを向上させること

重大な災害の観測や早期警告体制を完璧にすること

包括的災害軽減活動を調整すること

重大な自然災難に対する緊急計画を作り、災難に対する緊急命令、緊急派遣、緊急通信のための体制を完全なものにすること

災害軽減のためのしっかりした物資貯蔵体制を確立すること

災害を包括的査定する研究を行い、災害の科学的査定体制を設置すること

災害軽減に関するトレーニングや広告によって、国全体の災害軽減に対する周知を更に図り、災害軽減についての基本的教育を強化し、いろいろなレベルで災害軽減に関する専門教育を実施し、災害に対する予防文化のようなものを育成すること

災害に対する保険機構を設置し、企業や個人が災害保険に加入するよう奨励し、社会が災害に耐える能力を増やすこと

寄付活動が普通の社会的行為になるように災害援助のための寄付を積極的に推進し、地方の住民の間の相互扶助の活動を推進し、災害軽減事業に広範囲に参加してくれる社会組織体を奨励すること

実際的方法を採用して、老人、女性、子供そして特別社会施設の身障者達が災害と闘う能力を上げられるようにすること

中央政府においても地方でも、災害に対する医療体制を完全にし、医療機関の災害救助や緊急対応のための能力を向上させること。

 

5.自然災害軽減事業への科学や技術の応用促進

 

中国政府は常に、災害が熟して発生するメカニズム、災害の空間的時間的分布パターン、災害と環境、社会、経済との間の相互作用といったような基本的な理論の研究に大いに注目してきた;

更に、デジタル監視技術の研究開発を育成し、その技術を重大災害観測体系の更新に応用している;中期及び短期地震予知、短期気象予知,といった災害早期警告及び予測技術の研究開発を推し進め、その応用を促進している;災害に抵抗する技術、災害援助や災害設備の研究開発を補強し、災害に対する抵抗や災害救援の効率を向上させている:災害軽減の分野に遠隔感知技術、GIS、GPSのようなハイテクの応用を広げ、素早い災害査定体制や緊急事態処置体制を確立している。

 

6.いろいろな方法での自然災害軽減事業への投資拡大

 

いろいろな協力を得て、重大災害軽減のための建設事業に資金を投資し先進技術を導入することを奨励し、いろいろな種類の災害軽減のための訓練工事を行い、災害軽減での政府の支援を得て、建設、情報交換、宣伝、要員のトレーニング、国際人道主義と同時に科学的研究や技術開拓というような分野での国際協力を活発に促進している。

 

7.自然災害軽減事業での国際協力の促進

 

災害軽減における国際協力を強化することは、中国の災害軽減活動の主要な仕事になっている。我々は、国際機関、いろいろな国の政府、NGO、また個人がわが国の災害軽減に参加することを歓迎し、要員のトレーニング、基金収集、技術研究といった分野での国際交流や協力を精力的に行っている。

 


V.IDNDRのフォローアップに対する提案と推薦

 

国際防災の10年(IDNDR)に基づいて、国際社会は国際災害軽減を積極的にフォローアップし、災害軽減についての国際ネットワーク体制を設置し、災害軽減や技術の成果に関する情報を一緒に共用し、工学的ではない方法で災害を軽減する方策や技術を広めることを強化し、更に、世界中での災害軽減のレベルを向上させるべきである。

 

1.IDNDRの事業をフォローアップする特別部署の設置

 

国連が率先して進めてきたIDNDRの活動は災害軽減のための国際協力を向上する上で良い環境を作り、自然災害による損害を軽減するのに積極的な役割を演じてきた。IDNDRが終った時、国連は継続して災害軽減に関する国際活動を促進し調整する特別な部署を設置すべきである。

 

2.国際災害軽減のための情報共用計画の作成

 

これは、国際災害軽減のための情報共用計画を作成し、現在の科学と技術を十分利用し、国際災害軽減についての情報ネットワークを設置し、地球規模での災害軽減のための情報の共用を段階的に実現するための計画である。

 

3.国際自然災害軽減のための国連基金の設置

 

災害の人類への影響を減らす能力を上げることを目的とした、“国際災害軽減のための国連基金”を設立することである。大災害に緊急対処するために国連が基金を貯えているのと同じように、これは、重大災害軽減プロジェクトや活動、地球規模での教育やトレーニングを率先して行うことを支援するものになるであろう。大事なことは、発展途上国での災害軽減のための要員を育成し、この人達が災害緊急処置や軽減についてのレベルをはっきり向上させることができるようにし、災害軽減のための技術を習得する能力を改善することである。

 

4.重大な自然災害を世界的に観測し、早期警告を行う体制の確立

 

21世紀における国際災害軽減活動において、国連は関連部署間の協調にもっと注力すべきで、既存の成果を利用するのを基本とした新しい方法や技術的手段を開発し、重大災害に対する観測及び早期警告体制を確立すべきである。

 

5.自然災害の専門家達が連携し協調するための効果的なメカニズムの確立

 

これは、自然災害軽減の専門家達がもっと広範囲に協力し連携するためのメカニズムを確立しようということである。災害軽減の重要な分野に専門家のデータバンクを作り、専門家達の間で協力したり意見交換したりするのを通常の習慣にしてしまうという見地で、災害軽減の主要な分野での専門家による接触ネットワークや作業チームを作ることである。

長い歴史の進行過程において、人類と自然との関係はいろいろな歴史的段階を経てきている。人類の知識レベルは、類人猿達が挨拶の身振りとしてお互いの方を向いて手を前で合わせていた原始社会の共存という原始の段階から、資源を無制限に開拓し略奪するという産業の時代へ、また、人類と自然とが調和の取れた発展の中に入って行くという共存の段階へと、質的な飛躍を経てきた。世紀の変わり目にあたって、我々は荷が重く、道程は長いと強く感じている。我々はすでに一部成功は収めているが、新時代に我々が直面する仕事と比べれば、それは一万マイル行進のたった第1歩に過ぎない;我々の前に横たわる道程はもっと長く、やらなければならない仕事はもっと重い。中国は喜んで国連メンバー国や関連する国際組織と一緒に働き、人類と自然との調和の取れた発展のための21世紀に貢献したい。