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ADRC活動報告

2013年12月18日~21日(フィリピン、レイテ)

IMG_0507.JPG 2013年12月18日から21日、アジア防災センター(ADRC)と国際復興支援プラットフォーム(IRP)事務局は、2013年11月初旬にフィリピン国レイテ島を中心に被害が発生した、台風「ハイエン」(現地名:台風ヨランダ)の現地調査を実施しました。本調査は、被災地現地で事前にどのような予防対策と避難誘導が取られていたのか、また被災直後の関連機関による支援対応や今後の復興計画に向けて課題の抽出等を目的としたものでした。
 現地調査で明らかになったこととして、まず災害予防策として、地方政府により、学校やカトリック教会、公共建築物などを利用した避難場所が既に設定されていることでした。さらに、被災者に対する緊急支援や救援物資の提供についても、現地指揮センター等において適切に対処するようマニュアルに記されていることも確認できました。しかしながら、想像以上の規模の高潮被害を受けたタクロバンの沿岸地域の避難所および現地指揮センターでは、想定内の災害対策は十分ではなく、被災地の一部では、多くの人々や家屋、備蓄用の支援物資が高潮や引き波によって流失してしまうと同時に、避難施設も壊滅的被害を受け、その後の救援活動が遅れる原因となりました。また、インフラ全般に大きな被害が生じた島嶼地域においては、通信、港湾などの施設復旧に多くの課題が生じていて、例えば、レイテ島ではタクロバン地域と比べて中山間地域で人的支援や救援物資の提供に遅れが出ています。
今後の復興対策としてはまず、地方政府とコミュニティの両者間で、住宅復旧と生活手段の確保、インフラの再整備が最重要課題として認識されています。また、高潮によって大きな被害を受けた各地域では、避難シェルターが必要とされ、さらに、漁業やココナッツ栽培などの農業従事者の人々は、失業対策や生活手段の確保など早急な経済対策が、が加えて、地元生活者のための市場の復旧や輸送・エネルギー・通信インフラの確保についても求められています。
 災害に強いまちづくりに資する復興や、より効果的な災害予防対策としては、高潮や台風等風水害に関する意識向上と啓発、一次指定避難施設および現地指揮センターの構造物そのものの強化や設置場所に関する見直し、早期予報警戒システムの機能強化等、ハード面・ソフト面両面において考えられます。その上で、いざ実際に災害が発生した場合は、最善の応急対策が取れるよう、救援物資や支援の迅速なサプライ・マネジメントや、外部からの支援受入れの遅延を想定した「自助」対策、そして、地方政府とコミュニティの防災行政管理能力の向上など柔軟かつ弾力的な対策を講じることが必要になると考えられます。そのためには、コミュニティがより積極的に関与できるような、住民参加型の災害予防・復興に関する人材育成プログラムの実施が効果的である考察されます。
 こうした問題意識のもと、ADRC及びIRPとしては今後の復興支援事業として、まずフィリピン中部において、州政府など地方行政官を対象とした人材育成事業を展開、各自治体レベルにおける災害予防・復興計画のための技術支援を行う予定にしています。

(2014/1/28 18:30)

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